「名古屋の競馬場に行きたいけど、場所が変わったって本当?」「旧跡地はどうなっているの?」と、検索画面の前で首を傾げている方も多いのではないでしょうか。
実は、現在の「名古屋競馬場」は過渡期にあり、情報が少し複雑です。私自身、リニューアル直後に情報を調べた際、「弥富に移転した新施設(金シャチけいばNAGOYA)」と、「港区に残る旧施設の跡地(サンアール名古屋)」の情報が入り混じっていて、「結局、レースを見るにはどこへ行けばいいの?」と戸惑った経験があります。
【重要】目的地を間違えないために「名古屋競馬場」と検索すると、新旧2つの地点が出てくることがあります。目的に合わせて行き先を選びましょう。
- 目の前で馬が走るレースを見たいなら: 弥富市の「新・名古屋競馬場」へ行ってください。(2022年にオープンした最新施設です)
- 馬券を買いたい・再開発の様子を見たいなら: 港区の「旧・名古屋競馬場跡地(サンアール名古屋)」へ。(現在は場外発売所として営業中です)
新しい競馬場は、以前の渋いイメージを一新する最新設備で非常に快適ですし、一方で旧跡地も、2029年の完成を目指した大規模な再開発が進んでおり、街の景色が刻一刻と変わっていく様子は目が離せません。
この記事では、そんな「2つの名古屋競馬場」について、新旧両方のエリアを実際に訪れた私の視点から、現地を120%楽しむためのポイントを分かりやすくシェアします。
- 弥富に移転した新競馬場のアクセスや駐車場情報
- 2025年の注目レース日程と必食の名古屋グルメ
- 旧競馬場跡地の現在の様子と再開発スケジュール
- 場外発売所サンアール名古屋の利用メリット
弥富に移転した名古屋の競馬場に関する施設ガイド
- YUKINOSUKE
2022年4月、弥富市にグランドオープンし、愛称を「金シャチけいばNAGOYA」として新たな歴史をスタートさせた新名古屋競馬場。実際に足を運んでみて最初に感じたのは、「ここは本当に地方競馬場か?」という良い意味での裏切りでした。
かつての「土古(どんこ)」時代の、昭和レトロで少し鉄火場のような雰囲気も味がありましたが、新施設はショッピングモールやテーマパークを思わせるほどモダンで清潔感にあふれています。「競馬場=タバコ臭くて怖い」というイメージを持っている方こそ、そのギャップに驚くはずです。
新施設のここがすごい!
- コンパクトで機能的:スタンドは地上3階建て。広すぎないので移動が疲れず、どこからでもコースが見渡せます。
- 「公園」のような空間:イベント広場や芝生エリアがあり、ピクニック気分で過ごせる開放感があります。
- 誰でも安心の設備:トイレが非常に綺麗なのはもちろん、授乳室やキッズスペースも完備。女性グループや小さなお子様連れのファミリーでも安心して滞在できます。
私が特に感動したのは、観客席とコースの距離の近さです。スタンド前の屋外観覧席(約300席)に座ると、競走馬が駆け抜ける時の地響きや、騎手の掛け声がダイレクトに伝わってきます。ガラス張りの屋内席からも視界は良好で、空調の効いた快適な環境でレースに集中できるのも嬉しいポイントですね。
また、ナイター設備も最新鋭のLEDが導入されています。「ベイサイドナイター」開催時には、カクテル光線に照らされた馬場が幻想的に浮かび上がり、昼間とは全く違うロマンチックな雰囲気が楽しめます。デートスポットとしても十分に通用するクオリティだと感じました。
入場料についてこれだけ綺麗な施設ですが、本場開催時の入場料はたったの100円です(15歳未満は無料)。自動改札機に100円硬貨を投入するだけでサクッと入場できるので、気軽に立ち寄ってみてください。
名古屋駅から競馬場へのバスやアクセス方法
「弥富市」と聞くと、「ちょっと遠いな…」と身構えてしまう方もいるかもしれません。確かに名古屋の中心部からは少し離れていますが、実はアクセス環境は非常に整っています。
私のおすすめは、間違いなく無料のシャトルバスを利用することです。自分で運転する疲れもなく、交通費も浮くので、その分を馬券代やグルメに回せるのが嬉しいですよね。ここでは、主要な2つのルートについて詳しく解説します。
1. 名古屋駅(名鉄バスセンター)ルート
最も利用者が多いのがこのルートです。名古屋駅に直結している「名鉄バスセンター」から発車するため、雨の日でも濡れずに移動できますし、何より座っているだけで現地に到着するのが最高です。
乗り場と所要時間
- 乗り場:名鉄バスセンター 4階「21番乗り場」
- 所要時間:約40分
所要時間は約40分と聞くと長く感じるかもしれませんが、バスに揺られながら競馬新聞(専門紙)を広げて予想を立てていると、体感時間はあっという間です。同じ目的を持った同志たちと一緒にバスに揺られる時間は、これから始まる戦いへのワクワク感を高めてくれますよ。
【超重要】運行ダイヤは開催によって変わります!バスの時間は固定ではありません。「昼間開催」か「ナイター開催(ベイサイドナイター)」かによって、始発の時間や本数がガラリと変わります。
例えば、昼間なら9:40発がありますが、ナイターの日だとお昼過ぎまでバスがないことも。必ず出発前に公式サイトで当日の時刻表を確認してください。
2. 近鉄蟹江駅ルート
近鉄線を利用される方は、こちらのルートが便利です。名古屋駅から電車で移動して蟹江駅で降りる手間はありますが、バスの乗車時間は約20分と短縮されます。
- 乗り場:近鉄蟹江駅前(係員さんが案内していることが多いです)
- 所要時間:約20分〜25分
ちなみに、車で送迎してもらう場合やタクシーを使う場合は、伊勢湾岸自動車道の「湾岸弥富I.C.」から約5分と非常に近いです。公共交通機関でも車でも、意外とスムーズにたどり着けるのが新競馬場の良いところですね。
競馬場には広大な駐車場があり車でも安心
- YUKINOSUKE
愛知県といえば、一家に一台どころか一人一台とも言われる車社会。「電車よりもマイカーで移動したい」という方も多いですよね。
旧競馬場(土古)時代を知る方なら、「駐車場探しに苦労した」「近隣の高い民間駐車場に停めるしかなかった」という苦い記憶があるかもしれません。しかし、弥富の新競馬場ではその心配は無用です。移転によって敷地が広くなったことで、公式の収容力が桁違いにアップしています。
ドライバーに嬉しい3つのポイント
- 圧倒的な収容台数:第1・第2合わせて1,789台の駐車スペースを確保。
- 駐車料金が無料:なんと、レース開催日でも原則として無料で利用できます。(※イベント広場利用など一部例外がある場合を除き、基本は無料開放されています)
- インターから激近:伊勢湾岸自動車道「湾岸弥富I.C.」から車で約5分。遠方からのアクセスも抜群です。
私も実際に車で行くことが多いのですが、ゲートまでの誘導もスムーズで、ストレスなく入場できるのが本当にありがたいです。浮いた駐車料金の分で、美味しいグルメを一品追加できるのも嬉しい誤算でした。
「第1」か「第2」か?駐車場の賢い使い分け
駐車場は大きく分けて2つのエリアがあります。それぞれの特徴を知っておくと、当日の動きがよりスムーズになりますよ。
| 駐車場名 | 収容台数 | 特徴・メリット |
|---|---|---|
| 第1駐車場 | 537台 | 正門(入場ゲート)の目の前。歩く距離が短くて楽ですが、開門直後にすぐ満車になりやすい激戦区です。 |
| 第2駐車場 | 1,252台 | 敷地の北東側に位置するメイン駐車場。正門までは少し歩きますが、圧倒的なキャパシティがあり、混雑時でも停めやすいのが魅力。 |
私の場合、重賞レースなどの混雑日は最初から「第2駐車場」を目指すようにしています。第1で空きを探してウロウロするよりも、第2にサッと停めて歩いた方が結果的に早いことが多いからです。
混雑時の注意点「かきつばた記念」や「名古屋グランプリ」といったビッグレース開催日や、お正月の開催期間中は、周辺道路を含めて非常に混雑します。1,700台以上のスペースがあっても満車に近づくことがあるため、メインレース目当てであっても、できるだけ早い時間に到着しておくことを強くおすすめします。
快適な有料席の種類と予約方法について
- YUKINOSUKE
せっかく現地に行くなら、空調の効いた快適な席で、優雅にレースを楽しみたいですよね。スタンド棟2階には、目的に合わせて選べる様々なタイプの有料席が用意されています。
ただし、有料席を利用する上で絶対に知っておかなければならない重要なルールが一つあります。これを知らずに行くと、最悪の場合、席に入れない(または馬券が買えない)という事態になりかねないので、ここだけはしっかり読んでくださいね。
有料席エリアは「完全キャッシュレス」運用
実は、有料席エリアにある投票機はすべて「キャッシュレス専用」になっています。現金で馬券を買うことができません。
そのため、有料席を利用するには「金シャチプレミアムカード」という会員カードを作る必要があります。入会金や年会費は無料ですが、作成には本人確認が必要です。「席料だけ払えば入れるだろう」と思っていると痛い目を見ます(私は危うく免許証を忘れかけて焦りました)。
カード作成に必須の持ち物運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど、公的機関が発行した「氏名・住所・生年月日」が確認できる本人確認書類を必ず持参してください。これがないとカードが作れず、有料席エリアでの馬券購入ができません。
座席の種類と料金一覧(ダイナミックプライシング)
座席の料金は、開催日によって変動する「ダイナミックプライシング」が導入されています。通常の平日と、重賞レースやお正月などの「特定競走開催日」では料金が異なるので注意が必要です。
| 席種 | 通常価格 | 特定日価格 | 特徴・おすすめユーザー |
|---|---|---|---|
| スタンダードシート | 1,000円 | 1,500円 | 【160席】最もベーシックな席。自由席感覚で気軽に利用できます。 |
| エクセレントシート | 1,600円 | 3,200円 | 【39席】自分専用のモニターが付いた指定席。オッズやパドック映像を手元で見ながら予想に集中したい方に一番人気です。 |
| ペアシート | 3,000円 | 4,500円 | 【15組】2名掛けの席。カップルや友人同士で、会話を楽しみながら観戦するのに最適。 |
| プレミアムボックス | 6,000円 | 9,000円 | 【3室】定員2名の半個室タイプ。周囲を気にせずゆったり過ごせます。 |
| エグゼクティブボックス | 6,000円 | 9,000円 | 【5室】定員1名の完全没入型個室。誰にも邪魔されず、プロのような環境で勝負したい方へ。 |
| グループ個室各種 | 12,000円〜 | 18,000円〜 | 4名〜6名用の完全個室(ゴールド・プラチナ・プレミアムルーム)。グループでの観戦パーティーに。 |
※価格は税込です。本場開催がない日の夕方以降(ナイター場外発売時など)は、さらに割引価格になる場合もあります。
(出典:名古屋けいばオフィシャルサイト『競馬場のご案内(有料席)』)
「特定競走開催日」とは?「かきつばた記念」「名古屋グランプリ」「名古屋大賞典」といったビッグレース開催日や、1月1日〜3日のお正月開催などが該当します。これらの日は料金が1.5倍程度になりますが、それでも満席になることが多いため早めの確保が鉄則です。
予約方法と「優先入場」の裏技
有料席は、利用日の6日前から専用サイトでネット予約が可能です。当日行って空きがあれば入れますが、エクセレントシートなどの人気席はすぐに埋まってしまうため、事前のネット予約を強くおすすめします。
そして、予約者には嬉しい特典があります。それが「優先入場」です。
予約者限定の優先入場特典一般の開門時刻の30分前から15分間、入場門西側の専用レーンから先行して入場できます。
これの何が良いかというと、混雑する日でも並ばずにスッと入れるのはもちろん、一般入場のお客さんが入ってくる前に、売店で新聞を買ったりトイレを済ませたりと、余裕を持って準備ができるんです。この「優越感」と「余裕」は、一度味わうとやめられませんよ。
2025年の開催日程や重賞レースの予定
2025年(令和7年)も、全国からダートの猛者たちが集結する熱いレースが目白押しです。特に、JRA(中央競馬)の強豪馬が参戦する「ダートグレード競走」の日は、普段の地方競馬とは桁違いの熱気に包まれます。
「いつ行けばいいの?」と迷っている方のために、2025年の観戦スケジュールに絶対に組み込んでほしい4つのビッグレースを厳選しました。この日は有給を取ってでも現地に行く価値アリですよ。
2025年 注目の4大重賞スケジュール
| 開催日 | レース名 | 格付 | 見どころ |
|---|---|---|---|
| 1月4日(土) | 第29回 名古屋記念 | SPI | 新年の開幕を告げる伝統の一戦。2025年から距離が1700mに変更され、よりタフな戦いに。 |
| 2月24日(振・月) | 第27回 かきつばた記念 | JpnIII | JRA勢 vs 地方勢のスピード対決。1500mの短距離戦で、息つく暇もない攻防が見られます。 |
| 5月6日(休・火) | 第25回 名古屋グランプリ | JpnII | ゴールデンウィークのクライマックス。2100mの長距離戦で、スタミナ自慢の馬たちが激突します。 |
| 12月24日(水) | 第48回 名古屋大賞典 | JpnIII | クリスマスイブの夜に行われる年末の総決算。2000mの中距離戦で、一年の締めくくりに相応しいドラマが生まれます。 |
(出典:JRA日本中央競馬会『2025年度地方競馬ダート交流重賞競走一覧』)
ここが変わった!2025年の注目ポイント
- 名古屋記念の距離変更:これまで1500mで行われていましたが、2025年からは1700mに延長されました。たった200mですが、コースを回る回数やコーナーの位置が変わるため、予想のファクターもガラリと変わります。
- 日程の再編:以前は春に行われていた「名古屋大賞典」が12月の年末開催に定着し、クリスマスの名物レースとなりました。イルミネーション輝くナイター競馬での観戦は最高にロマンチックですよ。
- かきつばた記念の日程:2024年から2月下旬の実施となっており、フェブラリーステークス(G1)からの転戦組などが注目されます。
初めて地方競馬に行くという方は、馬券の買い方やレースの楽しみ方を予習しておくと、当日の楽しさが倍増します。特に交流重賞の日は混雑するので、マークカードの書き方などは事前にチェックしておくとスムーズですよ。
名古屋めしも楽しめる競馬場のグルメ情報
- YUKINOSUKE
競馬場の楽しみといえば、やっぱり「B級グルメ(ギャンブル飯)」は外せませんよね。施設が新しくなってオシャレなカフェメニューが増えたのかと思いきや、そこはしっかりと古き良き「名古屋の味」が継承されていて安心しました。
やっぱり競馬場に来たら、茶色くて味が濃いものをガッツリ食べたくなりませんか?私が現地で実際に食べて「これは間違いない!」と感じた、必食の鉄板グルメを紹介します。
スタンド2階「めしやん(金シャチ店)」
まず絶対に立ち寄ってほしいのが、スタンド棟2階にあるメインダイニング「めしやん」です。ここはまさに名古屋めしの宝庫。
私の一押しメニューは、何といっても「どて煮丼」です。八丁味噌ベースの濃厚なタレでトロトロになるまで煮込まれたホルモンが、白米の上に豪快に乗っています。さらに嬉しいのが、デフォルトで「半熟卵(温玉)」がトッピングされていること。濃いめの味噌味に、まろやかな卵が絡み合う瞬間は、まさに至福のひとときです。
観戦派には「串カツ」がおすすめ「ゆっくり食事をする時間がない!」という方には、「串カツミックス」が最強の相棒になります。豚串や海老などがセットになっており、もちろん味噌ダレがたっぷり。片手で食べられるので、私はこれをテイクアウトして、屋外のベンチでビール片手にパドックを眺めるのが定番スタイルになっています。
スタンド1階・フードコート「やっちゃん」
もう一つ、忘れてはいけないのが1階にある鉄板料理のお店「やっちゃん」です。
ここの名物は、地元グルメブログなどでも度々取り上げられる「オムそば」。注文してから鉄板で仕上げてくれるので、アツアツの状態で提供されます。
特徴は、なんといってもそのボリューム感と卵のフワフワ具合。濃厚なソースが絡んだ焼きそばを、厚めの卵焼きが優しく包み込んでいて、食べ応え抜群です。レースで叫んで小腹が空いた時に、このガツンとくる味が身体に染み渡るんですよね。
イベント広場のキッチンカーも要チェック重賞レース開催日や週末には、スタンド横のイベント広場に様々なキッチンカーが出店することもあります。定番の唐揚げからスイーツまでバリエーションが豊富なので、家族連れの方はこちらを利用するのも楽しいですよ。
スパイラルカーブを採用したコースの特徴
- YUKINOSUKE
競馬場が移転して何が変わったのか。スタンドやグルメも大事ですが、競馬ファンとして一番気になるのはやはり「コース」ですよね。
実は、弥富の新コースは、単に場所が変わっただけでなく、レースの質そのものを変えるような最新の設計思想が取り入れられています。少しマニアックな話になりますが、これを知っておくと予想の精度がグッと上がるはずです。
1. 地方競馬屈指の「長い直線」
旧名古屋競馬場の最大の特徴(あるいは弱点)は、194mという極端に短い直線でした。そのため、「逃げた馬がそのまま勝つ」という展開が多く、差し馬にとっては受難のコースと言われていました。
しかし、新競馬場では最後の直線が240mに延長されました。これは西日本の地方競馬場の中では最長の部類に入ります。
直線が伸びて何が変わった?
- 差し・追い込みが決まる:ゴール前での逆転劇が増え、最後まで目が離せないエキサイティングなレースが多くなりました。
- 実力が反映されやすい:展開の紛れが減り、力のある馬がしっかりと結果を残しやすいフェアなコースになっています。
2. コーナーでの攻防を変える「スパイラルカーブ」
そしてもう一つの大きな特徴が、第3コーナーから第4コーナーにかけて採用された「スパイラルカーブ」です。
スパイラルカーブとは?コーナーの入り口(3コーナー)は緩やかで、出口(4コーナー)に向かうにつれて徐々にカーブの半径がきつくなる設計のことです。
この構造により、馬はコーナー出口でスピードを落とさずに回ることができるようになります。その結果、遠心力を利用して外に膨らむことなく直線に向けるため、「外枠の馬でも不利になりにくい」という特徴が生まれます。これまでの「内枠・先行有利」という名古屋競馬の定説が、ここでは通用しない場面も出てくるのです。
3. 地方初!迫力の「ホースビューコリドー」
コース設計とは少し異なりますが、新競馬場の目玉設備として紹介したいのが「ホースビューコリドー」です。
これは、パドックから本馬場へと向かう競走馬の通り道(馬道)を、ファンがガラス越しに至近距離で見学できる施設です。地方競馬場としては初の試みで、レース直前の騎手の真剣な眼差しや、馬の荒い息づかい、蹄の音がダイレクトに伝わってきます。
これから戦いに挑む人馬の緊張感を肌で感じられるこのスポットは、まさに特等席。ぜひ一度、ここからの景色を体験してみてください。
名古屋にあった旧競馬場の跡地再開発と現状
- YUKINOSUKE
さて、ここからは「土古(どんこ)」の愛称で73年もの長きにわたり親しまれてきた、港区の旧名古屋競馬場跡地についてお話しします。
久しぶりに現地を訪れた私は、目の前に広がる光景に言葉を失いました。あの熱狂を生んだ巨大なスタンドも、馬たちが駆けたコースも姿を消し、今は見渡す限りの広大な更地が広がっています。
「あそこはもう何もなくなってしまったの?」と寂しく感じる方もいるかもしれませんが、実は今、この場所は名古屋市内でも最大級の巨大プロジェクトの真っ只中にあります。
「土古(どんこ)」という愛称の由来旧競馬場の住所がかつて「土古町(どんごちょう)」だったことに由来します。地元のオールドファンにとっては、名古屋競馬場という正式名称よりも「土古」と呼ぶ方がしっくりくるほど、地域に根付いた場所でした。
この約20ヘクタール(ナゴヤドーム約4個分)という広大な土地は、単なる跡地利用にとどまらず、商業・住居・教育が一体となった「新しい街」へと生まれ変わろうとしています。当初計画されていた「アジア競技大会の選手村」としての利用は見送られましたが、それによって逆に、2029年の街開きに向けた動きが加速しているのです。
ここでは、激変する現地の最新状況と、これからの再開発スケジュール、そして工事中でも利用できる場外発売所について、地元目線で詳しく解説していきます。
港区にある旧競馬場の解体状況と現在
- YUKINOSUKE
かつて巨大なスタンドや厩舎が立ち並び、73年もの間、数々のドラマを生んだ旧名古屋競馬場。その建物群は、大規模な解体工事によって姿を消しました。
最新の状況をお伝えすると、2025年1月をもって解体工事はほぼ完了しました。現在、現地には見渡す限りの広大な更地(さらち)が広がっています。
私も先日、久しぶりに跡地の前を通りましたが、あの威圧感のあったスタンドが完全になくなり、空が広く見えるようになった景色には、正直なところ寂しさと驚きが入り混じった複雑な感情を抱きました。「本当に終わってしまったんだな」という実感が、遅れて湧いてくる感じです。
敷地の広さはナゴヤドーム約4個分跡地の面積は約20ヘクタールにも及びます。建物がなくなったことで、その圧倒的な広さが改めて浮き彫りになりました。これだけの土地が名古屋市内にポッカリと空いていること自体が、再開発への期待を物語っています。
そして、更地になった今、プロジェクトは次のフェーズへと移行します。2025年5月からは、いよいよ再開発に向けた「造成工事」がスタートする予定です。
これは、新しい建物を建設するために土地を平らにし、道路や水道などの基盤を整える工事です。これから数年かけて、この荒涼とした更地がどのように区画整理され、新しい街の輪郭が現れてくるのか。地元住民としても、その変遷をしっかりと見守っていきたいですね。
計画変更の裏話:幻となった「選手村」当初、この場所は2026年のアジア競技大会の「選手村」として一時利用される計画でした。しかし、建設コストの高騰などを理由に、2023年にその計画は撤回(中止)されています。
結果として、選手村を作って壊すという工程がなくなったため、2029年の街開きに向けた再開発にリソースを集中できる形となりました。怪我の功名と言えるかもしれませんね。
跡地にオープンしたサンアール名古屋の機能
「旧名古屋競馬場はもう工事中で入れない」と思い込んでいませんか?実は、敷地の一部で場外発売施設「サンアール名古屋(J-PLACE名古屋)」がリニューアルオープンしており、現在も多くの競馬ファンで賑わう熱いスポットになっています。
かつての「土古」の面影を懐かしむ場所…かと思いきや、中に入るとまるで空港のラウンジのように綺麗で驚きました。「レースは見たいけど弥富まではちょっと遠いな」という日は、迷わずここを利用するのが正解です。地元民の私がヘビロテしている理由を詳しく解説しますね。
1. JRAも地方も買える!年中無休のハイブリッド施設
ここの最大の魅力は、地方競馬(名古屋・笠松など)だけでなく、JRA(中央競馬)の馬券も買えるという点です(J-PLACE機能)。
土日はJRAのレースを楽しんで、平日はナイター競馬を楽しむ。そんな使い方がここ一箇所で完結します。営業時間は基本的に年中無休なので、「今日やってるかな?」と心配する必要もありません。
2. 駐車場が「無料」で800台以上!
車で移動する私にとって一番嬉しいのが、駐車場の利便性です。旧競馬場時代は民間駐車場でお金を払っていた記憶がありますが、サンアール名古屋は敷地内に854台分の無料駐車場を完備しています。
アクセス情報
- 駐車場:854台(無料)
- 駐輪場:屋根付きのスペースあり
- 最寄駅:あおなみ線「港北駅(旧:名古屋競馬場前駅)」から徒歩圏内
3. コスパ最強!フリードリンク付きの有料席
私がここを推す最大の理由が、2階にある有料席エリアです。ここのコスパは正直、異常です。
| 席種 | 料金 | すごいポイント |
|---|---|---|
| カジュアルシート | 500円 | 自由席ですが、たったワンコインでフリードリンク飲み放題! |
| リザーブドシート | 700円 | 全席指定・モニター付き。もちろんフリードリンク付き。 |
たった500円払うだけで、空調の効いた部屋でジュースやコーヒーが飲み放題になり、幅15メートルもの巨大スクリーンで迫力ある映像を楽しめるんです。カフェに行くよりも安く、快適に一日過ごせるので、読書や作業(予想)に没頭したい時にも重宝しています。
【注意】有料席はキャッシュレス専用弥富の本場と同じく、有料席エリアを利用するには「金シャチプレミアムカード(入会無料)」が必要です。会員登録には運転免許証などの本人確認書類が必須なので、初めて行く方は忘れずに持参してくださいね。
さらに、個室(ファミリールームやグループルーム)も完備されているので、仲間内でワイワイ騒ぎながら競馬を楽しみたい時にも最適です。工事中の更地を横目に、最新の快適空間で競馬を楽しむ。そんな「今の土古」ならではの体験をぜひ味わってみてください。
2029年完成を目指す跡地の商業施設構想
- YUKINOSUKE
更地になった広大な土地に、一体何ができるのか。気になる跡地全体の未来図ですが、現在の計画では2029年頃の「まちびらき」を目指してプロジェクトが進行しています。
「またイオンができるの?」なんて声も聞こえてきそうですが、今回の開発は単なるショッピングモールの建設ではありません。中部電力グループが代表を務める企業グループが主導し、商業・住居・教育が融合した、ひとつの「新しい街(スマートタウン)」を創り上げるという壮大な構想なんです。
ここでは、現時点で判明している具体的なプランと、地元民として注目しているポイントを深掘りします。
1. 「誉(ほまれ)高校」が移転!教育の拠点が誕生
再開発の大きな目玉となっているのが、教育施設の誘致です。具体的には、愛知県小牧市にある私立「誉高校」が、この跡地に移転する計画が進められています。
- 移転予定時期:2029年4月の開校を目指す
- 狙い:少子化の中でも存続できる魅力ある学校づくりと、港区・中川区エリアの私立高校空白地帯の解消
競馬場の跡地に学校ができるなんて、昔の「土古」を知る人からすれば想像もつかない変化ですよね。若い学生たちが通学で行き交うようになれば、街の雰囲気も一気に明るく若返りそうです。
2. 選手村中止がもたらした「長期的なメリット」
ニュースでも話題になりましたが、当初この場所は2026年アジア競技大会の「選手村」として一時利用される予定でした。しかし、建設コスト高騰などの理由でその計画は白紙となりました。
「計画中止=ネガティブ」と捉えられがちですが、私はこれを「ポジティブな転換」だと考えています。
なぜなら、たった数週間の大会のために「作って、壊す」という無駄な工程がなくなり、最初から「地域住民が長く使える街」として腰を据えて開発できるようになったからです。結果として、より質の高い住環境やインフラ整備にお金と時間が使われることになるでしょう。
3. 駅名も「港北」へ変更済み。準備は万端
街の変革に先駆けて、最寄りのあおなみ線「名古屋競馬場前駅」は、2022年に「港北(こうほく)駅」へと名称が変更されました。
2029年に向けた開発エリアの構成(予定)
- 居住ゾーン:分譲マンションや戸建て住宅が整備され、新しい住民を受け入れます。
- 商業・賑わいゾーン:日常の買い物が便利な施設や、地域交流の場となる広場。
- 教育・研究ゾーン:誉高校の新キャンパスに加え、次世代技術の実証実験を行う「イノベーションハブ」のような機能も検討されています。
このように、旧名古屋競馬場跡地は、ギャンブルの聖地から、人々が暮らし、学び、集う「未来志向の街」へと180度の転換を遂げようとしています。2029年の完成時には、港区の人の流れが劇的に変わっていることでしょう。
アジア大会後のまちづくりと再開発の展望
この再開発プロジェクトは、単に古い施設を新しい建物に建て替えるだけではありません。地下鉄名港線やあおなみ線沿線の活性化も含め、名古屋市全体の都市計画において極めて重要な意味を持っています。
特に私が注目しているのが、開発の主体が中部電力グループであるという点です。彼らが掲げているコンセプトは「スマートシティ」。エネルギー効率の高い住宅や、IT技術を活用した見守りサービスなどが導入され、最先端のインフラが整った「未来の街」が誕生しようとしています。
(出典:名古屋市公式ウェブサイト『アジア競技大会選手村後利用事業について』)
「ららぽーと」との相乗効果でエリア全体の魅力が爆上がり?
港区エリアといえば、近くには大型商業施設「ららぽーと名古屋みなとアクルス」も開業し、週末は多くの家族連れで賑わっています。
今回の旧競馬場跡地開発が完成すれば、これらのスポットが点ではなく「面」でつながることになります。
港北エリアの未来予想図
- 商業機能の充実:ららぽーと周辺と、跡地の新商業エリアが連携し、名古屋南部でも有数のショッピングゾーンに進化します。
- 交通利便性の向上:あおなみ線「港北駅(旧:名古屋競馬場前)」は、これまでのようなレース開催時の大量輸送拠点から、通勤・通学客が日常的に利用する生活路線としての役割が強まります。
- 定住人口の増加:大規模な分譲マンションや戸建てが整備されることで、子育て世代の流入が期待されています。
かつては「ギャンブルの街」というイメージが強かったこのエリアですが、2029年には「住みたい街」「週末に遊びに行きたい街」としてランキングに顔を出すようになっているかもしれません。
アジア大会というイベント自体は一つの通過点に過ぎません。その先に描かれている、長期的な街のグランドデザインにこそ、ワクワクする未来が待っていると感じます。今後も工事の進捗やテナント情報など、新しい動きがあり次第、ブログでシェアしていきますね。
名古屋の競馬場に関する新旧情報のまとめ
- YUKINOSUKE
ここまで、新天地「弥富」の魅力と、生まれ変わる「港区(土古)」の現状について、私の実体験を交えて紹介してきました。
「情報が多すぎて覚えきれない!」という方のために、これだけは押さえておきたいポイントを整理しました。これさえチェックしておけば、当日の動きはバッチリです。
1. 目的別!2つの競馬場の使い分けテクニック
今の名古屋競馬は、目的に合わせて2つの場所を使い分けるのが「通(ツウ)」の楽しみ方です。
| 施設名 | こんな時におすすめ | キーワード |
|---|---|---|
| 新競馬場(弥富) | ・生のレース迫力を味わいたい ・デートや家族でお出かけしたい ・名古屋めしを堪能したい | ホースビューコリドー ナイター競馬 広大な駐車場 |
| サンアール名古屋(港区) | ・JRA(中央競馬)の馬券も買いたい ・快適なラウンジで一日過ごしたい ・再開発の様子を見守りたい | フリードリンク J-PLACE 2029年まちびらき |
2. 2025年の観戦計画に向けたチェックリスト
これから遊びに行く計画を立てる方は、以下のポイントをスクリーンショットしておくと便利ですよ。
ここだけは要チェック!
- アクセス:無料バスは便利ですが、ナイター開催日などでダイヤが変わります。出発前の時刻表確認は必須です。
- 有料席:弥富も港区も、有料席は「完全キャッシュレス」です。会員カードを作るための「本人確認書類」を財布に入れましたか?
- 2025年のビッグレース:
- 2月23日:かきつばた記念(JpnIII)
- 5月6日:名古屋グランプリ(JpnII)
- 12月24日:名古屋大賞典(JpnIII)
- 旧跡地の変化:2025年5月から「造成工事」が始まります。更地の風景が見られるのは今だけかもしれません。
2025年は、名古屋記念の距離変更(1700m化)など、レース体系にも変化がある年です。最新の情報をキャッチアップして、万全の状態で挑みましょう。
(出典:愛知県競馬組合『令和7年度 名古屋競馬 重賞競走日程について』)
最後に
「名古屋の競馬場」は今、新天地での進化と、跡地での新生という2つの大きな変化の真っ只中にあります。
かつての土古の熱気を知るファンとしては寂しさもありますが、それ以上に、これからどんな新しいエンターテインメントや街が生まれるのか、ワクワクする気持ちの方が大きいです。ぜひ皆さんも、この記事を参考に2つの場所を訪れて、今の名古屋競馬カルチャーを肌で感じてみてくださいね。
もし「初めて行くから馬券の買い方が不安…」という方は、初心者向けのガイド記事も用意しているので、予習に使ってみてください。
※本記事の情報は執筆時点のものです。レース日程、無料バスの運行ダイヤ、再開発のスケジュール等は変更になる可能性があります。お出かけの際は、必ず公式サイト等で最新情報をご確認ください。また、馬券の購入は無理のない範囲で楽しみましょう。
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