中山競馬場での競馬観戦を計画する際、快適な指定席の利用は非常に魅力的です。しかし、いざ中山競馬場の指定席マップを広げてみても、G-Seat、V-Seat、A-Seat、スマートシートなど席種が非常に多く、どの席を選べば良いか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
「そもそも中山競馬場の指定席の予約はどうやって行うのか?」「指定席の料金はいくらで、有馬記念のようなG1デーの指定席の倍率はどの程度なのか?」といった基本的な情報から、「結局、おすすめの指定席はどこなのか?」という核心的な疑問まで、知りたいことは多岐にわたるはずです。
特に人気のあるvシートの眺望や、ゴンドラ席のリニューアル後の快適性も気になります。また、屋外席であるスマートシートの座席表の詳細や、ブロックごとのスマートシートの見え方の違いも事前に把握しておきたいところでしょう。
さらに、「中山競馬場に予約なしで入れますか?」という根本的な疑問や、「中山競馬場のUMACAシートは無料ですか?」といったお得な情報についても、正確な答えが求められます。
この記事では、そのような中山競馬場の指定席に関するあらゆる疑問を解消するため、各席種の特徴から予約方法、料金、倍率、見え方に至るまで、マップと合わせて徹底的に詳しく解説していきます。
- 各指定席の料金や予約方法、倍率の目安
- 予約なしでの入場やUMACAシートの利用可否
- マップと画像で見る各指定席(Vシート、ゴンドラ席)の特徴
- スマートシートの座席表とおすすめブロック
中山競馬場の指定席マップと予約概要
- 指定席の予約の方法
- 指定席の料金一覧
- G1開催日の中山競馬場指定席の倍率
- 中山競馬場に予約なしで入れますか?
- 中山競馬場のUMACAシートは無料ですか?
指定席の予約の方法
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中山競馬場の指定席を確保するためには、現在、JRAの公式予約サイト「指定席・入場券ネット予約」を通じたオンライン予約が唯一の方法です。以前は競馬場の窓口で当日券が販売されていましたが、運用方法が変更され、現在は場内での直接販売は原則として行われていません(一部の車椅子席の当日受付などを除く)。
このネット予約を利用するためには、まず「JRA指定席・入場券ネット予約」サイトでの会員登録が必須となります。登録自体は無料で行えます。
ただし、ここで非常に重要な注意点があります。JRAの規定(および未成年者の馬券購入を禁じる法律)に基づき、20歳未満の方はこの会員登録ができません。ご家族やご友人のグループに20歳未満の方が含まれている場合でも、予約手続き自体は必ず20歳以上の方が代表して行う必要があります。
予約の具体的な方法は、観戦したい日が「G1レース開催日などの人気日」か、「それ以外の通常開催日」かで大きく異なります。
1. G1デーなど人気開催日(抽選販売)
有馬記念、皐月賞、スプリンターズステークス、ホープフルSといったG1レースが開催される日は、応募が殺到するため「抽選販売」となります。
抽選には大きく分けて2つの段階があります。
- JRAカード会員先行抽選: JRAが発行するクレジットカード「JRAカード」の会員のみが申し込める先行抽選です。一般の抽選よりも先に枠が確保できるため、当選確率が優遇されます。
- 一般抽選: JRAカード会員と、無料の一般会員の両方が申し込める抽選です。
抽選の申し込み期間は、レースの数週間前に設定されますが、申し込みできる期間が数日間と非常に短いことが多いため、JRA公式サイトの発売スケジュールをこまめにチェックし、絶対に逃さないように注意しなくてはなりません。
申し込み時には、第3希望まで席種を選択できる場合がほとんどです。前述の通り、G1デーの倍率は極めて高いため、本命の席種(例:ボックスシート)だけでなく、第2、第3希望もしっかりと入力しておくことが当選確率を上げる戦略として重要です。
当選した場合、メールなどで通知が届きますが、指定された期限内(通常は当選発表から1〜2日程度)に決済手続きを完了しないと、せっかくの当選権利が失効してしまいます。
2. 通常開催日(先着順販売)
G1レース開催日以外(G2、G3、一般レースの日)は、原則として「先着順販売」となります。
発売が開始される日時は、JRAの公式サイトで事前に告知されます(例:開催週の木曜日18時00分から、など)。
G1デーほどの争奪戦にはなりませんが、A-Seat(ゴール前)やK-Seat(1人掛ワイドシート)といった人気の屋内席、または天気の良い日のスマートシートは、発売開始直後に完売することもあります。希望の席がある場合は、発売開始時刻と同時にアクセスできるように準備しておくことをおすすめします。
予約手続きを進める上で、決済方法とキャンセルポリシーに関しても重大な注意点が存在します。
決済方法に関する注意点
予約時の決済方法はクレジットカードのみに対応しています。JRAカードのほか、VISA、Mastercard、JCBといった主要な国際ブランドのカードが利用可能です。
ここで注意したいのは、デビットカードやプリペイド(チャージ式)カードです。これらはカード会社の仕様によっては利用できない、あるいはJRAが公式に非推奨としている場合があります。確実に決済を完了させるためにも、有効なクレジットカード(本人名義)を事前に用意してください。現金や電子マネーでの支払いは一切できません。
【最重要】キャンセル・変更・返金は一切不可
JRAの指定席予約システムにおける最大の注意点は、一度購入手続きが完了すると、いかなる理由があってもキャンセル、日程変更、席種変更、返金が一切できないことです。
例えば、「当日の天気予報が雨だから、予約した屋外のスマートシートをやめたい」「急な仕事や体調不良で行けなくなった」といった自己都合はもちろん、交通機関の遅延などであっても、料金は全額発生し、返金はされません。
また、JRAには公式のリセール(再販売)システムは用意されていません。非公式な転売サイトやSNS(Xなど)を通じての個人間での譲渡・転売は、JRAの利用規約で固く禁止されています。これらの行為が発覚した場合、入場を拒否されるだけでなく、会員資格が停止されるといった重いペナルティが課されるリスクがあります。
予約は、本当に行けることが確定してから、日程や席種を間違えないよう、細心の注意を払って慎重に行ってください。
(参照:JRA 指定席・入場券ネット予約)
指定席の料金一覧
- YUKINOSUKE
中山競馬場の指定席料金は、観戦したい日のレースグレードによって変動するのが大きな特徴です。特に有馬記念や皐月賞などのG1レース開催日は料金が最も高く設定されています。
まず知っておきたい点として、JRAの指定席ネット予約で購入する指定席の料金には、当日の入場料(通常200円)が含まれています。そのため、指定席券を持っていれば、別途入場券を購入する必要はありません。ただし、車椅子席の付添いの方のみ例外となりますので、詳しくは後述します。
料金体系は、主に以下の3つの区分に分かれています。
- 1. G1レース開催日 年末の有馬記念、春の皐月賞、秋のスプリンターズステークス、2歳G1のホープフルステークスが開催される日。料金は最も高額な設定です。
- 2. G1以外の通常開催日 G2、G3、一般レースの日。これが標準的な料金設定となります。
- 3. パークウインズ時 中山競馬場でのレース開催がなく、他の競馬場のレースの馬券発売(場外発売)のみを行う日。一部の席(B-Seat, K-Seat, ボックスシート, スマートシート)が、非常に安価な料金で開放されます。
以下は、中山競馬場の主な席種と、開催日ごとの料金目安をまとめた一覧です。(料金はすべて税込)
| 席種 | フロア | 主な特徴 | G1開催日 | 通常開催日 | パークウインズ時 |
|---|---|---|---|---|---|
| G-Seat | ゴンドラ階 | 最上階。屋内・屋外両方利用可。コンセント有。 | 3,500円 | 3,500円 | 発売なし |
| A-Seat | 3階 | ゴール板に近い。ミニモニター・コンセント有。 | 3,500円 | 3,500円 | 発売なし |
| V-Seat | 4階 | 眺望良好。ミニモニター・コンセント有。 | 3,000円 | 3,000円 | 発売なし |
| K-Seat | 3階 | 1人掛ワイドシート。ミニモニター・コンセント有。 | 3,000円 | 3,000円 | 1,000円 |
| B-Seat | 3階 | リーズナブル。コンセント有(モニターなし)。 | 2,200円 | 2,200円 | 800円 |
| ボックスシート | 4階 | 4名定員。モニター・コンセント有。 | 6,800円/1卓 | 6,800円/1卓 | 3,200円/1卓 |
| スマートシート | 1階・2階 | 屋外1人席。 | 1,000円 | 400円 | 200円 |
| 車椅子席 | 4階 | 付添い1名可。モニター・コンセント有。 | 3,000円 | 3,000円 | 1,000円 |
(料金は変動する場合があります。最新の情報はJRA 中山競馬場 指定席のご案内でご確認ください。)
この表から、いくつかの特徴的な料金設定が見えてきます。特に注意したい点を以下にまとめました。
料金に関する補足と注意点
スマートシートの料金変動 最も料金変動が大きいのが屋外のスマートシートです。G1開催日は1,000円ですが、通常開催日は400円、パークウインズ時には200円と、開催日によって最大5倍の価格差があります。予算に応じて柔軟に使い分けられる席と言えます。
ボックスシートの料金体系 ボックスシートの料金(例:通常日6,800円)は、1名あたりの金額ではなく、「1卓4席分」の固定料金です。利用人数が2名であっても3名であっても、1卓分の料金が必要となります。1名での利用はできません。したがって、4名で利用する場合の一人当たりの負担額は1,700円となり、G1以外の日であればB-Seatよりも安価になる、非常にコストパフォーマンスが高い席です。
B-Seatのコストパフォーマンス B-Seatは、各席のモニターが無い代わりに、他の屋内席(A-SeatやV-Seat)と比較して料金が安価(2,200円)に設定されています。スマートフォンなどで情報を補える方にとっては、天候を気にせず観戦できる屋内席をリーズナブルに確保できる、賢い選択肢となります。
【重要】車椅子席の付添いの方の料金について
車椅子席の料金(例:通常日3,000円)には、ご利用者様ご本人の入場料は含まれています。しかし、1名まで同伴が許可されている「付添いの方」の入場料(200円)は含まれていません。
付添いの方は、当日競馬場の入場門にて、別途現金で入場料を支払う必要があります。これは「指定席料金には入場料が含まれる」という他の席のルールとは異なる唯一の例外であるため、十分にご注意ください。
G-Seat、A-Seat、V-Seat、K-Seatは、G1開催日と通常開催日で料金が変わらない(例:A-Seatは常に3,500円)設定となっています。これは、どの日に観戦しても、一定の快適性が保証されたプレミアムな席であることの表れとも言えるでしょう。
G1開催日の中山競馬場指定席の倍率
- YUKINOSUKE
有馬記念や皐月賞、スプリンターズステークス、ホープフルステークスといったG1レース開催日は、中山競馬場の指定席需要が爆発的に高まり、抽選倍率は非常に高くなります。
特に年末の有馬記念は、一年の総決算となる「グランプリ」レースとして、普段は競馬をしない一般層まで巻き込む国民的イベントです。このため、他のG1レースと比較しても応募が異常なほど集中し、確保は極めて困難を極めます。
席種によって人気が集中する傾向も顕著です。具体的には、グループで利用できるボックスシート(絶対数が少ないため)、最上階で快適なG-Seat、眺望の良いV-Seat、ゴール前のA-Seatといった、付加価値の高い席から先に倍率が跳ね上がります。これらの人気席は、抽選倍率が数十倍に達することも珍しくありません。
参考として、過去のスプリンターズステークス(G1)開催時における、JRAカード会員ではない一般会員向けの「一般抽選」応募倍率の一部を紹介します。
| 席種 | フロア | 倍率(参考例) |
|---|---|---|
| G-Seat | ゴンドラ階 | 4.2倍 |
| K-Seat | 3階 | 8.1倍 |
| A-Seat | 3階 | 6.2倍 |
| V-Seat | 4階 | 4.0倍 |
| B-Seat | 3階 | 6.7倍 |
| ボックスシート | 4階 | 52.3倍 |
| スマートシート(2階 Bブロック) | 2階 | 18.1倍 |
| スマートシート(1階 Dブロック) | 1階 | 3.5倍 |
(注:上記はあくまで過去の一例です。倍率は開催レースの注目度、当日の天候予測、そしてJRAカード会員先行抽選の応募状況によって常に大きく変動します。)
このデータから、いくつかの明確な傾向が読み取れます。
1. ボックスシートの圧倒的な需要
ボックスシートの52.3倍という数字は驚異的です。これは、4人グループが周囲を気にせず快適に過ごせる唯一の席でありながら、設置数が極端に少ないためです。「G1デーに仲間とボックス席で観戦する」ことは、まさに奇跡的な幸運が必要と言えるでしょう。
2. スマートシート(屋外席)の人気格差
同じスマートシートでも、「2階 Bブロック」が18.1倍であるのに対し、「1階 Dブロック」は3.5倍と、5倍以上の大きな差がついています。
この理由は明確で、「2階 Bブロック」は、(1) 2階席であるため1階の立ち見客に視界を遮られる心配がなく、(2) Bブロックはゴール板に近く、マルチ画面ターフビジョンも見やすい、という屋外席で最も条件の良い「Sランク」の席だからです。
一方で「1階 Dブロック」は、(1) 1階席のため前方の立ち見客で視界が遮られるリスクがあり、(2) Dブロックはゴールから少し離れる、という妥協点があるため、倍率が比較的落ち着いています。
3. K-Seat(1人席)とB-Seat(廉価席)の人気
K-Seat(8.1倍)やB-Seat(6.7倍)といった、A-Seat(6.2倍)やV-Seat(4.0倍)よりも安価、あるいは特徴的な屋内席も高い倍率となっています。これは、天候に左右されずに快適な屋内で観戦したいという根強いニーズがうかがえます。
このように、G1デーの指定席を確保するのは簡単ではありません。
もし「席種にはこだわらないから、とにかくG1の雰囲気を現地で味わいたい」という場合は、戦略的に倍率の低いスマートシート(1階のD, E, Fブロックなど)を狙うのが当選確率を上げる現実的な方法です。
逆に、人気の席を狙う場合は、JRAカード会員になって「先行抽選」に申し込む(それでも高倍率ですが)か、一般抽選で幸運を祈るしかありません。
中山競馬場に予約なしで入れますか?
- YUKINOSUKE
「ふらっと中山競馬場に行きたいけれど、予約なしでも入れるのか?」という疑問は、特に競馬観戦が初めての方や、コロナ禍以降の運用変更をご存じない方から非常に多く寄せられます。
結論から申し上げますと、「観戦したい開催日によります」というのが答えになります。現在は、G1レース開催日とそれ以外の日で、入場ルールが根本的に異なります。
1. G1レース開催日(有馬記念・皐月賞など)
予約なしでは絶対に入場できません。
有馬記念、皐月賞、スプリンターズステークス、ホープフルSといったG1レースが開催される日は、場内の著しい混雑と危険を避けるため、JRAによって「入場券ネット予約販売日」(または「完全指定席日」)と定められています。
この日に競馬場内へ入場するためには、事前にJRAの「指定席・入場券ネット予約」サイトにて、G-Seatなどの指定席、またはスマートシート(これも指定席の一種)のいずれかの電子チケットを事前購入しておくことが必須となります。
当日に競馬場の入場門で「入場券」を購入することは一切できません。G1レースの観戦を希望する場合は、必ず数週間前からJRAの発売スケジュールを確認し、抽選または先着販売でチケットを確保する必要があります。
2. G1レース開催日以外(G2, G3, 一般レースの日)
入場自体は可能です。
G1レースが開催されない通常の土日開催日であれば、「当日現金発売入場券」が各入場門の券売機で販売されています。料金は1名200円(15歳未満は無料)です。
この当日券を購入すれば、予約なしで競馬場の敷地内に入場すること自体は可能です。ただし、「入場できること」と「快適に観戦できること」は全く別の問題である点に、最大の注意が必要です。
【最重要】予約なし入場の注意点(G1以外の日)
G1以外の日に当日券で入場できた場合でも、スタンドで座って観戦できる席は基本的にありません。
なぜなら、以前は誰でも自由に座れたスタンド1階・2階の屋外観覧席エリアが、現在はすべて有料の「スマートシート」としてネット予約対象席に変更されたためです。当日券で入場した方は、これらの席に座ることはできません。
では、予約なしの場合はどこで観戦することになるのでしょうか。主な場所は以下の通りです。
- パドック周辺(立ち見): レース前の馬の状態を間近で見られますが、非常に混雑します。当然ながら、ここからレースの様子(コース)は見えません。
- コース脇のフリースペース(立ち見): レースの迫力を間近で感じられますが、ゴール前の良い場所は早い時間から場所取りが必要になります。少し後ろになると視界が遮られがちです。
- 4コーナー寄りの「芝スタンド」(屋外): ゴールからは離れますが、芝生に座って(シートなどが必要)観戦できるエリアです。レース全体は見渡しにくいですが、開放感があります。
- レストラン・売店・無料休憩所: 屋内で天候に左右されず、モニターでレースを見られます。しかし、席数は限られており、特に昼時は席の確保が非常に困難です。長時間の占有はマナー違反ともなります。
このように、予約なしでの観戦は「立ち見が基本」となり、G2やG3の開催日、あるいは天気の良い土日などは、これらの立ち見スペースすら確保するのが難しくなることがあります。
「一日中立ちっぱなしは辛い」「荷物を置いてゆっくりレースを見たい」と考えるのが通常です。
G1デー以外であっても、快適な観戦を最低限望むのであれば、最も安価なスマートシート(通常開催日400円)だけでも、事前にネット予約しておくことを強く、強くおすすめします。
中山競馬場のUMACAシートは無料ですか?
- YUKINOSUKE
はい、その通りです。中山競馬場にはUMACA(ウマカ)会員専用の無料席「UP-Seat(アップシート)」が設置されています。
これは、事前にネット予約が必要な通常の指定席とは異なり、JRAのキャッシュレス投票カード「UMACA」を持っている会員だけが、当日・先着順で利用できる無料の座席エリアです。指定席料金は一切かかりませんが、利用にはいくつかの重要な条件と注意点があります。
1. 「指定席料」が無料(入場料は別途必要)
まず最も重要な点として、UP-Seatは座席の利用料が無料です。しかし、競馬場への入場料(通常200円)は別途必要となります。無料で競馬場に入れて、無料で席が使えるわけではなく、あくまで「入場料を支払って競馬場に入ったUMACA会員への、無料アップグレードサービス」と理解するのが正確です。
2. 利用には「UMACAカード」が必須
この席を利用するには、JRAのキャッシュレス投票ICカード「UMACA」がご本人様分、必ず必要です。
UMACA(ウマカ)とは? JRAが無料で発行しているチャージ式のICカードです。現金を入金(チャージ)しておけば、マークカードを塗らずに専用の端末(UMACA投票機)で馬券を購入できます。発行時に手のひらの静脈認証を登録するため、紛失時も安心な高いセキュリティが特徴です。 (参照:JRA UMACA公式サイト)
UP-Seat(無料席)の利用方法
UP-Seatはネット予約ができません。利用するには、当日競馬場内で以下の手続きを踏む必要があります。
- 競馬場に入場する(入場料200円を支払う)
- 場内に設置されている「UMAポート」端末を探す (UMAポートは、UMACAへの入金や残高照会などに使う緑色または青色の専用端末です)
- UMAポートにUMACAカードをタッチし、画面の指示に従って「UP-Seat 利用券」を発券する
この利用券の発券をもって、席が確保されます。手続きは完全に当日の先着順です。
設置場所と特徴
UP-Seatは中山競馬場に2箇所設置されており、それぞれ特徴が大きく異なります。
| 設置場所 | フロア | 柱番号(目安) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| スタンド側 | 2階 | 16番柱付近 | ・メインスタンド内のため利便性◎ ・コース全体が見やすく、ターフビジョンも近い ・人気が非常に高く、真っ先に満席になる |
| 馬場内棟 | 馬場内 | 12番柱付近 | ・地下通路を通ってコースの内側へ行く必要あり ・スタンド側より比較的空いている ・レースを内側から見る独特の景観 |
UP-Seatは1人掛けの椅子にテーブル、ドリンクホルダーが完備されており、無料とは思えないほど快適な観戦環境です。特にスタンド2階(16番柱付近)のエリアは、ゴール前の攻防こそ少し見切れますが、4コーナーから直線にかけての攻防が見やすく、ターフビジョンも近いため、利便性と快適性を両立した「特等席」と言えます。
【最重要】G1デーは「開門ダッシュ」必須
この席の唯一かつ最大のデメリットは、席数に限りがあることです。
有馬記念や皐月賞などのG1開催日、あるいは人気のG2開催日で天気が良い日などは、この無料席を狙う来場者で熾烈な争奪戦が繰り広げられます。特に人気のスタンド2階の席は、開門と同時にUMAポートに走る人々によって、文字通り数分で満席となります。「開門ダッシュ」に不参加の場合、G1デーにこの席を確保するのはほぼ不可能と考えてください。
逆に、G1ではない通常の開催日であれば、午前中(11時頃までなど)は空いていることも多いため、利用できるチャンスは十分にあります。
もしUP-Seatの利用を考えているなら、UMACAカードは事前に作成しておくのが賢明です。
UMACAカードは競馬場やウインズのサポートカウンターで即日、無料で発行できます。身分証は不要ですが、静脈登録に数分かかります。G1当日の混雑した朝にカード発行から手続きを始めると、その間に席が埋まってしまいます。事前にカードだけ作っておき、当日は入場したら真っ先にUMAポートへ向かう、という準備をおすすめします。
中山競馬場指定席のマップで見る席種
- 目的別にみるおすすめの指定席
- ゴンドラ席のリニューアル内容
- 4階にあるVシートとは
- スマートシート座席表 (1階・2階)
- スマートシートの見え方
- 中山競馬場の指定席マップ活用ガイド
目的別にみるおすすめの指定席
- YUKINOSUKE
中山競馬場には、フロアや設備、価格帯によって多種多様な指定席が用意されています。そのため、指定席マップを見ただけでは、どの席が自分の観戦スタイルに本当に合っているのか、判断が難しいことも多いでしょう。
満足度の高い観戦体験を得るためには、ご自身が「何を最優先にするか」を明確にすることが非常に重要です。ここでは、主な観戦スタイルや目的別に、それぞれ最適なおすすめの席種を詳しく解説します。
1. ゴール前の大歓声と迫力を体感したい(臨場感重視)
レースのクライマックスであるゴール前の攻防、馬群がなだれ込んでくる地響きや騎手の声を間近で感じたいという、「臨場感」を最優先する方にはA-Seat(3階)が最適です。
A-Seat(3階)のメリット この席は、スタンド3階のゴール板に最も近い位置にあります。写真判定になるような大接戦の瞬間や、勝利騎手のガッツポーズを目の前で体感できるのが最大の魅力です。
また、臨場感だけでなく快適性も高く、各席には専用のミニモニターとコンセントが完備されています。スマートフォンでパドック情報やオッズを追いながら、最後の直線だけは肉眼で迫力を楽しむ、といったメリハリのある観戦が可能です。
注意点 ゴール前に特化しているため、レース全体の流れや、勝負どころとなりやすい4コーナーでの駆け引きは少し見渡しにくい場合があります。レース全体を俯瞰したい方より、最後の瞬間の興奮を重視する方に向いています。
2. 天候を気にせず、快適な眺望を楽しみたい(快適性・眺望重視)
「夏の暑さや冬の寒さ、急な雨風を気にせず、快適な屋内で観戦したい」という快適性を重視する方には、G-Seat(ゴンドラ階)またはV-Seat(4階)がおすすめです。
G-Seat(ゴンドラ階)は、スタンド最上階に位置する最高級グレードの席です。リニューアルされた優雅な屋内席と、G-Seat利用者専用の屋外観覧席の両方を利用できる「特別感」が魅力です。競馬場全体を見渡せる圧巻の眺望は、他の席では味わえません。
V-Seat(4階)は、4階ならではの見晴らしの良さが特徴です。中山競馬場は最後の直線が短く、4コーナーから急坂にかけての攻防が勝敗を分けることが多いトリッキーなコースです。V-Seatからは、その最も重要な勝負どころを見渡しやすいため、レースの駆け引きをじっくり分析したい玄人ファンにも好まれています。
3. 予算を抑えつつ、賢く観戦したい(コストパフォーマンス重視)
この目的には、大きく分けて2つの賢い選択肢があります。
B-Seat(3階): 屋内で安く 「屋外は天候が不安だけど、A-SeatやV-Seatほどの料金は出したくない」という方に最適です。同じ3階の屋内席でありながら、各席のモニターが設置されていない分、料金が安価に設定されています。
しかし、コンセントは各席に設置されています。自分のスマートフォンやタブレットでレース情報や映像を十分に補完できる方にとっては、天候を一切気にせず観戦できる、非常にコストパフォーマンスの高い席と言えます。
スマートシート(1・2階): 屋外でとにかく安く 「G1デー以外で、とにかく安く自分専用の席を確保したい」なら、スマートシートが最強の選択肢です。通常開催日であれば数百円で利用でき、コストパフォーマンスは抜群です。
ただし、屋外席のため天候の影響を直接受けるデメリットがあります。また、後述するように1階席は視界が遮られるリスクもあるため、階層やブロック選びが重要になります。
4. 一人でじっくりと予想や馬券に集中したい(集中・快適性重視)
「周囲の喧騒から離れ、一人でじっくりと予想や馬券検討に没頭したい」という方には、K-Seat(3階)が強く推奨されます。
K-Seat(3階)のメリット この席は「お一人様用」に特化しており、ゆったりとしたワイドタイプ仕様の椅子が採用されています。隣席との物理的な距離も比較的確保されており、パーソナルスペースを重視する方に最適です。
さらに、各席に専用のミニモニターとコンセントが完備されています。2人掛け席のように隣席の人とモニターのチャンネル争いになることもなく、自分のペースでオッズ、パドック映像、他場レースを自由に切り替えながら、終日馬券検討に集中できる環境が整っています。
5. 仲間と会話しながら、一体感を楽しみたい(グループ利用)
友人や家族と「レースを見ながら会話を楽しみたい」「周囲を気にせず盛り上がりたい」というグループ利用の場合、選択肢はボックスシート(4階)ほぼ一択です。
1テーブル4席単位での発売となり、半個室のような区画でグループ専用の空間として利用できます。テーブル中央には19インチの大型モニターが設置されており、全員でレース映像や情報を共有しながら観戦できるのが大きな魅力です。
注意点 この席は設置数が非常に少ないため、特にG1デーは抽選倍率が数十倍にも達し、予約は極めて困難です。また、料金は4名単位での固定料金であり、利用人数が3名以下であっても4名分の料金が必要となる点にも注意が必要です。
このように、観戦スタイルは人それぞれです。「何を最優先にするか(眺望、快適性、価格、臨場感)」をご自身のなかで明確にしてから席種を選ぶことが、当日の満足度に直結します。ご自身の予算と観戦スタイルに合わせて、最適な席を見つけてください。
ゴンドラ席のリニューアル内容
- YUKININOSUKE
中山競馬場のスタンド最上階、まさに「ゴンドラ階」と呼ばれる特別なフロアに位置するのがG-Seat(ゴンドラシート)です。
このG-Seatは、中山競馬場が90周年を迎えた2018年に大規模なリニューアルが実施され、単に新しくなっただけでなく、その利用コンセプトが大きく向上する快適な空間へと生まれ変わりました。
リニューアルにおける最大の変更点は、従来の「4人掛けテーブル」から、よりゆったりとした「2人掛けテーブル」へと仕様が全面的に変更された点です。
リニューアルによる快適性の向上
リニューアル以前の4人掛けテーブルでは、2名で予約した場合に他のお客様と「相席」になる可能性があり、どうしても手狭さや気兼ねがありました。
しかし、2人掛けテーブルが基本となったことで、ペアで利用する際のプライベート感が完全に確保されました。これにより、一人ひとりのパーソナルスペースが格段に向上し、カップルやご友人同士、あるいは親子で、周囲を気にせずゆったりとくつろぎながら観戦できるようになったのです。
G-Seatの魅力は、このスペースの快適性だけにとどまりません。最上階ならではの「デュアル(2重)観戦体験」が最大の強みです。
G-Seat(ゴンドラ階)の主な特徴
G-Seatの利用者は、以下の2つの座席を両方利用する権利が得られます。
- 天候に左右されない「快適な屋内席」 まず、ガラス張りで空調が完備された快適な屋内席が確保されています。中山競馬場の夏の厳しい暑さや、冬の凍えるような寒さをシャットアウトし、一日中快適な環境で予想に集中できます。 さらに、スマートフォンでの情報収集やネット投票が主流の現代において非常に重要なコンセントが、全テーブルに設置されています。これにより、レース終盤でのバッテリー切れの心配が一切不要です。
- 専用の「屋外観覧席」(席番指定) G-Seatの真価は、屋内席とは別に、席番が指定された専用の屋外観覧席も利用できる点にあります。 パドックやオッズの確認は快適な屋内で行い、レースが近づけば屋外席へ出て、最上階からコース全体を見下ろすパノラマビューと共に、生の歓声や馬の蹄音(ていおん)を肌で感じることができます。この「快適な分析」と「生の臨場感」を両立できるのが、G-Seatだけの特権です。
このようにG-Seatは、競馬場全体を見渡せる圧倒的な眺望と、天候に左右されない快適性を両立させた、中山競馬場の中でも特にグレードの高い指定席と言えます。
記念日やデート、あるいは大切な方へのおもてなしなど、少し贅沢な観戦をしたい特別な日に最適な選択肢です。
【注意】団体用の「G-Room」とは異なります
ゴンドラ階には、G-Seatの他に「G-Room」と呼ばれる席も存在しますが、これは全くの別物です。
- G-Seat(本記事の席): 2人掛けテーブルが並ぶ、個人・ペア向けの指定席エリア。JRAネット予約サイトで抽選・販売されます。
- G-Room: 12名から24名で利用できる、団体利用専用の「部屋貸し」指定席です。専用の個室空間となり、予約方法も異なります。
一般のネット予約で「G-Seat」として販売されているのは、2人掛けテーブルの指定席エリアとなりますので、お間違えのないようご注意ください。
4階にあるVシートとは
- YUKINOSUKE
「V-Seat」は、中山競馬場スタンドの4階、ゴール寄りのエリアに位置する指定席です。その名称の「V」がVictory(勝利)を意味するのか、View(眺望)を意味するのかは定かではありませんが、後者の「眺望」の良さに定評がある席として知られています。
位置的には、3階にある人気のA-Seatの、ほぼ真上にあたるエリアに設置されています。A-Seatがゴール板に近い「近さ」と「迫力」を最優先の価値としているのに対し、V-Seatの最大の魅力は、3階よりも一段高い、4階ならではの「見晴らしの良さ」にあります。
ゴールラインを間近で見る瞬間の迫力という点では、前述の通りA-Seatに軍配が上がるかもしれません。しかし、V-Seatからは、レースの勝敗を分ける最も重要な局面、つまり「4コーナーから最後の直線にかけての攻防」を、より広く、より深く見渡すことが可能です。
この「4コーナーからの眺望」が中山競馬場において非常に重要視されるのには、明確な理由があります。中山競馬場の最後の直線は310メートルと、JRAの主要競馬場の中でも非常に短いのが特徴です。さらに、ゴール手前(残り180m地点から70m地点まで)には、高低差2.24メートルを駆け上がる世界でも屈指の急な坂が待ち構えています。
このため、多くのレースでは、最後の直線に入る時点での位置取りや、どのタイミングでスパートをかけて坂をクリアするかという騎手の「駆け引き」が、そのまま勝敗に直結します。V-Seatは、そのコンマ数秒の緊迫した駆け引きや、馬群が坂を駆け上がる姿を俯瞰(ふかん)して確認するのに最適な席なのです。
もちろん、観戦の快適性を高める設備も充実しています。各テーブルの中央には、レース映像やオッズ、パドックの様子、あるいは他場のレースも確認できるミニモニターが設置されています。
加えて、各席にはコンセントが完備されています。スマートフォンで情報を収集したり、ネット投票(IPAT)を利用したりする現代の競馬ファンにとって、バッテリーの残量を気にせず一日中楽しめるコンセントの存在は、非常に重要なサポート機能と言えるでしょう。
A-SeatとV-Seatのどちらを選ぶべきか
どちらもゴール寄りの優れた屋内席ですが、観戦スタイルによっておすすめが変わります。
- A-Seat(3階)がおすすめな方: 「レース全体の流れよりも、ゴール前の大歓声や馬の息遣い、写真判定のような大接戦の迫力を最優先したい」という、臨場感を重視する方。
- V-Seat(4階)がおすすめな方: 「ゴール前の迫力も欲しいが、それ以上に、勝敗を分けた4コーナーでの位置取りや、直線での駆け引きをしっかり見極めたい」という、レース分析や戦略を重視する方。
どちらもモニターとコンセントを備えた快適な環境であることに変わりはありません。
スマートシート 座席表 (1階・2階)
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「スマートシート」は、中山競馬場のメインスタンド1階および2階の屋外エリアに広がる、お一人様用の指定席です。スタンドの指定席の中で最も席数が多く、最もスタンダードな観戦席と位置付けられています。
ここで非常に重要な点は、この広大な1階・2階の屋外エリアが、コロナ禍以前は「自由席」として開放されていたエリアであることです。運用が変更された現在では、この屋外観覧席は、そのすべてが有料のスマートシート(指定席)となっています。このため、前述の通り、当日入場券だけではこのエリアの席に座ることはできません。
スマートシートの座席表(マップ)は、まず「階層(1階・2階)」で縦に分かれ、さらに「ブロック(A〜F)」で横に分かれている、と理解すると分かりやすいです。
ブロック(A〜F)の横割り
ブロックは、ゴール板(1コーナー寄り)に近い側からアルファベット順に配置されています。
- Aブロック・Bブロック: ゴール板に最も近いエリアです。レースの決着シーンや、勝利騎手・馬のウイニングランを間近で見られるのが最大の魅力です。加えて、ゴール側にある巨大な「マルチ画面ターフビジョン」も視界に入りやすいため、レース全体の展開把握と、ゴール前の臨場感を両立しやすい、最も人気が集中するブロックです。
- Cブロック・Dブロック: 直線のちょうど中ほど、中山競馬場最大の難所である「急坂」の中腹にあたるエリアです。ゴールまで残り180m地点から始まる高低差2.24mの坂を、馬たちが最後の力を振り絞って駆け上がる姿を目の当たりにできます。まさに馬たちの根性が試される、迫力ある攻防を観戦したい方に向いています。
- Eブロック・Fブロック: 最も4コーナー寄りのエリアです(Fブロックがスタンドの最後端)。馬群が4コーナーを回って直線になだれ込んでくる、その瞬間の攻防を見たい方には最適です。ただし、この位置からゴール側の大型ターフビジョンはほぼ見えません。そのため、レース展開は4コーナー側に設置されている小型のモニターで確認することになります。
階層(1階・2階)の縦割り
スマートシートは、同じブロック内でも「1階席」と「2階席」に分かれています。この違いは、次の見出しで解説する「見え方」において非常に重要な要素となります。
座席の設備について スマートシートは全席共通で、背もたれ付きの椅子に、ドリンクホルダーが備え付けられた小さなサイドテーブルが設置されています。G-SeatやV-Seatのような個人用モニターやコンセントはありませんが、一日観戦するための最低限の機能性は確保されています。
G1デー以外であれば非常に安価な料金(通常開催日400円など)で利用できるため、「自分専用の席を確実に確保したい」という目的においては、最もコストパフォーマンスに優れた席と言えるでしょう。
スマートシートの見え方
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スマートシートは、中山競馬場の指定席の中で最も席数が多く、かつ最も安価な選択肢ですが、その「見え方」や「快適性」は、選ぶ場所によって天国と地獄ほど異なります。予約前に必ず「階層(1階か2階か)」と「ブロック(A〜F)」の特性を理解しておく必要があります。
最大の分岐点:1階席と2階席の違い
まず理解すべき最も重要な違いは、「1階」か「2階」かという階層の選択です。これはブロックの位置よりも優先して考えるべき要素です。
2階席のメリット(安全・確実な視界) 2階席の最大のメリットは、1階席よりも高い位置からコースをやや俯瞰(ふかん)する形で見られる点にあります。これにより、後述する1階席の「最大の落とし穴」である、前方の立ち見客による視界不良のリスクをほぼ回避できます。レースの勝敗を分けるメインレースで「コースが全く見えない」という最悪の事態を避けたい、あるいは確実に視界を確保したい方にとっては、2階席が圧倒的におすすめです。
1階席のメリット(近さ)とデメリット(高リスク) 一方、1階席は、コースまでの物理的な距離が2階よりも近いという魅力があります。馬が走る音や騎手の声をより間近に感じられる臨場感は1階席ならではです。しかし、このメリットは、メインレースが近づくと致命的なデメリットに変わる可能性が非常に高いことを、次の注意点で詳しく解説します。
観戦スタイルで選ぶブロック(A〜F)
階層を決めたら、次に観戦スタイルに合わせて横のブロックを選びます。
A・Bブロック(ゴール前・ターフビジョン正面) AブロックとBブロックは、ゴール板に最も近い王道のエリアです。レースの決着シーンや、勝利騎手・馬のウイニングランを間近で見られます。もう一つの隠れた大きなメリットは、ゴール側に設置された巨大な「マルチ画面ターフビジョン」も非常に見やすい位置であることです。目の前のゴール前の攻防と、ターフビジョンに映るレース全体の展開や情報を、視線を大きく動かさずに把握できるため、最も人気が集中します。
C・Dブロック(急坂・迫力重視) CブロックとDブロックは、中山競馬場最大の特徴である「ゴール前の急坂」のほぼ中腹にあたります。ゴールまで残り180m地点から始まる高低差2.24mの坂を、馬たちが最後の力を振り絞って駆け上がる姿を目の当たりにできます。騎手のアクションが最も大きくなる地点でもあり、馬の根性や迫力を重視する玄人好みのエリアと言えます。
E・Fブロック(4コーナー・展開重視) Eブロック、およびスタンド最後端のFブロックは、最も4コーナー寄りのエリアです。馬群が4コーナーを回って直線になだれ込んでくる瞬間の位置取りや、馬群の広がり、どの騎手が仕掛けようとしているかなど、戦術的な展開を見たい方に向いています。ただし、この位置からゴール側の大型ターフビジョンはほぼ見えません。そのため、レース展開は4コーナー側に設置されている小型のモニターで確認することになります。
スマートシートの注意点(必須確認)
スマートシートを選ぶ上で、絶対に知っておくべき2つの大きな注意点が存在します。これを知らずに予約すると、当日非常に後悔する可能性があります。
1. 1階席の視界不良リスク(最大の注意点) スマートシートにおける最大の落とし穴(おとしあな)が、1階席前方の立ち見エリアの存在です。1階スマートシートの最前列とコースの間には、当日入場券で入った方が自由に観戦できる「立ち見スペース」が広く設けられています。
G1デーや重賞レースの日は、レースが近づくとこのエリアに多くの人が集まるため、1階席からの視界がほぼ完全に遮られる可能性が極めて高いです。特にG1デーは、人の壁によってコースが全く見えない状態になることも覚悟しなくてはなりません。
この場合、「自分は指定席券を持っているのに、立ち見客のせいで見えない」という非常にストレスのたまる状況になりますが、席の変更や返金は一切できません。「1階席は、レースの時間以外で荷物を置いておくための基地」と割り切れる方以外は、避けるのが無難です。
2. 天候の影響(屋外席の宿命) スマートシートは完全に屋外の席であるため、天候の影響を直接受けます。
- 雨天時:スタンドの屋根(庇)は短めです。前方の列は確実に濡れますし、中ほどの列でも風向きによっては雨が吹き込んできます。雨具が必須です。
- 夏季:特に午後のメインレースの時間帯は、スタンドが西日を真正面から受ける形となります。日差しが非常に強く、眩しくて暑いため、サングラスや帽子の対策が欠かせません。
- 冬季:スタンドが日陰になる時間が長く、海からの風も相まって非常に寒くなります(底冷えします)。防寒着はもちろん、カイロやブランケットなど、万全の防寒対策が必要です。
天候に左右されずに快適に観戦したい場合は、前述の通りB-Seatなどの屋内席を検討することをおすすめします。
これらの特徴から、スマートシートを予約する際は、「1階席の視界リスク」と「天候リスク」を許容できるかどうかが大きな判断基準となります。
初めての方や、G1デーなどで確実にレースの視界を確保したい方には、多少倍率が高くとも2階席(特にターフビジョンが見やすいBブロックやCブロック)を強くおすすめします。
中山競馬場 指定席 マップ活用ガイド
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これまでの情報を踏まえ、中山競馬場の指定席マップを最大限に活用し、ご自身の観戦を成功させるための要点を、この記事の「まとめ」として改めて整理します。
まず、中山競馬場の指定席を確保する上での「基本ルール」を再確認しましょう。
予約と入場の基本ルール
- 予約はネットのみ: 中山競馬場の指定席は、現在すべてJRAのネット予約サイトでの事前予約が必須です。当日窓口での販売は原則ありません。
- 利用者の条件: 予約サイトの会員登録は20歳以上が必須です。また、決済は本人名義のクレジットカードのみとなります(デビットカードやプリペイド不可の場合あり)。
- G1デーは抽選: 有馬記念や皐月賞などのG1開催日は、販売方法が「抽選」となります。特にグループ利用が可能なボックスシート(4階)は設置数が極端に少ないため、G1デーの抽選倍率は数十倍に達することもあり、確保は非常に困難です。
- 入場料は込み: ネット予約で購入した指定席の料金には、当日の入場料(200円)が既に含まれています。ただし、唯一の例外として車椅子席(4階)の「付添いの方」のみ、当日別途200円の入場料が必要です。
- キャンセルは一切不可: 一度購入が完了した指定席は、天候、体調、交通機関の遅延など、いかなる理由があってもキャンセル・返金・変更はできません。
次に、「予約なし」や「無料席」の選択肢についてです。
予約なし・無料席の選択肢
予約なしでの入場について G1開催日(有馬記念など)は予約がないと絶対に入場できません。一方で、G1以外の通常開催日であれば、当日200円の入場券を購入して入場すること自体は可能です。
ただし、ここで最大の注意点があります。通常開催日に予約なしで入場した場合、スタンドで座れる席(旧自由席)は一切ありません。1階・2階の屋外席はすべて有料のスマートシート化されているため、観戦はパドックやコース脇での「立ち見」が基本となります。
UMACA無料席(UP-Seat)について この「立ち見」を回避する選択肢が、UMACA会員専用の無料席「UP-Seat」の存在です。これはネット予約とは別枠で、UMACAカード(JRAのキャッシュレス投票カード)を持っている方が、当日競馬場内の「UMAポート」端末を操作することで先着順で確保できる席です。指定席料金は無料ですが、入場料200円は別途必要となります。G1デーなどは開門と同時に満席になるため、利用するには早朝からの準備が求められます。
最後に、マップを見ながら具体的な席種を選ぶ際の「観戦スタイル別のおすすめ」です。
観戦スタイル別・席種選びの指針
- 臨場感重視なら: 3階ゴール板前のA-Seatが最適です。
- 眺望・レース分析重視なら: 4階から4コーナーの攻防を見渡せるV-Seatが優れています。
- 最上級の快適性なら: リニューアルされた2人掛けテーブルで、屋内・屋外両方を使える最上階のG-Seatがおすすめです。
- 一人で集中したいなら: ワイドシート仕様で専用モニター・コンセント完備のK-Seat(3階)が最適です。
- グループ利用なら: ボックスシート(4階)一択ですが、G1デーの予約は極めて困難です。
- コスト重視(屋内)なら: モニターが無い代わりに安価なB-Seat(3階、コンセント有)が賢い選択です。
- コスト重視(屋外)なら: G1以外は数百円で利用できるスマートシートが最も安価です。
スマートシート選びの最重要ポイント
最も席数が多く、予約する機会も多いスマートシート(1階・2階、A〜Fブロック)の選択は、当日の満足度に直結します。
最大の注意点は、1階スマートシートは、前方の立ち見客によって視界が完全に遮られるリスクが非常に高いことです。特に混雑日は、メインレースの時間帯にコースが全く見えなくなる事態も想定されます。このリスクを許容できない限り、1階席の予約は慎重になるべきです。レースの視界を確実に確保したい場合は、2階席を選ぶことを強く推奨します。
その中でも、G1デーなどの抽選で倍率が示す通り、最も人気があり、視界と快適性のバランスが取れているのは、2階席のAブロックまたはBブロックです。これらは「立ち見客に邪魔されず(2階)」「ゴール前でターフビジョンも見やすい(A・Bブロック)」という、スマートシートにおける最良の条件を満たしているため、最も人気が集中します。












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