【本当に月額9,000円賃金はあがるのか?】介護処遇改善支援補助金の取扱いについて

福祉の仕事

介護職員処遇改善支援補助金は新たに新設された補助金です。職員の処遇改善をしてもらえるのは有難いですし、現場の職員にとってはモチベーションの上がる内容ではないかと思います。ただ一方で『9,000円賃金があがる』という言葉が独り歩きしてしまい勘違いをしている職員がいるのも事実。また従前の介護職員処遇改善加算や特定処遇改善加算の計画も重なってくるため、事務負担が大きいのも辛いところ。ここでは新設された補助金についてのまとめと煩雑な事務処理についても実際に経験した私が数字を用いて説明していきます。私と同じように事務処理に苦労した人や今も苦労している人に参考にして頂けると幸いです。

事業概要・取得条件

対象期間→令和4年2月から9月まで(10月以降は介護報酬に組み込まれる予定)

対象職種→介護職員
※事業所の判断によって、介護職員以外のその他の職員の処遇改善に補助金を充てることができます。(例としては、通所介護の事務職員)

対象サービス・交付率→以下資料にて

対象とならないサービス→訪問看護、訪問リハビリテーション、福祉用具貸与、特定福祉用具販売、居宅療養管理指導、居宅介護支援、介護予防支援は対象外となります。

取得要件

「介護職員処遇改善支援補助金」のご案内(厚生労働省作成リーフレット)より

ある月の総報酬には、処遇改善加算と特定処遇改善加算が含まれる。

  • 処遇改善加算を算定している事業所が対象となる。処遇改善加算支援補助金だけを受けることはできない。
  • 令和4年2月分から賃金改善を行なう事。ただし就業規則等で間に合わない場合は令和4年3月分とまとめてもよい。
  • 2/3以上をベースアップ等にあてること。

  • 申請先→都道府県
  • 補助金の支給は6月から。よって法人からみると先に賃上げを行ない後から補助金が入ってくるという流れになる。

実際に計算してみた

介護職員処遇改善支援補助金の見込み額は下記の計算方法で求めます。

①ひと月あたりの介護報酬単位数×②1単位あたりの単価×③交付率×④交付対象月数

例)地域区分その他 通所介護の場合

  1. ひと月あたりの介護報酬単位数→令和3年1月~12月までの介護総報酬が240万円。ひと月分を求めたいため、これを12で割ると20万となる。
  2. 1単位あたりの単価→基本10円
  3. 交付率→通所介護1.0%
  4. 交付対象月数8カ月

〇1~4までを上記の計算式にあてはめると

20×10×10%×8=16万円となる。

例)補助対象経費(見込み) 60万円(通所介護、訪問介護、小規模多機能型居宅介護の合計)

※補助対象経費より1円でも多く職員に支給しなければならない。

  • 支給総額を65万円に設定。
  • これを支給対象となる期間8カ月(令和4年2月~令和4年9月)でわる
  • 650,000÷8=81,250。ひと月あたり81,250円となる。
  • 対象職員人数 12名
  • 81,250÷12=6,770円
  • これを100円単位にすると、6,800円。1人あたり6,800円とする。
  • 6,800円×8カ月=54,400円。支給対象者が12名のため、54,400×12=652,800円
  • 総支給額は652,800円となる。
  • 総支給額652,800円が補助対象経費(見込み)60万円を上回る事となる。

※当法人は『決まって毎月支払われる手当て』として3月に支給を行いました。3月支給分に限り2月分も合わせて支給しています

課題としては

介護報酬と連動しているため、利用者の利用状況によっては変動が考えられる。

1番の課題は手取りで9,000円増えると思っている職員への説明。

10月以降は報酬改定による対応となることなので、このような手続きはなくなるではないでしょうか。とういうより無くなってほしいです。

まとめ

事務処理を行なう立場の私から一言言わせて頂くと介護職員処遇改善加算福祉・介護処遇改善加算そして今回の介護職員処遇改善加算支援補助金3本立てになった事でより煩雑になりました。

基本的な考え方は処遇改善加算と変わらないので事務処理経験がある人間であればそこまで悩む事はないでしょうが、ほぼ経験のない私にはとても辛いものになりました。

報酬をあげて頂くのは大変有難いです。給料が少しでも増えれば皆喜ぶでしょう。ただもう少し事務手続きを簡単なものにしてもらえないでしょうか?そもそも介護報酬自体が低い事が最大の原因ではないでしょうか?

今回軽費老人ホームは対象外となりました。介護施設ではないとはいえ要支援者や要介護者が入所している施設になります。比較的軽度の方が入所してはいますが、認知症があったりヘルパーやデイサービスを利用しなければ生活が難しい方がいるのも事実です。このような方の生活の支援をしている介護員が対象外となるのには疑問が残ります。早急な対応を願いたいです。

当法人内でも、デイサービス配属の職員は処遇改善加算手当てが支給されているにも関わらず軽費老人ホーム配属の職員は何も手当は支給されない。不公平だという意見が出てきて当然だと思います。長く軽費老人ホームで相談員をしてきた私もそんな不満を抱いてはいました。ですので介護職員の処遇を本気で改善して頂けるのであれば軽費老人ホームの職員も対象にして頂きたいです。そして願わくば複雑な事務処理は辞めて頂きたい。

10月以降は報酬改定による対応となることなので、このような手続きは今回限りと願いたいです。

給料を上げてもらえるのは本当に有難い。でもやっぱりこんな複雑な事務処理は改善してもらいたいというのが私の強い願いです。

 

 

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