こんにちは。YUKINOSUKEです。
「一口馬主を始めてみたいけれど、実際にお金はどれくらいかかるの?」
「毎月の支払いが家計を圧迫しないか、サラリーマンの私でも続けられるのか不安…」
そんな悩みを抱えて、最初の一歩を踏み出せずにいる方は非常に多いですね。公式サイトを見ても「入会金」や「募集価格」といった入り口の数字は分かりますが、実際に会員になってから毎月発生するランニングコストや、引退するまでにかかるトータル費用の全容は、なかなか見えてこないものです。
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私自身も最初は複雑な仕組みに戸惑いました。「なんとかなるだろう」と勢いで入会したものの、毎月の請求書を見て「えっ、こんなにかかるの!?」と冷や汗をかいた経験もあります。
しかし、安心してください。費用の仕組みと「引き際」さえ正しく理解していれば、予算内で無理なく、そして長く楽しむことができます。この記事では、私の実体験と最新のデータを交えながら、カタログには載っていないリアルなお金の話を包み隠さずお伝えします。
- 入会金から馬代金まで最初に必要となる初期費用の相場
- 毎月発生する維持費や会費の具体的な金額シミュレーション
- 海外遠征や引退時などに見落としがちな臨時出費の存在
- サラリーマンが知っておくべき税金の知識と確定申告の壁
この記事のスタンスこの記事では、一口馬主を「儲かる投資」としてではなく、「コストのかかる大人の趣味」として定義し、いかに賢く楽しむかという視点で解説します。
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一口馬主の費用内訳と月額コストの真実
一口馬主を始めるにあたって、まず理解しておかなければならないのが「いつ」「何に」「いくら」かかるのかという全体像です。多くの方が気にされるのはカタログに載っている「馬の値段(競走馬出資金)」ですが、実はそれ以上に家計へのインパクトが大きいのが、毎月チャリンチャリンと引き落とされる固定費です。
馬は生き物ですから、レースに出ても出なくても、ご飯を食べ、運動をし、ケアを受けるためのお金が毎日かかります。ここでは、初期費用からランニングコスト、そして意外と知られていない臨時出費まで、費用の構造を分解して徹底的に解説していきますね。
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入会金や馬代金に必要な初期費用の相場
まず最初に、一口馬主を始めるために必要な「イニシャルコスト(初期費用)」について解説します。ここは一番お金が動くタイミングなので、しっかりと内訳を理解しておきましょう。
初期費用は大きく分けて、クラブ会員になるための「入会金」と、馬の権利を買うための「競走馬出資金(馬代金)」の2つで構成されています。この2つの組み合わせ次第で、スタート時に必要な資金は「数万円」で済むこともあれば、「数百万円」が必要になることもあり、まさに天と地ほどの差があります。
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1. クラブ入会金:入り口で変わる「ブランド代」
入会金は、クラブに入会する際に一度だけ支払う費用です。これは一度払えば退会するまで有効ですが、掛け捨ての費用(戻ってこないお金)であるため、最初にかかるハードルと言えます。
相場はクラブの歴史やステータスによって明確に分かれています。
| タイプ | 入会金目安 (税込) |
代表的なクラブ | 特徴・傾向 |
|---|---|---|---|
| 老舗・高級系 | 約33,000円 | 社台TC サンデーTC |
いわゆる「社台系」。入会金も高いが、良血馬への出資チャンスやステータス性は最高峰。 |
| 実績・標準系 | 約11,000円 ~22,000円 |
シルクHC キャロットC 東京TC |
コストと馬質のバランスが良い。ただし人気クラブは入会できても、馬の抽選倍率が非常に高い。 |
| 手軽・新規系 | 0円 (無料) |
DMMバヌーシー 広尾TC インゼルTC |
アプリ完結やキャンペーンで入会金無料のケースが多い。スマホ世代やライト層に最適。 |
2. 競走馬出資金:1口数千円から数百万円まで「ピンキリ」の世界
次に、費用の大部分を占めるのが「馬代金」です。カタログに載っている「募集総額」を「募集口数」で割った金額が、あなたが支払う1口あたりの価格になります。
近年は競馬ブームや海外セールでの価格高騰の影響で、募集馬の価格も右肩上がりです。総額1億円を超える馬も珍しくなくなりましたが、ここで重要なのは「総額」ではなく「口数」による割り算です。
- 40口クラブの場合(社台・サンデー等):
総額4,000万円の馬でも、1口あたり100万円が必要です。これは新車1台分に匹敵する投資額であり、ハイリスク・ハイリターンな大人の遊びです。 - 400~500口クラブの場合(シルク・キャロット等):
総額4,000万円の馬なら、1口あたり8万~10万円。ボーナスやお小遣いを貯めれば手の届く範囲になります。 - 2000~4000口クラブの場合(DMM・広尾等):
総額4,000万円の馬でも、1口あたり1万~2万円。飲み会数回分の金額で馬主気分を味わえます。
【重要】高い馬ほど走るわけではない!
初心者が陥りがちなのが「高い馬だから走るだろう」という思い込みです。過去のデータを見ても、募集額1億円の馬が未勝利で終わることもあれば、募集額1000万円台の馬がG1を勝つこともあります。価格はあくまで「血統やセリの評価額」であり、競走能力の保証ではありません。
3. サラリーマンの味方「分割払い」と「一括割引」
「数十万円も一気に払えないよ…」と思った方も安心してください。一口馬主クラブの多くは、馬代金の支払い方法に柔軟性を持たせています。
- 分割払い(金利手数料ゼロ):
多くのクラブで、馬代金を最大10回~36回程度に分割して支払うことができます。しかも、一般的なローンと違って金利手数料がかからないケースがほとんどです。例えば10万円の出資でも、10回払いなら月々1万円。これなら毎月の給与の範囲内で無理なく始められますよね。 - 一括払い(早期出資特典):
資金に余裕がある場合は、一括払いが断然お得です。多くのクラブで「2%程度のキャッシュバック(または割引)」が受けられます。今の銀行金利がほぼゼロに近いことを考えれば、2%のリターンは非常に大きいです。
【注意】見落としがちな「初回請求の罠」
初期費用として「入会金」と「馬代金」だけを用意していると、初回の請求額を見て驚くことがあります。
実は、出資が確定した段階や年明け1月のタイミングで、以下の費用もまとめて請求されることが多いのです。
・競走馬保険料(年1回):馬代金の約3%(数千円~数万円)
・維持費の初回金(デポジット):クラブによっては維持費を2ヶ月分程度先払いする場合があります。
ギリギリの予算で申し込むのではなく、馬代金プラス3~5万円程度の余裕資金を持っておくことを強くおすすめします。
毎月かかる維持費や月会費の平均月額
初期費用は入会時の「一回払い」で済みますが、一口馬主の家計管理において最も重要、かつボディブローのように効いてくるのが、毎月発生する「ランニングコスト(維持費・会費)」です。
極端な話をすれば、馬代金が無料の馬をもらったとしても、このランニングコストだけで年間数万円から数十万円の出費が確定します。まさに「馬のサブスクリプション」とも言えるこの固定費の仕組みを、具体的に分解して解説します。
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1. クラブ月会費:馬を持っていてもいなくても発生する「固定費」
まず、口座から毎月引き落とされるのが「クラブ月会費」です。これは、クラブの運営人件費、会員サービスの維持、会報誌の制作費などに充てられる費用です。
- 一般的な相場:月額 3,300円(税込)
- 対象クラブ:社台・サンデー、キャロット、シルク、東京TCなど大多数のクラブ
ここで初心者が陥りやすい罠が、「1頭しか持っていなくても、全額かかる」という点です。
例えば、維持費が安い馬を1頭だけ持って細々と楽しみたいと思っても、この3,300円は固定でかかります。維持費が月1,500円だとしても、会費と合わせると月4,800円。この場合、支払額の約7割が会費(手数料)で消えている計算になります。
コストパフォーマンスを上げる「複数頭持ち」の考え方
この固定費の比率を下げるために、多くの会員は「複数頭」に出資します。例えば5頭に出資していても、月会費は同じ3,300円です。頭数が増えるほど、1頭あたりの会費負担額は希釈され、投資効率(賞金に対するコスト比率)は良くなります。これを「固定費の逆レバレッジ」と呼びます。
ただし、近年はライト層向けに、この構造を変えているクラブも登場しています。
- DMMバヌーシー:月額880円(税込)~上限3,520円(税込)。保有口数に応じて変動する変動会費制を採用。
- 広尾サラブレッド倶楽部:月額770円(税込)~。出資口数が少ないうちは安く済むステップアップ方式。
2. 維持費出資金:馬の生活費とトレーニング代
次に、馬そのものにかかる費用「維持費出資金」です。これは、厩舎に支払う預託料、飼い葉(エサ)代、装蹄費(靴代)、治療費、輸送費などが含まれます。
中央競馬(JRA)の競走馬1頭にかかる維持費の総額は、月額約60万円〜80万円と言われています。これを、自分が持っている口数の割合(1/400や1/2000など)で負担します。
ここで重要なのが、「馬がどこにいるか」で金額が変わるという点です。
| 在厩場所 | 1頭あたりの費用目安(月額) | 備考 |
|---|---|---|
| トレセン(厩舎) | 約60万~80万円 | レース出走直前の仕上げ期間。最も高額。 |
| 外厩(育成牧場) | 約30万~50万円 | 放牧・調整期間。昔は安かったが、最近は施設高度化で高騰中。 |
| 北海道(休養) | 約20万~40万円 | 長期休養や怪我の治療時。比較的安くなる。 |
【注意】「放牧に出れば安くなる」は過去の話?
昔は「放牧=維持費が安くなる」というのが通説でしたが、最近は「ノーザンファーム天栄」や「しがらき」といった最新鋭の外厩施設を利用することが増えました。これらの施設はトレセン並みの設備とスタッフを備えているため、預託料もトレセンと大差ない金額(月50万〜60万円規模)になることが一般的です。「放牧中だからお金が貯まる」とは限らないので注意が必要です。
3. あなたの負担額は?口数別シミュレーション
では、実際に「月会費」と「維持費」を合計すると、毎月いくら引き落とされるのでしょうか。JRAで標準的な維持費(月60万円)がかかっていると仮定して、1頭のみ出資している場合の支払額をシミュレーションしてみます。
| クラブタイプ | ①維持費(1口) | ②月会費 | 合計月額負担 |
|---|---|---|---|
| 40口クラブ (社台・サンデー等) |
15,000円 | 3,300円 | 18,300円 |
| 400口クラブ (キャロット・東サラ等) |
1,500円 | 3,300円 | 4,800円 |
| 500口クラブ (シルク等) |
1,200円 | 3,300円 | 4,500円 |
| 2000口クラブ (DMMバヌーシー) |
300円 | 880円 (※1口の場合) |
1,180円 |
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このように、40口クラブの場合は「習い事の月謝」や「車のローン」並みの固定費がかかります。一方で、400口~500口クラブであれば、飲み会1回分程度に収まります。2000口以下の超小口クラブなら、動画のサブスク感覚で維持できることが分かりますね。
この金額が、馬が引退するまでの数年間、毎月確実に発生します。ご自身の毎月のお小遣いや家計簿と照らし合わせて、「生活レベルを落とさずに払い続けられるライン」を見極めることが、長く楽しむための最大の秘訣です。
(出典:JRA日本中央競馬会『馬主活動に伴う収入・支出』)
海外遠征や引退時に発生する臨時出費
毎月の会費や維持費は「固定費」としてある程度予測がつきますが、一口馬主には忘れた頃にやってくる、あるいは突発的に発生する「臨時出費」が存在します。これらは金額の桁が一つ変わることもあり、家計管理を狂わせる最大の要因となり得ます。ここでは、カタログには小さくしか書かれていない、しかし無視できない3つの大きな出費について詳しく解説します。
1. 年に一度の必須コスト「競走馬保険料」
まず、毎年必ず発生するのが「競走馬保険料」です。これは自動車保険のようなもので、愛馬が死亡したり、大怪我で競走能力を喪失したりした場合に備えるための掛け捨て保険です。
一般的に、募集価格(馬の評価額)の約3%が保険料として年に1回請求されます。請求時期はクラブによって異なりますが、年末(12月)か年始(1月)に一括で引き落とされるケースが大半です。
馬の年齢と保険料の推移(評価額の減価償却)
馬の評価額は、年齢とともに下がっていきます(減価償却)。そのため、支払う保険料も年々安くなっていきます。
・2歳時:募集価格の100%に対して3%(満額)
・3歳時:募集価格の70%に対して3%
・4歳以上:募集価格の50%に対して3%
例えば、募集額4000万円(400口/1口10万円)の馬の場合、2歳時の保険料は約3,000円ですが、4歳になると約1,500円になります。「お年玉の時期に引かれるお金」として覚えておきましょう。
2. 夢と引き換えの「海外遠征費用」という高額請求
一口馬主にとって最大の「嬉しい悲鳴」であり、同時に「恐怖の請求書」となるのが海外遠征です。近年、日本馬のレベル向上に伴い、ドバイ、香港、サウジアラビア、アメリカ、オーストラリアなどの高額賞金レースへ遠征するケースが日常化しています。
「自分の愛馬が世界へ挑戦する!」というのは夢のような話ですが、シビアな現実として「その費用は誰が払うのか?」という問題があります。
- 招待レース(Invitation)の場合:
主催者が輸送費や滞在費を負担してくれます。会員の負担はほぼありません。これは最高です。 - 自費参加(自費遠征)の場合:
ここが問題です。馬のチャーター機代、現地での厩舎代、帯同する調教師やスタッフの渡航費・ホテル代・日当など、諸経費の全てを「会員が負担」します。
費用の総額は、遠征先や期間にもよりますが、1回の遠征で2,000万円~3,000万円かかることも珍しくありません。これを口数で割って請求されます。
【400口クラブでの負担イメージ】
もし遠征費総額が2,000万円だった場合、1口あたりの追加請求額は50,000円です。その月の維持費と合わせれば、いきなり6~7万円が引き落とされます。
もしレースで勝てば、高額な賞金が入るので相殺されて大幅プラスになります。しかし、もし負けて着外に沈んだ場合…手元に残るのは「高額な請求書と、現地の綺麗な写真だけ」という事態になりかねません。
JRAには、特定の条件を満たした馬(指定外国競走で好走し、その年のジャパンカップ等に出走するなど)に対して「協力金」や「褒賞金」を交付する制度がありますが、これは後から入ってくるものであり、かつ条件も厳しいため、基本的には「自腹リスク」があることを覚悟しておく必要があります。
(出典:JRA公式サイト『外国の競馬の競走に出走した馬に対する協力金交付基準』)
3. G1優勝時の「祝賀会」と引退時の「精算」
見落としがちなのが、ビッグレースを勝った時の祝賀会費用です。G1を勝つと、都内の高級ホテルで盛大な祝賀パーティーが開催されることが一般的です(400口クラブ等の場合)。
この開催費用は、賞金から天引きされるか、あるいは「祝賀会費用出資金」として別途数千円程度が徴収されることがあります。参加費制の場合もありますが、クラブの規約によっては「参加不参加に関わらず、会員全員で費用を負担する」というケースもあるため、規約の確認が必要です。
最後に、タイトルにある「引退時」についてです。基本的には引退時は「精算(お金が戻ってくる)」のタイミングですが、稀に注意が必要です。例えば、引退直前に大きな手術をしたり、海外遠征をしてそのまま引退となった場合、最後の最後に未払いの医療費や遠征費が精算金から差し引かれ、想定よりも戻ってくるお金が減る(あるいはマイナス精算になる)可能性があります。最後まで明細には目を光らせておきましょう。
獲得賞金の分配や引退精算金の仕組み
毎月の支払いや初期費用の話など、お金が出ていく話ばかりしてしまいましたが、一口馬主にはもちろん「お金が入ってくる」楽しみもあります。愛馬がレースで勝利し、その賞金が分配される瞬間の喜びは何物にも代えがたいものです。
しかし、JRAが発表している「1着賞金 1,000万円」が、そのまま会員の口座に振り込まれるわけではありません。ここには、競馬界特有の複雑な分配ルールと、多くの会員が「額面の6〜7掛け」と呼ぶ控除の仕組みが存在します。また、現役生活を終える引退時にも、実は最後のお小遣いとも言える「精算金」が発生します。
ここでは、入金サイドの仕組みを徹底的に解剖し、配当金が手元に届くまでの流れを解説します。
1. 賞金分配のリアル:なぜ手取りは「6掛け」になるのか
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レースで獲得した「本賞金」からは、会員に分配される前に、様々な経費や税金が容赦なく差し引かれます。これを理解していないと、「あれ?思ったより振込額が少ない…」とガッカリすることになりかねません。
具体的な控除項目は以下の通りです。
| 控除項目 | 目安の割合 | 内容 |
|---|---|---|
| 進上金(しんじょうきん) | 約20% | 騎手、調教師、厩務員への成功報酬。これが自動的に引かれます。 |
| クラブ手数料 | 約3%〜5% | クラブ法人の営業収益(運営費)として徴収されます。 |
| 消費税 | 約10% | 賞金に含まれる消費税分は分配対象外となります。 |
| 源泉所得税 | 約20.42% | 利益分配額に対して課税されます。(※出資返戻金部分は非課税) |
これらの控除を経て、最終的に会員の手元に残るのは、額面賞金の約60%〜70%程度になります。例えば1,000万円のレースを勝った場合、会員全体への分配原資は約600万〜700万円。これを400口で割ると、1口あたり約1.5万円〜1.75万円の配当となります。
【ポイント】振り込まれるのはいつ?
賞金が入るタイミングは、レースの翌月〜翌々月が一般的です。
(例:4月にレース勝利 → 5月末または6月末に分配)
忘れた頃にちょっとしたボーナスが入ってくる感覚ですね。
2. 実はこれが一番大事?「出走手当」という隠れた収入源
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「勝たないとお金は入らないんでしょ?」と思っている方も多いですが、実はそうではありません。
JRAには「特別出走手当」という制度があり、レースに出走するだけで、着順に関わらず1回あたり約48万円〜52万円(※条件による)が支給されます。これは9着以下で賞金ゼロの場合でも貰えるお金です。
この手当の存在は非常に重要です。なぜなら、1頭あたりの月額維持費(約60〜70万円)の大半を、たった1回の出走でカバーできてしまうからです。
- 月に1回走る馬:出走手当で維持費の約7〜8割を相殺できるため、持ち出しが少ない。
- 数ヶ月に1回しか走らない馬:維持費が丸ごとかかる月が増えるため、赤字が膨らむ。
一口馬主において、「丈夫で数を使ってくれる馬(コンスタントに出走する馬)」が会員から愛される理由はここにあります。勝てなくても、走ってくれるだけで財布の痛みは劇的に和らぐのです。
3. 引退時の「最後の配当」:抹消給付金とオークション
愛馬との別れは寂しいものですが、引退時にも「引退精算金」としてまとまったお金が入ってくる仕組みがあります。
JRAの登録を抹消する際に支払われる「退職金」のようなものです。馬の年齢や出走歴によりますが、条件を満たせば約150万円〜250万円程度が支給されます。これは意外と大きな額になります。
引退後、地方競馬などで現役を続行できると判断された馬は、ネットオークション(サラブレッドオークション)に出品され、売却されます。その売却益から手数料を引いた額が会員に分配されます。数万円で取引されることもあれば、血統や実績によっては数百万円で落札されることもあり、臨時ボーナスとなる可能性があります。
これが牝馬に出資する最大のメリットの一つです。多くのクラブでは、引退する牝馬が繁殖入りする場合、募集総額の10%でクラブ(牧場)が買い戻すという規定があります。
例えば募集額5,000万円の牝馬なら、引退時に500万円(1口あたり1.25万円/400口)が確約されて戻ってきます。競走成績がイマイチでも、良血牝馬ならこの「出口戦略」が計算できるため、リスクヘッジになります。
【豆知識】引退精算のタイミング
引退精算金は、引退即振込ではありません。オークションの手続きや保険の解約、諸経費の計算などが完了してからになるため、引退から3ヶ月〜6ヶ月後に振り込まれるのが一般的です。「忘れた頃に最後のプレゼント」が届くような感覚ですね。
会社員に必要な確定申告と税金の知識
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一口馬主を始める上で、避けて通れないのが「税金」のお話です。「税金」と聞くと難しそうでアレルギー反応が出る方もいるかもしれませんが、ここを理解していないと、知らず知らずのうちに脱税状態になってしまったり、逆に戻ってくるはずのお金(還付金)をドブに捨ててしまうことになりかねません。
私たちのようなサラリーマンが、趣味の範囲(業務的規模ではないレベル)で一口馬主を行う場合、そこから生じる利益は原則として所得税法上の「雑所得(ざつしょとく)」に分類されます。この「雑所得」という扱いが、実は一口馬主の税務における最大のポイントなのです。
1. 基本は「雑所得」!給与との損益通算はできない
まず、一番最初に覚えておくべき残酷なルールがあります。それは、「一口馬主の赤字は、給与所得と相殺(損益通算)できない」という点です。
例えば、不動産投資や副業(事業所得)であれば、そのビジネスで100万円の赤字が出た場合、会社の給与所得から100万円を差し引いて、税金を安くすることができます。しかし、一口馬主の「雑所得」にはこのルールが適用されません。
- 一口馬主で100万円儲かった場合:
会社のお給料に「+100万円」されて、ガッツリ税金が増えます(総合課税)。 - 一口馬主で100万円損した場合:
税務上は「なかったこと」になります。会社のお給料から引くことはできず、税金は1円も安くなりません。
つまり、「勝った時だけ税金を取られ、負けた時の救済はない」というのが、趣味で行う一口馬主の税制上の基本スタンスです。ここを勘違いして「節税になるかも」と始めると痛い目を見ます。
2. 意外と知らない?「20万円以下なら申告不要」の落とし穴
よく副業の話題で「利益が年間20万円以下なら確定申告しなくていい」という話を聞きませんか?
これは半分正解で、半分間違いです。このルールには大きな落とし穴があります。
「申告不要」は所得税だけの話!
「年間20万円以下なら申告不要」というのは、国の税金である「所得税」に限った特例です。
地方税である「住民税」には、このような免除ルールはありません。
つまり、一口馬主の利益がたとえ1円でも(もちろん10万円でも)、お住まいの自治体への住民税の申告は必須となります。
多くのサラリーマンの方が、「20万以下だから何もしなくていいや」と放置してしまいがちですが、これは厳密には住民税の無申告(脱税)になってしまいます。後から自治体に見つかると面倒なことになりますので、「利益が出たら、金額に関わらず何らかの申告が必要」と覚えておきましょう。
3. 赤字でも申告すべき?「還付申告」で税金が戻る仕組み
「なんだ、税金の話なんて損することばかりじゃないか」と思われた方、安心してください。良いニュースもあります。それが「還付申告(かんぷしんこく)」です。
実は、私たちが受け取る配当金(賞金分配額)からは、あらかじめ約20.42%の源泉所得税が天引きされています。クラブが私たちの代わりに税金を前払いしてくれている状態です。
しかし、一口馬主には「月会費」や「減価償却費(馬代金の経費化)」といった経費が発生します。年間のトータル収支を計算した結果、「配当収入」よりも「経費」の方が多くなり、雑所得自体は赤字(または微益)だったというケースが頻繁に起こります。
こんな時は税金が戻ってくるかも!
- 年間の収支がマイナスだった場合:
利益が出ていないのに、配当受け取り時に税金だけ引かれている状態です。確定申告をすれば、天引きされた源泉所得税が全額戻ってくる可能性があります。 - 自分の所得税率が20%以下の場合:
年収がそこまで高くない若手社員の方などは、本来納めるべき税率よりも高い税率(20.42%)で天引きされている可能性があります。この場合も差額が戻ってきます。
私自身、大きなレースを勝った年は納税になりますが、それ以外の年は確定申告をして、数万円~十数万円の還付金を受け取っています。これは「臨時ボーナス」のような感覚で非常に嬉しいものです。
毎年1月頃になると、クラブから「年間支払調書」等の確定申告用書類が送られてきます。そこに「収入」「経費」「源泉徴収税額」が全てまとまっているので、国税庁のサイトに数字を入力するだけで簡単に申告書が作れます。難しく考えず、ぜひチャレンジしてみてください。
※具体的な申告区分や計算方法については、国税庁のタックスアンサーをご確認いただくか、お近くの税務署にご相談ください。
(出典:国税庁『No.1500 雑所得』)
ちなみに、競馬と税金については、以下の記事でも詳しく解説しています。「競馬と税金」をもっと深く知りたい方は、ぜひチェックしてみてください。
一口馬主の費用対効果と向いている人
ここまで具体的な金額の内訳を見てきましたが、結局のところ、皆さんが一番知りたいのは「一口馬主は儲かるのか?」「投資として成り立つのか?」という点ではないでしょうか。
正直に結論を言ってしまうと、金融商品のような安定したリターンを期待するのはかなり厳しい世界です。では、実際の収支はどのようになるのか、どんな人がこの趣味に向いているのか、費用対効果の観点から深掘りしてみましょう。
クラブ別の年間収支シミュレーション
一口馬主を検討する際、誰もが一度は皮算用をするはずです。「もし自分の馬がG1を勝ったら、配当金で車が買えるんじゃないか?」と。しかし、現実はそう甘くありません。むしろ、費用の仕組みを正しく理解していないと、想像以上の出費に顔面蒼白になることもあります。
ここでは、最もポピュラーな「400口クラブ(キャロットクラブやシルクホースクラブなど)」に入会し、募集価格2,000万円(1口5万円)の馬に1頭だけ出資した場合のリアルな収支をシミュレーションします。なお、この計算には、会員1人で1頭のコストを全て背負う場合の「月会費(月額3,300円)」を含めています。
【前提知識】賞金はそのまま入ってこない!「6掛け」の法則
シミュレーションの前に、残酷な現実を一つお伝えします。馬がレースで稼いだ賞金(額面)は、そのまま会員の口座に振り込まれるわけではありません。JRAから支払われる賞金からは、以下の項目が容赦なく天引きされます。
賞金から引かれるもの(控除項目)
- 進上金(約20%):調教師、騎手、厩務員への成功報酬。
- クラブ手数料(約3%〜5%):クラブ法人の営業収益。
- 消費税(約10%):賞金に含まれる税金分。
- 源泉所得税(約20.42%):利益分配時に課税される税金。
これらを差し引くと、会員の手元に来る「手取り配当」は、おおよそ額面賞金の60%〜70%程度になります。つまり、1,000万円稼いでも、会員への分配原資になるのは600万円〜700万円ほど。これを口数で割るのです。
それでは、具体的な3つのケースを見ていきましょう。
| ケース | 成績イメージ | 最終収支(引退まで) |
|---|---|---|
| A:未勝利引退 (最も多い現実) |
3歳9月までに勝てず引退。 出走回数:3〜5回 獲得賞金:ほぼ0円(手当のみ) |
約15万円の赤字 (内訳:馬代金5万+会費・維持費約11万 - 精算金約1万) |
| B:コツコツ活躍 (理想的な趣味) |
2勝して準オープン手前まで出世。 6歳春まで元気に30戦出走。 獲得賞金:約6,000万円 |
約10万円の赤字 ~ トントン (馬代金と維持費は回収できたが、4年間の「月会費」負担でマイナスに着地) |
| C:重賞級の活躍 (数%の奇跡) |
重賞勝利、G1出走。 獲得賞金:2億円以上 種牡馬入りまたは繁殖売却 |
大幅プラス(数十万~数百万) (ここまで来て初めて「投資」として成功する) |
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1. ケースA:未勝利引退(早期の損切り)
残念ながら、一口馬主の世界で最も遭遇する確率が高いのがこのパターンです。JRAでは3歳の9月までに1勝できないと、基本的には引退(地方移籍やオークション売却)となります。
この場合、馬代金5万円はほぼ全損。さらに、デビューまでの育成期間(約1年半)に支払い続けた維持費と月会費が重くのしかかります。戻ってくるのは、わずかな引退精算金(抹消給付金やオークション配当など数千円)のみ。
ただし、ポジティブに捉えれば「維持費の支払いがそこで止まる(損切りされる)」とも言えます。ズルズルと勝てないまま現役を続けられるよりも、傷が浅く済むケースもあります。
2. ケースB:2勝クラス・古馬活躍(長く楽しむ対価)
多くの会員さんが目指す「成功」のラインがここです。2勝、3勝として上のクラスに行けば、レースに出走する機会も増え、出走手当や賞金で毎月の維持費(約1,500円)は十分に賄えます。場合によっては、年に数回「お小遣い」のような配当が振り込まれることもあるでしょう。
しかし、シミュレーション表を見て「あれ?」と思った方もいるかもしれません。6,000万円も稼いだのに、最終収支が赤字なのです。犯人は「月会費」です。
1頭しか持っていない場合、毎月3,300円の会費が4年間(48ヶ月)積み重なると、それだけで約16万円の固定費になります。馬が頑張って稼いだ利益を、人間が払う会費が食いつぶしてしまうのです。これを防ぐには、複数頭に出資して会費負担を分散するか、会費の安いクラブを選ぶ必要があります。
3. ケースC:重賞級の活躍(夢の配当)
これぞ一口馬主の醍醐味、数パーセントの確率で発生する「ホームラン」です。重賞を勝てば、会員負担分などあっという間に回収し、大幅なプラスになります。さらに、引退後に種牡馬入りや高額での繁殖入りが決まれば、数千万円単位の追加配当が入ることもあります。
ここまで行くと、税金の心配が必要になりますが、それすらも嬉しい悲鳴です。ただし、このクラスの馬に出資できるのは、運と実力(と実績)を兼ね備えた一部の会員だけであることも忘れてはいけません。
結論:1頭持ちの「損益分岐点」は非常に高い
400口クラブで1頭だけ出資する場合、月会費の負担をカバーしてプラス収支にするには、現役期間中に「募集価格の3倍~4倍」の賞金を稼ぐ必要があります。2,000万円の馬なら6,000万円~8,000万円稼いでようやくトントンです。一口馬主を「投資」と割り切れない理由はここにあります。
より詳細な賞金シミュレーションを行いたい方は、JRAの公式サイトが提供しているツールを使ってみるのもおすすめです。自分の想定するクラスや着順で、どれくらいの賞金が入るのか計算できますよ。
(出典:JRA『賞金シミュレーター』)
ちなみに、競馬の賞金については、以下の記事でも詳しく解説しています。「競馬の賞金」をもっと深く知りたい方は、ぜひチェックしてみてください。
儲かる確率と投資としての現実的な評価
「一口馬主は投資になるのか?」
この問いに対する私の答えは、イエスでもあり、ノーでもあります。しかし、株式投資や不動産投資のような「堅実な資産運用」をイメージしているのであれば、答えは明確にノーです。
一口馬主は、金融商品取引法上の「投資ファンド」という形式をとっていますが、その実態は「ハイリスク・ハイリターンのエンターテインメント」に他なりません。ここでは、感情論抜きにしたドライな数字と市場トレンドから、一口馬主の投資としての現実的な評価を紐解いていきます。
1. データで見る「勝ち上がり率」と「回収率」の壁
まず、投資のスタートラインに立つことさえ簡単ではないという現実を知ってください。競走馬にとっての第一関門は「1つ勝つこと(勝ち上がり)」です。JRAでは3歳の秋までに1勝できなければ、事実上の引退勧告を突きつけられます。
では、どれくらいの馬が勝ち上がれるのでしょうか?
成績優秀なトップクラブ(サンデー・社台・キャロット・シルクなど)でさえ、世代ごとの勝ち上がり率は概ね50%前後です。つまり、プロが厳選した良血馬であっても、2頭に1頭は1つも勝てずに引退していくのが現実なのです。
| 指標 | 確率の目安 | 解説 |
|---|---|---|
| 勝ち上がり率 (1勝以上する確率) |
30% ~ 50% | 約半数の馬は、未勝利のまま引退し、投資額の大半を失います。 |
| 回収率100%超 (元が取れる確率) |
10% ~ 20% | 馬代金+維持費をペイできるのは、10頭に1頭か2頭程度。極めて狭き門です。 |
| 重賞勝利 (大きな利益) |
数% 以下 | ここに入れば数百%~数千%のリターンもあり得ますが、宝くじに近い確率です。 |
「7割以上の馬は元本割れして終わる」。この統計的事実を受け入れられるかどうかが、一口馬主を楽しめるかどうかの分かれ道です。
2. 2025年からの賞金増額と、止まらない馬価格の高騰
投資環境として、プラス材料とマイナス材料が混在しています。
JRA(日本中央競馬会)は、世界的な競走馬のレベル向上と物価高に対応するため、2025年から賞金や諸手当を増額しています。特に有馬記念やジャパンカップの1着賞金が5億円に引き上げられたニュースは記憶に新しいですよね。未勝利戦や条件戦の賞金も底上げされており、1つ勝った時のリターンは確実に大きくなっています。
しかし、それ以上に「馬の値段」が上がっています。セレクトセールなどの活況を受け、クラブ募集馬の価格も高騰の一途をたどっています。
かつては総額2,000万円で募集されていたレベルの馬が、今では4,000万円、5,000万円になることも珍しくありません。募集価格が2倍になれば、回収するために必要な賞金も2倍になります。賞金のアップ分以上に、初期投資のハードルが上がってしまっているのが現状です。
「高額馬=走る」とは限らない罠
価格が高騰したことで、「1億円の馬だから絶対に走るはず」というバイアスがかかりやすくなっています。しかし、過去のデータを紐解けば、1億円以上の馬が未勝利で終わるケースも山ほどあります。逆に、1,000万円台の安価な馬が大化けすることもあります。この「価格と成績の相関の低さ」こそが、競馬の難しさであり面白さです。
3. それでも夢を見る「種牡馬入り」というジャックポット
ここまでネガティブな話が続きましたが、一口馬主には株式投資では絶対にあり得ない「一発逆転のジャックポット」が存在します。それが、出資馬の「種牡馬入り(または繁殖入り)」です。
もしあなたの出資した牡馬がG1を勝ち、種牡馬としての価値を認められれば、数億円~数十億円というシンジケート(種牡馬株)が組まれることがあります。この売却益は会員にも分配されます。
例えば、名馬イクイノックスやコントレイルのようなクラスになれば、1口出資しているだけで、家が建つほどの配当金が振り込まれることも夢物語ではありません。
確率は低いですが、この「夢」を買える権利こそが、多くの人が損失を出しても一口馬主を辞められない最大の理由かもしれません。
YUKINOSUKEの結論
一口馬主を「資産運用」として始めるのはおすすめしません。高い確率で資産を減らします。
しかし、「夢を買う宝くじ」や「愛馬を応援する感動体験」にお金を払うと考えれば、これほどエキサイティングな趣味はありません。「基本は損をするもの。でも、もし奇跡が起きたらラッキー」くらいのスタンスで臨むのが、精神衛生上も一番健全ですよ。
JRAの賞金体系や最新の増額情報については、公式サイトで正確な数字を確認してみてください。
(出典:JRA『番組・賞金等』)
実際の収支を公開するブログやSNS
これから一口馬主を始めようとしている方に、私が最も強くおすすめしたい「予習」があります。それは、クラブの公式サイトやカタログの美辞麗句を読むことではありません。実際に一口馬主を続けている先輩会員たちの「収支報告」を見ることです。
GoogleやX(旧Twitter)で「一口馬主 収支 ブログ」や「一口馬主 年間収支」といったキーワードで検索してみてください。そこには、公式シミュレーションでは決して見えてこない、生々しくもリアルな「お財布事情」が赤裸々に公開されています。
1. 「成功者」だけでなく「平均的な会員」を探す
検索すると、G1馬に出資して何千万円もの配当を得た「成功者」のブログが目につくかもしれません。これらは読んでいて夢がありますし、モチベーションも上がります。しかし、シミュレーションの参考にするには少し危険です。なぜなら、彼らは数パーセントの確率を引き当てた「強運の持ち主」だからです。
あなたが探すべきは、「自分と同じくらいの予算で楽しんでいる、平均的な成績の会員」のブログです。
- 年間2〜3頭に出資しているが、重賞は勝っていない人
- 大きな赤字も出していないが、黒字にもなっていない「トントン」の人
- 未勝利引退を経験し、その痛みを綴っている人
こうした方々の記録こそが、あなたが直面する可能性が最も高い「近未来の姿」です。「毎月の支払いはこれくらいキツイのか」「1つ勝つだけでこんなに楽になるのか」といった肌感覚は、先輩たちの数字からしか学べません。
2. ブログでチェックすべき「隠れた数字」
先輩たちの収支報告を見る際は、単なる「プラス・マイナス」の結果だけでなく、以下のポイントに注目してください。
リアルな収支を見るためのチェックポイント
- 維持費の重み:馬が怪我をして走れない期間(休養期間)も、毎月維持費が引かれ続けている事実に注目してください。「走らないのに金だけ減る」というストレスに耐えられるかが分かります。
- 月会費の比率:特に少頭数(1~2頭)でやっている人が、利益の何割を「月会費」で食いつぶされているかを確認しましょう。
- 引退精算のタイミング:引退してから実際にお金が戻ってくるまでに、数ヶ月のタイムラグがあることが分かります。
3. SNSは「感情の予習」に使う
ブログが「数字(理性)の予習」なら、SNSは「感情の予習」に最適です。X(旧Twitter)などでは、レース当日の会員たちのリアルな叫びを見ることができます。
勝った時の爆発的な喜び、期待した新馬戦で惨敗した時の落胆、愛馬が故障した時の悲しみ、そして引退が決まった時の感謝と寂しさ。一口馬主は、金融商品とは違い、感情の振れ幅が非常に大きい趣味です。「自分がもし当事者だったら、この感情の波に耐えられるか?」をシミュレーションしておくことは、長く続けるためのメンタル管理として非常に有効です。
おすすめの検索キーワード
以下のキーワードを組み合わせて検索すると、質の高い情報にたどり着きやすくなります。
一口馬主 収支 公開 [西暦](例:2024、2025など最新の年を入れる)一口馬主 底辺 収支(自虐的なタイトルですが、リアルな苦労が分かります)[検討中のクラブ名] 収支 ブログ(クラブごとの費用のクセが分かります)
成功談よりも、失敗談や「普通の成績」の人の記録こそが、あなたのお金と心を守るための最良の教科書になります。ぜひ、自分に近い「メンター(師匠)」のようなブロガーさんを見つけてみてください。
利益より所有体験を楽しめる人が向く
前のセクションで、数字上の収支がいかに厳しいかをお伝えしました。「じゃあ、なんでみんな続けているの?まさか全員ドMなの?」と思われたかもしれませんね。
実は、一口馬主を長く続けているベテラン会員の多くは、最初から「経済的なリターン(お金)」を第一目的にしていません。私たちが求めているのは、銀行口座の数字には代えがたい、人生を彩る「精神的な配当(感動と所有体験)」なのです。
お金では買えない「プライスレス」な瞬間
- YUKINOSUKE
一口馬主には、馬券を買うだけでは絶対に味わえない、特権的な喜びがいくつもあります。
- 名付け親になれる可能性:
自分が応募した馬名が採用され、その名前が競馬新聞や実況で呼ばれる感動。もしその馬が歴史に名を残せば、あなたは「名馬の名付け親」として一生の思い出を手に入れます。 - 成長を見守る親心:
1歳のあどけない時期から、牧場での厳しいトレーニングを経て、逞しい競走馬へと成長していく過程を、毎月のレポートや動画で詳細に追うことができます。「あの小さかった子が、こんなに立派になって…」という感覚は、まさに親心そのものです。 - パドックでの「我が子」との対面:
レース当日、競馬場のパドックで周回する愛馬を見た時の誇らしさ。「俺の馬だぞ!」と心の中で叫ぶ瞬間は、何にも代えがたい優越感があります。 - 勝利の震えと「口取り式」:
そして、もし勝つことができれば、その喜びは筆舌に尽くしがたいものがあります。ゴール前で声を枯らし、手が震えるほどの興奮。条件を満たせば、ウィナーズサークルで馬と一緒に記念撮影をする「口取り式」に参加し、騎手や調教師と喜びを分かち合うことだってできるのです。
「投資」ではなく「大人の消費」と割り切れるか
この趣味に向いているかどうかは、毎月かかる維持費や会費をどう捉えるかにかかっています。
もしあなたが、「毎月1万円払うんだから、1万円以上戻ってこないと損だ」と考えるなら、一口馬主はストレスの塊でしかありません。しかし、「毎月1万円で、週末にドキドキできる時間と、夢を見る権利を買っている」と割り切れるなら、これほどコストパフォーマンスの良いエンターテインメントはないでしょう。ゴルフや釣り、ジム通いにお金を使うのと同じ感覚です。
一口馬主に向いている人の特徴チェックリスト
- プロセスを楽しめる人:結果(着順)だけでなく、デビューまでの過程や、負けた後の立て直しも含めてドラマとして楽しめる。
- 「推し活」ができる人:アイドルやスポーツ選手を応援するのと同じように、見返りを求めすぎず、愛馬を純粋に応援できる。
- 忍耐力がある人:馬は生き物です。怪我で1年以上走れないこともあります。そんな時でもじっくり待てる気の長さが必要。
- 予算管理ができる人:生活費を削るのではなく、あくまで「余剰資金(無くなっても生活に困らないお金)」の範囲で遊べる。
逆に、「短期間で資産を増やしたい」「負けるとイライラして日常生活に支障が出る」という方は、一口馬主ではなく、他の金融商品や馬券での勝負を選んだ方が幸せになれるかもしれません。
一口馬主は、あなたの人生に「週末の予定」と「語れる物語」を増やしてくれます。勝っても負けても、その一喜一憂こそが、私たちが高い安くない会費を払って手に入れている「体験」そのものなのです。
役立つ書籍やデータベースツールの活用
「高い馬だから走るだろう」「このクラブなら安心だろう」。初心者の頃の私は、こうした漠然としたイメージだけで出資馬を選んでいました。その結果、どうなったかは…ご想像にお任せします(笑)。
一口馬主は、構造的に「負けやすい(元本割れしやすい)」趣味です。だからこそ、少しでも勝率を高め、費用対効果を良くするためには、感情や勘に頼るのではなく、データに基づいた戦略を持つことが不可欠です。ここでは、私が普段から愛用している「三種の神器」とも言えるツールと書籍をご紹介します。
1. データの宝庫「一口馬主DB」で傾向を掴む
一口馬主をやるなら、このサイトを見ない手はありません。会員登録(無料版あり)をすると、膨大な過去データにアクセスできます。
- クラブ別回収率ランキング:
「どのクラブが会員に利益を還元しているか」が一目瞭然です。募集額に対してどれだけ賞金を稼いだかという「回収率」を見ることで、コストパフォーマンスの良いクラブが見えてきます。 - 種牡馬ごとの勝ち上がり率:
「このお父さんの子供は、実は勝ち上がり率が低い」「この価格帯のこの種牡馬は回収率が抜群に良い」といったデータは、カタログの美辞麗句に惑わされないための強力な武器になります。 - 募集価格と成績の相関:
「募集額5000万円以上の馬の回収率」などを見ることで、高額馬のリスクがいかに高いかを数字で実感できます。
これらのデータを眺めていると、「自分はどの価格帯の馬を狙うべきか」という戦略が自然と固まってきます。
2. 「netkeiba.com」で収支を見える化する
国内最大級の競馬サイト「netkeiba.com」には、一口馬主向けの非常に便利な機能があります。それが「My収支」です。
自分の出資した馬を登録し、クラブごとの会費設定などを入力しておくと、毎月の維持費や獲得賞金を自動(または手動)で集計し、「現在のトータル収支」をグラフ化してくれます。これは非常に便利な反面、見るのが怖い機能でもあります。なぜなら、「楽しかったからOK!」と誤魔化していた赤字の現実を、残酷なまでの数字として突きつけてくるからです。
収支管理の重要性
現実から目を背けず収支を直視することで、「維持費がかかりすぎているから、次は少し頭数を減らそう」や「今年は賞金が入ったから、少し冒険して高い馬にいこう」といった冷静な資金管理ができるようになります。
また、同サイトの掲示板機能も、出資馬の近況に対する他の会員の反応や、調教タイムの良し悪しを知る上で参考になります。
(出典:株式会社ネットドリーマーズ『「一口馬主」向けサービスを本格スタート』)
3. 血統本とPOG本で「相馬眼」を養う
データも大事ですが、最後は「馬そのもの」を見る目が必要です。そこで役立つのが書籍です。
- POG(ペーパーオーナーゲーム)関連本:
毎年4月〜5月頃に発売される「赤本」「青本」などのPOG本には、デビュー前の2歳馬の写真や牧場スタッフのコメントが掲載されています。自分が検討している馬がプロからどう評価されているかを知る良い材料になります。
- 血統の教科書:
「この種牡馬にはこの母父が合う(ニックス)」といった血統理論を知っていると、安い募集馬の中に隠れた宝石を見つけることができます。例えば、父ロードカナロア×母父ハーツクライのような「成功パターン」を知っていれば、カタログを見る目が変わります。
YUKINOSUKE流・活用術
私はまず「一口馬主DB」で統計的に有利な条件(クラブ・価格帯・種牡馬)を絞り込みます。次にカタログと「血統本」を照らし合わせて配合の良さを確認し、最後に「netkeiba」の掲示板やSNSで厩舎の評判や最新の馬体写真をチェックして決断します。
このプロセス自体が、レースの結果と同じくらい楽しい「知的エンターテインメント」なんですよ。
一口馬主の費用を理解して賢く楽しむ
- YUKINOSUKE
ここまで、入会金から毎月の維持費、そして引退時の精算まで、一口馬主にかかる「リアルなお金の話」を、少し厳しい現実も含めて解説してきました。「やっぱりお金がかかるな…」「自分には無理かも…」と尻込みしてしまった方もいるかもしれません。
しかし、そこで諦めてしまうのは非常にもったいないです。なぜなら、一口馬主は「費用の仕組みを正しく理解し、リスクをコントロール」さえできれば、サラリーマンの給与の範囲内でも十分に、そして長く楽しめる最高の趣味だからです。闇雲に高額馬に手を出すのではなく、自分の身の丈に合った戦略を立てることが重要です。
最後に、費用面での失敗を防ぎつつ、賢く一口馬主ライフをスタートさせるための具体的なステップと、収支管理のコツをお伝えします。
1. まずは「スモールスタート」でキャッシュフローを体感する
いきなり入会金3万円、馬代金10万円のクラブに入会するのは、心理的にも経済的にもハードルが高いです。私が初心者の方に強くおすすめするのは、「初期費用を極限まで抑えられるクラブ」でのお試しスタートです。
例えば、以下のようなクラブは参入障壁が非常に低く設定されています。
- DMMバヌーシー:入会金が無料(0円)。馬代金も1口数千円~2万円程度と安価で、月会費も口数に応じたプランがあるため、月々の支払いを数千円に抑えられます。アプリでの収支管理も秀逸です。
- 広尾サラブレッド倶楽部:頻繁に「入会金0円キャンペーン」を行っています。1口数千円から出資でき、まずは「馬を持つ」という感覚を養うのに最適です。
- インゼルサラブレッドクラブ:パッケージ商品(Insel Fun Fund)など、少額で複数頭を楽しめるプランがあり、リスク分散がしやすいのが特徴です。
まずはこれらのクラブで1頭だけ出資してみて、「毎月口座から維持費が引き落とされる感覚」や「レース結果に一喜一憂するメンタル」を1年ほど体感してみてください。そこで「これなら続けられそうだ」と確信が持ててから、キャロットクラブやシルクホースクラブ、さらには社台・サンデーといった上位クラブへのステップアップ(掛け持ち)を検討するのが、最も火傷しない安全なルートです。
2. 収支管理ツールを徹底活用して「どんぶり勘定」を防ぐ
「気付いたら通帳の残高が減っている…」という事態を防ぐために、収支の可視化は必須です。しかし、自分でExcelを叩くのは面倒ですよね。
そこでおすすめなのが、競馬情報サイト大手「netkeiba.com」が提供している一口馬主向け機能「My収支」です。これを使うと、自分の出資馬を登録するだけで、獲得賞金や維持費の目安を自動(または簡易入力)で計算し、グラフ化してくれます。
収支管理ツールを使うメリット
- クラブごとの請求額と配当額が一目でわかる。
- 「この馬はあと何勝すればプラスになるか」という損益分岐点が見える。
- 確定申告(還付申告)をする際の基礎データとして役立つ。
また、データ分析サイト「一口馬主DB」も強力な味方です。各クラブの回収率ランキングや、募集馬の適正価格などを客観的なデータで見ることができます。「この種牡馬の産駒は勝ち上がり率が高い」「この厩舎は回収率が良い」といったデータ武装をすることで、感情だけでなく論理的な馬選びができるようになり、結果として無駄な出資(コスト)を減らすことに繋がります。
3. 「引退」までを一つのパッケージとして考える
費用を考える際は、入会時だけでなく「出口」も意識しましょう。馬は必ず引退します。未勝利で終わればそこまでですが、繁殖入りや乗馬としてのセカンドキャリアが決まれば、最後まで愛馬の馬生に関わることができます。
「月々3,000円の会費を払って、週末にドキドキする時間を買った」
「トータルで20万円のマイナスだったけど、G1レースに出走して現地で絶叫できたから、旅行代としては安かった」
このように、最終的なマイナス分を「エンターテインメントへの対価(楽しみ代)」として納得できる金額に収めることが、一口馬主を長く続ける秘訣です。逆に言えば、「絶対に元を取ってやる!」と意気込んで生活費を削るような出資は、絶対に避けてください。
まとめ:無理のない範囲で「馬主ライフ」を始めよう
一口馬主は、決して安い趣味ではありません。しかし、そこには数字では測れないロマンと感動があります。自分の愛馬がゴール板を駆け抜けるあの一瞬の興奮は、何物にも代えがたい体験です。
正しい費用の知識を持ち、リスクをコントロールできれば、恐れることはありません。まずはスモールスタートから、あなたも「馬主ライフ」を始めてみませんか?週末の競馬が今の何倍も待ち遠しくなり、月曜日からの仕事の活力になること間違いなしです!
- YUKINOSUKE
※本記事の費用や数値は一般的な目安であり、実際の費用は各クラブの規約や経済情勢、競走馬の成績により異なります。最終的なご入会やご出資の判断は、必ず各クラブの公式サイトをご確認の上、自己責任で行ってください。
- YUKINOSUKE
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