「競馬を始めてみたいけど、何から手をつけていいかわからない」と感じていませんか。競馬初心者の方へおすすめの買い方の基本から、競馬を楽しむための最低限の知識まで、この記事では網羅的に解説します。競馬初心者がいくらから買えるのかという素朴な疑問から、具体的な馬券の買い方一覧を紹介し、女子も安心の競馬の楽しみ方や、馬券の買い方マークシート及びスマホ解説まで、あなたの「知りたい」に全てお答えします。さらに、実践!競馬初心者買い方おすすめ術として、初心者でも当たりやすい馬券はどれか、馬券の上手な買い方のポイント、そしてフォーメーションとボックスの違いといった一歩進んだ内容にも触れていきます。競馬で100円でいくら戻ってくるのか、そんな気になるお金の話もしっかり解説。この記事一本で、総まとめ!競馬初心者おすすめの買い方として、あなたの競馬デビューを完璧にサポートします。
この記事でわかること
- 競馬の基本から馬券の買い方までがわかる
- 初心者におすすめの当たりやすい馬券がわかる
- マークシートとスマホでの購入方法がわかる
- 競馬をより楽しむための実践的なコツがわかる
競馬初心者買い方おすすめの基本
- 競馬を楽しむための最低限の知識
- 競馬初心者馬券はいくらから買える?
- 馬券の買い方一覧を紹介
- 女子も安心の競馬の楽しみ方
- 馬券の買い方マークシートスマホ解説
競馬を楽しむための最低限の知識
競馬の世界により深く没入し、心から楽しむためには、まず基本的な仕組みや背景を理解することが重要な鍵となります。競馬は、単に勝ち馬を当てるだけのゲームではありません。それは、卓越した技術を持つ騎手(ジョッキー)と、鍛え上げられた競走馬が人馬一体となって勝利を目指す、筋書きのないスポーツです。そして、レースに至るまでの過程や各馬の背景を知ることで、結果を予想する知的なエンターテイメントへと昇華します。
中央競馬(JRA)と地方競馬(NAR)の違いを理解する
日本の競馬は、農林水産省の監督下で運営される公営競技であり、主催者の違いによって大きく二つに分類されます。一つは日本中央競馬会(JRA)が主催する「中央競馬」、もう一つは各地方自治体が主催する「地方競馬(NAR)」です。両者はそれぞれに独自の魅力を持っており、違いを知ることで、より自分のスタイルに合った楽しみ方を見つけることができるでしょう。
- 中央競馬(JRA)
主に土曜日と日曜日に開催され、テレビ中継やメディアでの露出も多く、華やかな雰囲気が特徴です。賞金水準が高いため、日本全国からトップクラスの競走馬や騎手が集結します。そのため、レベルの高いレースが多く、GI(グレードワン)と呼ばれる最高峰のレースは社会的な注目度も非常に高くなります。情報量も豊富で、新聞やウェブサイトで詳細なデータが手に入りやすいことから、初めて競馬に触れる方にとっては、予想の取っ掛かりを見つけやすいというメリットがあります。
- 地方競馬(NAR)
中央競馬が開催されない平日を中心に、ほぼ毎日日本のどこかで開催されているため、思い立った時に気軽に楽しめる点が大きな魅力です。各競馬場が地域に密着しており、アットホームな雰囲気の中でレースを観戦できます。また、夏場を中心に開催される「ナイター競馬」は、仕事帰りに立ち寄れるレジャーとしても人気を博しています。中央競馬に比べてコースが小回りで直線が短い傾向にあり、騎手の腕前や展開の読みがレース結果を大きく左右する、玄人好みのレースも少なくありません。
どちらが良いというわけではなく、それぞれに楽しみ方があります。まずは有名な馬や騎手が多く登場する中央競馬から観戦を始め、慣れてきたら地方競馬にも目を向けてみると、競馬の世界がさらに広がります。
競馬場の特徴がレースを面白くする
中央競馬は、札幌、函館、福島、新潟、東京、中山、中京、京都、阪神、小倉という全国10カ所の競馬場で開催されています。これらの競馬場は一つとして同じものはなく、それぞれが独自の個性を持っています。例えば、レースの舞台となるコースには、主に「芝」と「ダート(砂)」の2種類があり、どちらのコースで行われるかによって、活躍する馬のタイプは大きく異なります。
- 芝コース:スピードが出やすく、特にレース終盤の瞬発力が求められます。軽い走りをする馬や、ヨーロッパの血統を持つ馬などが得意とする傾向があります。
- ダートコース:砂の上を走るため、スピード以上に力強さ(パワー)が要求されます。筋肉質な体つきのアメリカ血統の馬などが活躍しやすい舞台です。
さらに、コースの形状も様々です。東京競馬場のように直線が長く広々としたコースでは馬の実力が発揮されやすい一方、中山競馬場のようにゴール前に急な坂が待ち受けるコースでは、スタミナや根性が問われます。こうしたコースごとの特性と、それぞれの馬が持つ能力や得意分野(距離適性など)を照らし合わせることが、競馬予想の醍醐味と言えるでしょう。実際に競馬場へ足を運べば、競走馬が地面を蹴る蹄音や、地鳴りのような大歓声を全身で感じることができ、画面越しでは決して味わえないライブスポーツとしての興奮を体験できます。
競馬は「ブラッド・スポーツ(血のスポーツ)」
競馬が他のスポーツと一線を画す大きな特徴として、その血統が非常に重視される点が挙げられます。このことから、競馬は敬意を込めて「ブラッド・スポーツ(血のスポーツ)」とも呼ばれています。競走馬の能力は、その馬一代で完結するものではなく、父や母、さらには祖父母から脈々と受け継がれてきた遺伝によって、大きな影響を受けるからです。
例えば、伝説的な名馬であった父「ディープインパクト」の子どもたちは、父親譲りの鋭い瞬発力を武器に多くのレースで活躍しました。このように、血統背景を知ることで、まだ実績の少ない若い馬であっても、その馬が秘めている潜在能力や、得意とするであろう距離・コースなどをある程度推測することが可能になります。強い父馬や母馬から生まれた子馬が、どのような競走馬に成長していくのか。何世代にもわたる壮大な血のドラマを追いかけることは、競馬の根源的な楽しみ方の一つなのです。
競馬初心者馬券はいくらから買える?
「競馬を始めるには、ある程度まとまった資金が必要になるのでは?」といったイメージをお持ちかもしれませんが、その心配は全くありません。驚くかもしれませんが、競馬の馬券(正式名称:勝馬投票券)は、最低100円から購入し、レースに参加することが可能です。これは、競馬が公営競技として、できるだけ多くの人々に気軽に楽しんでもらいたいという考えに基づいています。
全ての馬券は「100円単位」で購入できる仕組みになっており、これは自動販売機で飲み物を買う感覚で、一頭の競走馬に夢を託せることを意味します。もちろん、ご自身の予想に合わせて購入金額を増やすこともできますが、特に競馬を始めたばかりの段階では、勝ち負け以上に「楽しむこと」を最優先に考えることが何よりも大切です。まずは無理のない範囲で、少額からスタートし、競馬場の雰囲気やレースの展開に少しずつ慣れていくのが、長く楽しむための賢明な付き合い方と言えるでしょう。
例えば「今日の予算は500円」と上限を決め、ワンコインで楽しむのはいかがでしょうか。楽しみ方は自由自在です。1レースに100円ずつ賭けて5レース分の興奮を長く味わうのも一つの方法ですし、あるいは「このレースだ」と確信を持てた一つのレースに500円を投じ、より大きなリターンを目指すのも面白い試みです。
もし100円で購入した馬券が的中すれば、その払戻金は「オッズ」という倍率に応じて支払われます。オッズが5.8倍であれば580円に、もし100倍を超えるような人気薄の馬が勝てば、100円が1万円以上の「万馬券」に変わる可能性も秘めています。この「少額の投資が、大きな興奮と喜びに変わるかもしれない」という体験こそ、多くのファンを魅了してやまない競馬の醍醐味です。まずは気軽に、ご自身のお小遣いの範囲で、夢のチケットを手に入れてみてください。
馬券の買い方一覧を紹介

競馬には、的中条件や難易度が異なる様々な種類の馬券(正式名称:勝馬投票券)が用意されています。JRAが発売している馬券は、インターネット投票限定のものを合わせて全部で10種類あります。それぞれの特徴を理解することで、自分の予想スタイルやレースの状況に合わせた馬券選びが可能になり、競馬の楽しみ方が格段に広がります。
ここでは、JRAで発売されている全10種類の馬券について、その特徴を詳しく解説します。各馬券の詳細は、JRA公式サイトの「馬券の種類」ページでも確認できます。
馬券発売のルール
一部の馬券は、レースの出走頭数が少ない場合には発売されません。例えば、「複勝」は出走馬が4頭以下のレースでは発売されず、「枠連」は8頭立て以下のレースでは基本的に発売されませんのでご注意ください。
1. 単勝(たんしょう)
的中条件:1着になる馬を当てる。
特徴:最もシンプルで分かりやすい、競馬の基本となる馬券です。「この馬が一番強いはずだ」と信じる一頭を選んで応援する、という競馬の原点を楽しめます。応援している馬がゴール板を最初に駆け抜けた時の喜びは格別です。
2. 複勝(ふくしょう)
的中条件:3着以内に入る馬を1頭当てる(出走頭数が7頭以下の場合は2着以内)。
特徴:全馬券の中で最も的中確率が高い、初心者の方に最適な馬券です。1着だけでなく2着、3着でも的中となるため、「当たる」という成功体験を積みやすいのが大きなメリットです。まずは複勝でレースに慣れることから始めるのがおすすめです。
3. 応援馬券
的中条件:選んだ1頭の「単勝」と「複勝」を同時に購入する。
特徴:馬券の上部に「がんばれ!」という文字と共に馬名が印字される、特別な馬券です。機能的には単勝と複勝のセット購入ですが、応援する気持ちを形にできるため、記念品としての価値も持ち合わせています。
4. 枠連(わくれん)
的中条件:1着と2着になる馬の「枠番号」の組み合わせを当てる(着順は問わない)。
特徴:出走馬は最大8つの「枠」にグループ分けされており、その枠番号で予想する馬券です。例えば、1枠の馬と2枠の馬が1着・2着に入れば的中となります。同じ枠に2頭の馬が入っている場合、その2頭で1着・2着を独占しても的中となる「ゾロ目」という買い方もあります。
5. 馬連(うまれん)
的中条件:1着と2着になる馬の「馬番号」の組み合わせを当てる(着順は問わない)。
特徴:単勝の次にポピュラーで、競馬予想の中心となる馬券です。「どの馬が勝つか」だけでなく「どの馬が2着に来るか」までを考える必要があり、予想の幅が広がります。着順は問わないため、選んだ2頭が1着・2着であれば、どちらが先でも的中です。
6. 馬単(うまたん)
的中条件:1着と2着になる馬の「馬番号」を、着順通りに当てる。
特徴:馬連と似ていますが、こちらは1着と2着の着順まで完璧に当てる必要があります。難易度が上がる分、馬連よりも高い配当が期待できます。予想に自信があり、「1着はこの馬で、2着はこの馬」とまで読み切れた時に挑戦したい馬券です。
7. ワイド
的中条件:3着以内に入る2頭の組み合わせを当てる。
特徴:選んだ2頭が「1着と2着」「1着と3着」「2着と3着」のいずれかの組み合わせでゴールすれば的中となる、守備範囲の広い馬券です。複勝の次に当たりやすく、それでいて複勝よりは高い配当が期待できる、バランスの良さが魅力です。
8. 3連複(さんれんぷく)
的中条件:1着、2着、3着になる馬の組み合わせを当てる(着順は問わない)。
特徴:レースの主役となる3頭を選ぶ、中級者向けの馬券です。着順は問わないものの、3頭を当てるのは簡単ではなく、その分、的中した際には中配当から高配当(万馬券)になることも少なくありません。
9. 3連単(さんれんたん)
的中条件:1着、2着、3着になる馬を、着順通りに当てる。
特徴:全馬券の中で最も難易度が高く、同時に最も高い配当が期待できる、まさに夢の馬券です。時に数十万、数百万、過去には数千万円という超高額配当を生み出したこともあります。競馬ファンの誰もが一度は的中を夢見る、究極の馬券と言えるでしょう。
10. WIN5(ウィンファイブ)
的中条件:JRAが指定する5つのレース全ての1着馬を当てる。
特徴:インターネット投票限定で発売される、宝くじのような馬券です。5レース全ての勝ち馬を当てるという極めて高い難易度を誇りますが、的中者がいなかった場合に払戻金が繰り越される「キャリーオーバー」制度により、法律で定められた上限である最高6億円の払戻金の可能性があります。
なお、これらの馬券は、レースの出走頭数によっては発売されない場合があります。例えば、「複勝」は出走馬が4頭以下のレースでは発売されません。馬券を購入する際には、発売されている式別(馬券の種類)を確認することが大切です。
女子も安心の競馬の楽しみ方

「競馬場は男性ファンが多くて、少し行きづらいかもしれない」というイメージは、もはや過去のものです。現在の競馬場は、驚くほどクリーンで開放的な空間へと進化を遂げています。美しく整備された緑豊かな公園のような敷地内には、女性やカップル、そして家族連れが一日中快適に過ごせるための工夫が随所に凝らされており、競馬の知識が全くない方でも、安心して楽しめる現代的なレジャースポットへと変貌しました。
女性のためのオアシス「UMAJO SPOT」を拠点にする
競馬場に初めて訪れる女性に、ぜひ活用していただきたいのが「UMAJO SPOT(ウマジョ スポット)」です。これは、JRAの主要な競馬場に設けられた女性専用のリラックススペースで、まさに「女性のための競馬コンシェルジュデスク」とも言える場所です。
このスポットの最大のメリットは、競馬に関するあらゆる不安や疑問を解消できる点にあります。常駐している女性コンシェルジュが、マークシートの書き方といった基本的なことから、「今日のメインレースの見どころ」や「パドックでの馬の見方」といった一歩進んだ楽しみ方まで、一人ひとりのレベルに合わせて丁寧に教えてくれます。さらに、無料で提供されるドリンクサービスや、SNS映えするような週替わりのオリジナルスイーツを味わいながら、落ち着いた空間で休憩できるのも嬉しいポイントです。まずはここを拠点として、競馬場の雰囲気に慣れていくことをおすすめします。ただし、GIレース開催日などは混雑する場合もあるため、時間に余裕を持って訪れると良いでしょう。
レースだけじゃない!競馬場の多彩な魅力を満喫する
競馬場の楽しみは、コースの上だけで繰り広げられるわけではありません。むしろ、レース以外の時間にもたくさんの魅力が詰まっています。
- レベルの高い「競馬場グルメ」を味わう
競馬場の食事は、驚くほど多彩で本格的です。手軽なB級グルメから、有名レストランとコラボレーションした限定メニュー、さらには全国各地のご当地グルメが集まるフードフェスが開催されることもあります。青空の下で美味しい食事と共にビールやワインを楽しむ時間は、格別なものになるでしょう。
- ピクニック気分でリラックスする
広大な敷地内には、手入れの行き届いた芝生エリアが広がっています。レジャーシートを広げて寝転んだり、友人とおしゃべりを楽しんだりするだけでも、最高のピクニック気分を味わえます。都会の喧騒から離れた開放的な空間で、のんびりと過ごすのも贅沢な楽しみ方です。
- 馬と触れ合って癒される
競馬場では、実際に馬と触れ合えるイベントも頻繁に開催されています。誘導馬と一緒に記念撮影をしたり、体験乗馬に参加したりすることで、サラブレッドの美しさや優しさを間近で感じることができます。動物が好きなら、見逃せない体験となるはずです。
- 限定グッズをショッピングする
場内のショップでは、競馬場でしか手に入らないオリジナルグッズも販売されています。可愛い馬のぬいぐるみや、人気馬をモチーフにしたおしゃれなデザインの雑貨など、お土産や自分へのプレゼントに最適なアイテムが見つかります。
女性が競馬を120%楽しむための実践的なコツ
ほんの少し準備とコツを知っておくだけで、競馬場での一日はさらに快適で楽しいものになります。
服装は「動きやすさ」とおしゃれを両立
競馬場内は非常に広いため、たくさん歩くことを想定した服装が基本です。履き慣れたスニーカーと、動きやすいパンツスタイルが最も適しています。また、屋外と屋内の寒暖差に対応できるよう、体温調節がしやすいカーディガンやパーカーなどの羽織ものを一枚持っていくと重宝します。両手が自由に使えるショルダーバッグやリュックサックを選べば、馬券の購入や写真撮影もスムーズに行えるでしょう。
持ち物は事前にチェックして万全の準備を
屋外で過ごす時間も長くなるため、季節に応じた準備が大切です。特に日差しの強い季節には、日焼け止め、帽子、サングラスが必須アイテムとなります。また、急な天候の変化に備えて、折りたたみ傘やレインコートがあると安心です。その他、スマートフォン用のモバイルバッテリーや、芝生でくつろぐためのレジャーシート、双眼鏡などがあると、より快適に過ごせます。
快適な観戦を約束する「指定席」の活用
人混みを避け、自分の席で落ち着いてレースを観戦したい場合は、事前にインターネットで指定席を予約することをおすすめします。指定席エリアは屋根があるため天候に左右されず、席によっては充電用のコンセントが設置されている場合もあります。特にGIレースのような大きなレースが開催される日は、自由席が大変混雑するため、指定席の価値は一層高まります。予約は抽選になることも多いため、早めに計画を立てておくと良いでしょう。
パドックで自分だけの”推し馬”を見つける
レースの前に、これから出走する馬たちを間近で観察できる「パドック」は、ぜひ立ち寄りたいスポットです。専門的な見方が分からなくても、全く問題ありません。「毛ヅヤが綺麗で格好いい」「落ち着いていて賢そう」「名前が可愛い」といった直感で、応援したい”推し馬”を見つけるのが、初心者ならではの楽しみ方です。自分の選んだ馬がレースで一生懸命走る姿を見れば、自然と感情移入し、競馬のドラマに引き込まれていくはずです。
馬券の買い方マークシートスマホ解説

競馬の馬券を手に入れる方法は、現在大きく分けて二つの主流なスタイルがあります。一つは、競馬場やWINS(ウインズ)と呼ばれる場外馬券発売所に足を運び、物理的な馬券を購入する伝統的な「マークシート方式」。もう一つは、ご自身のパソコンやスマートフォンを利用して、場所を選ばずに手軽に購入できる「インターネット投票」です。それぞれに異なるメリットや注意点が存在するため、ご自身の観戦スタイルや競馬との向き合い方を考えて、最適な方法を選ぶことが大切です。ここでは、両者の具体的な購入手順と、それぞれの楽しみ方を詳しく解説していきます。
マークシートでの買い方:アナログならではの臨場感を味わう
競馬場やWINSに設置されている専用のマークシートと鉛筆を使い、現金で馬券を購入する方法です。自分の手でマークを塗りつぶし、発券された一枚の馬券を握りしめてレースの行方を見守るスタイルは、デジタルにはない独特の緊張感と、的中した際に馬券を機械に通す時の高揚感を味わえます。記念に的中馬券を手元に残せるのも、この方式ならではの魅力です。
マークシートの記入から購入までの流れ
マークシートには目的別に複数の種類がありますが、まずは基本的な馬券(単勝・複勝から3連単まで)を購入できる「緑色」のシートを手に取ることから始めましょう。
- 開催場とレース番号をマークする:馬券を購入したいレースが開催されている競馬場(例:東京、中山、京都など)と、その日の何レース目にあたるかを正確にマークします。ここを間違えると、全く別のレースの馬券が発券されてしまうため注意が必要です。
- 式別(馬券の種類)を選ぶ:単勝、複勝、馬連など、購入したい馬券の種類(式別)を一つ選び、マークします。
- 馬番号(または枠番号)をマークする:予想した馬の番号を、対応する欄にマークします。馬連や3連複のように複数の馬を選ぶ場合は、それぞれの欄に一つずつマークを入れていきます。
- 金額と単位をマークする:購入したい金額の数字と、「百円」「千円」「万円」のいずれかの単位をマークします。この部分が最も間違いやすいポイントです。
- 自動発売機に投入する:記入を終えたマークシートと、購入金額分の現金を自動発売機に投入すると、馬券が発券されます。発券された馬券は、必ずその場で内容に間違いがないか確認する習慣をつけましょう。
マークシート記入で初心者が陥りやすい注意点
初心者に最も多いのが「金額」と「単位」の組み合わせミスです。例えば、「100円」分購入するつもりで、金額の「1」と単位の「百円」をマークすべきところを、「百円」の単位を塗り忘れてしまうと、機械は「1円」と認識してしまい馬券を発券できません。逆に、金額の「1」と単位の「千円」をマークしてしまうと、意図せず1,000円分の馬券が購入されてしまいます。記入後は「中山11レース、馬連で1番から5番へ、100円」というように、声に出して指差し確認を行うと、ミスを大幅に減らすことができます。
スマホでの買い方(インターネット投票):いつでもどこでもスマートに楽しむ
JRAが提供する公式のインターネット投票サービスに会員登録すれば、スマートフォン一つで馬券の購入からレース映像の観戦まで、全てを完結させることが可能です。特に「即PAT」というサービスは、対応する銀行の口座さえ持っていれば、手続きをしたその日から馬券を購入できるため、初心者には最もおすすめの方法と言えます。
会員登録から投票までの流れ
インターネット投票は、場所に縛られず、レース発走の直前までじっくりと予想できるのが最大のメリットです。リアルタイムで変動するオッズや、パドックの映像などを確認しながら、最適なタイミングで購入できます。
- 会員登録を済ませる:JRAの公式サイトにアクセスし、画面の指示に従って銀行口座情報などを入力し、会員登録を完了させます。登録手続きは、競馬が開催されている時間帯に限られる点にご注意ください。
- 購入資金を入金する:登録完了後、ご自身の銀行口座からJRAのインターネット投票用口座へ、馬券の購入資金を移動させる「入金指示」を行います。この操作はスマートフォン上で簡単に行え、資金は即座に反映されます。
- レースを選んで投票する:投票サイトにログインし、購入したいレース、馬券の種類、馬番号、金額を選択します。画面上で買い目と合計金額が明確に表示されるため、マークシートのような記入ミスが起こらないのが利点です。
インターネット投票のメリットと心構え
的中した場合の払戻金は、レースが確定すると即座に投票用口座へ自動で振り込まれ、その資金を使って次のレースの馬券を購入することも可能です。また、購入履歴や収支がデータとして自動的に記録されるため、後から自分の成績を振り返りやすいというメリットもあります。
一方で、その手軽さゆえに、ついつい予算以上に馬券を購入してしまうリスクも伴います。非常に便利なシステムですが、「1日に使う上限金額をあらかじめ決めておき、それを超える追加入金はしない」といった強い意志を持って、計画的に楽しむことが何よりも大切です。
実践!競馬初心者買い方おすすめ術

- 初心者でも当たりやすい馬券は?
- 馬券の上手な買い方のポイント
- 100円でいくら戻ってくる?
- フォーメーションとボックスの違い
初心者でも当たりやすい馬券は?
数多く存在する馬券の種類の中から、競馬を始めたばかりの方が最初に挑戦するのに最も適しているのは、「複勝」と「ワイド」の2種類です。なぜなら、これらの馬券は他の種類に比べて的中するための条件が圧倒的に緩やかであり、競馬の最も根源的な喜びである「予想が当たった」という体験を、非常に高い確率で味わうことができるからです。
競馬と聞くと、複雑なデータ分析や一攫千金を狙うイメージがあるかもしれません。しかし、この奥深いエンターテイメントを長く楽しむための秘訣は、まず「当たる」という小さな成功体験を一つひとつ積み重ね、モチベーションを維持することにあります。その点で、的中へのハードルが低いこの2つの馬券は、最高の入門編と言えるでしょう。ここでは、それぞれの馬券が持つ魅力と、具体的な楽しみ方をさらに詳しく解説します。
複勝:まずは「当たる」を体験したい人のためのお守り馬券
「複勝」は、選んだ1頭が3着以内に入れば的中となる、極めてシンプルな馬券です。ただし、JRAのルールでは、レースの出走頭数が7頭以下の場合は2着以内、4頭以下の場合は発売されない、という点には注意が必要です。
例えば、18頭の馬が出走するレースがあったとします。1着の馬をピンポイントで当てる「単勝」の的中確率は、単純計算で18分の1です。一方で、「複勝」であれば3着までが的中ゾーンとなるため、単純計算での確率は3倍の18分の3、つまり6分の1にまで広がります。この圧倒的な「当たりやすさ」こそが最大の魅力です。応援している馬がゴール前で惜しくも4着に敗れることはあっても、3着以内であれば的中となるため、最後まで希望を持ってレースを観戦できます。
- メリット:とにかく的中させやすいのが最大の利点です。予想に大きなプレッシャーを感じることなく、純粋に一頭の馬を応援する楽しみに集中できます。
- デメリット:的中しやすい分、配当(払戻金)は低くなる傾向があります。これは、的中者が多くなるため、一人当たりの分配金が少なくなる仕組みだからです。時には、馬券の購入金額よりも払戻金が下回る「トリガミ」という状態になる可能性もあります。
複勝は、大きく儲けるための馬券というよりは、「当たる」という経験を通じて競馬の楽しさの本質に触れるための、最初の一歩として最適な馬券です。
ワイド:当たりやすさと程よい配当のバランスが魅力
「ワイド」は、あなたが選んだ2頭が、2頭とも3着以内に入れば的中となる馬券です。着順は問わないため、「1着と2着」の組み合わせはもちろん、「1着と3着」や「2着と3着」でも的中となります。言い換えれば、「3着までにゴールする馬のうち、2頭を当てることができれば良い」というルールです。
複勝よりは少し難易度が上がりますが、それでも3着までに2頭が入れば良いという条件は、他の馬券に比べればかなり緩やかです。複勝の次に当たりやすく、それでいて配当は複勝よりも高くなる傾向があるため、「当たりやすさ」と「リターン」のバランスが非常に良いのが特徴です。「応援したい本命馬が1頭いるけれど、もう1頭、気になる穴馬がいる」といった場合に、その2頭の組み合わせで買うのに最適な馬券と言えるでしょう。
- メリット:的中範囲が広いため安心感があり、複勝よりも高い配当が期待できます。馬連(1着と2着の組み合わせ)や馬単(1着と2着を着順通り)といった、より難易度の高い馬券の「保険」として購入する、といった応用的な使い方も可能です。
- デメリット:当たりやすいとは言え、選んだ2頭のうち1頭でも4着以下に敗れると的中にはなりません。また、3連単のような一攫千金を狙えるほどの爆発力はありません。
ワイドに関しては、こちらの記事【競馬のワイドがおいしい理由と最強の買い方を解説】で詳しく解説しています。
おすすめのステップアップ方法
競馬の楽しみ方を着実に広げていくために、以下のような段階を踏んでいくことをお勧めします。
- まずは「複勝」から:最初のうちは、パドックの雰囲気や馬の名前など、直感で「応援したい」と思える馬を1頭見つけ、その馬の「複勝」を100円だけ購入することから始めてみましょう。そして、レースで自分の選んだ馬が3着以内に入り、電光掲示板に「的中」の文字が表示される喜びを体験してください。
- 次に「ワイド」へ挑戦:複勝での的中に慣れてきたら、次のステップとして「ワイド」に挑戦します。先ほどと同様に「3着以内には来そうだ」と信じる馬を1頭(軸馬)決め、その馬と一緒に3着以内に入ってきそうな、もう1頭の相手を探してみましょう。この「軸馬から相手へ」という考え方は、今後の競馬予想の基本となります。
このように、焦らずに一つずつ的中体験を重ねていくことが、競馬という趣味を長く楽しむための最も確実な近道です。複勝とワイドを使いこなせるようになれば、自然と次のステップである「馬連」や「3連複」への道も開けてくるでしょう。
馬券の上手な買い方のポイント

競馬で継続的に利益を出すこと、あるいは大きな損失を避けながら長く楽しむためには、運や直感だけに頼るのではなく、いくつかの重要なポイントを押さえた「上手な買い方」を意識することが不可欠です。ここで言う上手な買い方とは、単に的中させる技術だけを指すのではありません。それは、資金を適切に管理し、冷静な判断を下し続けることで、競馬という趣味と健全に向き合っていくための「守りの戦略」です。ここでは、特に初心者の方が最初に身につけておきたい、資金管理とレース選びのコツを深掘りしてご紹介します。
ポイント1:参戦するレースを「厳選する」勇気を持つ
競馬は、中央競馬だけでも1日に最大で36レース(3競馬場開催の場合)が行われる日もありますが、全てのレースに参加しようと考えるのは賢明な戦略とは言えません。むしろ、手当たり次第に馬券を購入することは、予想の精度を下げ、資金を急速に減らしてしまう最も典型的な失敗パターンです。
その理由は、人間の集中力には限界があるからです。多くのレースを予想しようとすると、一レースあたりにかけられる時間が短くなり、分析が雑になってしまいます。また、負けが続くと「次のレースで取り返さなければ」という焦りが生まれ、冷静な判断ができなくなることも少なくありません。初心者のうちは、1日に参加するレースを多くても1〜3レース程度に絞ることを強くお勧めします。
レースを選ぶ基準としては、以下のような視点を持つと良いでしょう。
- 出走頭数が少ないレース:18頭立てのレースよりも、12頭立てのレースの方が組み合わせの総数が少なく、予想がシンプルになります。
- 情報量が多く、有名な馬が出走するレース:GIレースのような注目度の高いレースは、テレビや新聞、インターネットで多くの情報が手に入り、初心者でも予想の材料を集めやすいです。
- 自信を持って本命馬を選べるレース:自分なりに「この馬が強い」と思える根拠を見つけられたレースだけに絞るのが理想です。「よくわからないから」という理由で馬券を買うのは避けましょう。
そして何より大切なのが、自信のないレースは買わずに「見(けん)」をする勇気です。これもまた、資金を守るための立派な戦略の一つなのです。
ポイント2:1日の予算を「娯楽費」として絶対に厳守する
これは、競馬を健全な趣味として長く楽しむための絶対的なルールです。競馬に投じるお金は、生活費や貯蓄とは完全に切り離し、映画鑑賞やコンサート、旅行などと同じ「娯楽費」として捉えることが重要です。事前に「今日は最大〇〇円まで」と上限金額を明確に決め、その範囲内で楽しむことを徹底しましょう。
そして、もし決めた予算を使い切ってしまったら、たとえその日の収支がマイナスであっても、きっぱりとそこで終了する自制心が求められます。負けを取り返そうと熱くなって追加の資金を投じることは、より大きな損失を招く入り口です。決まった予算の中で、どの馬券を、いくらずつ、どのように買うか。その計画を立てること自体が、競馬の戦略的な面白さの一部なのです。
具体的には、競馬場へ行く際は決めた予算以上の現金を持っていかない、インターネット投票の場合はその日の予算分だけを入金し、それ以上の追加入金は行わない、といった物理的な対策も有効です。
ポイント3:「トリガミ」の発生を徹底的に避ける
「トリガミ」とは、競馬ファンが使う言葉で、馬券が的中したにもかかわらず、購入金額よりも払戻金額が下回ってしまい、結果的に収支がマイナスになる現象を指します。せっかく予想が当たったのに、なぜか損をしてしまうという、最も避けたい状況の一つです。
この現象は、的中させたいという気持ちが強くなるあまり、買い目を広げすぎた場合に頻繁に起こります。例えば、馬連で5通りの組み合わせを各100円(合計500円)で購入したとします。幸運にもそのうちの一組が的中しましたが、その組み合わせのオッズが3.5倍だった場合、払戻金は $100 \times 3.5 = 350$ 円。的中したにもかかわらず、150円のマイナスとなってしまいます。
これを避けるためには、馬券を購入する前に、自分が選んだ買い目の中で「最も低いオッズ(最も人気がある組み合わせ)で的中してもプラス収支になるか」を必ず確認する癖をつけましょう。もし最低オッズで的中した場合にトリガミになるようなら、それは買い目を広げすぎているサインです。その場合は、買い目をさらに絞るか、そのレースの購入自体を見送るという判断が必要になります。
最重要指標「回収率」を常に意識する
競馬の成績を客観的に評価する上で、「的中率(当たった回数の割合)」よりも遥かに重要なのが「回収率」です。回収率は、以下の計算式で算出されます。
この数値が100%を超えれば、その期間の収支はプラス(勝ち)であり、100%を下回ればマイナス(負け)となります。例えば、10レースに参加して的中がたったの1回でも、その1回の的中で投資額の全てを上回る大きな払戻金を得られれば、回収率は100%を超え、その日の収支は「勝ち」となるのです。逆に、いくら的中率が高くても、毎回トリガミになっていては回収率は100%に届きません。
常にこの回収率を意識することで、「ただ当てる」のではなく、「利益を出す」という視点が身につきます。その結果、無駄な馬券の購入が減り、より戦略的で質の高い馬券の買い方ができるようになっていくでしょう。
競馬で100円でいくら戻ってくる?

「100円の馬券がもし的中したら、一体いくらになって戻ってくるのか?」という疑問への答えは、全て「オッズ(Odds)」という数字が握っています。このオッズとは、単なる払戻金の倍率を示すだけでなく、その馬券がどれだけ多くのファンから支持を集めているかを示す「人気の通知表」のようなものです。そして、その数値は馬券の売れ行きに応じて刻一刻と変動するため、競馬のダイナミズムを最も象徴する要素の一つと言えるでしょう。
払戻金の基本的な計算方法
的中した際の払戻金を計算する式は、非常にシンプルです。
例えば、ある馬の単勝(1着を当てる馬券)の最終的なオッズが「8.5倍」だったとします。この馬券を100円分購入し、その馬が見事に1着でゴールした場合、手元に戻ってくる金額は「100円 × 8.5 = 850円」となります。この850円は、馬券の購入代金である100円を含んだ金額です。したがって、純粋な利益は、払戻金額から購入金額を差し引いた「850円 – 100円 = 750円」ということになります。
なぜオッズは馬によって違うのか?その仕組みを理解する
では、なぜ馬によってオッズが「1.5倍」のように低かったり、「50.0倍」のように高かったりするのでしょうか。その理由は、日本の公営競技で採用されている「パリミュチュエル方式」という仕組みにあります。
これは、JRA(日本中央競馬会)のような主催者とファンが勝負するのではなく、「馬券を購入したファン同士で、お金を分け合う」という考え方が基本です。具体的には、まずレースの売上総額から、主催者の運営費などにあたる一定の割合(これを「控除率」と呼び、馬券の種類によりますが約20%〜30%)が差し引かれます。そして、残った全てのお金が、的中した馬券を持つ人たちに、購入金額に応じて比例配分されるのです。
この仕組みにより、以下のような現象が起こります。
- 人気馬のオッズが低くなる理由:多くの人が「この馬が勝つだろう」と予想し、その馬の馬券をたくさん購入すると、的中した場合に賞金を分け合う人数が多くなります。そのため、一人当たりの取り分(配当)は少なくなり、結果としてオッズは低くなります。
- 不人気馬(穴馬)のオッズが高くなる理由:逆に、「この馬は勝てそうにない」と考える人が多く、あまり馬券が買われていない馬が勝った場合、少ない的中者で賞金を山分けすることになります。そのため、一人当たりの取り分は非常に大きくなり、結果としてオッズは高くなるのです。
つまりオッズとは、ファン全体の集合的な判断がリアルタイムで反映された、極めて公平な指標であると言えます。
100円が1万円以上に?「万馬券」の魅力
オッズは、馬券の種類によっても大きく変動します。特に、1着から3着までを着順通りに完璧に当てる「3連単」のような、的中難易度が非常に高い馬券では、オッズが100倍を超えることは決して珍しくありません。
オッズが100倍を超えた馬券が的中し、100円あたり1万円以上の払戻金が得られる高配当のことを、俗に「万馬券」と呼びます。これは、多くの競馬ファンが追い求めるロマンの一つです。
さらに、競馬の世界には万馬券を遥かに超える夢のような配当も存在します。
- 10万馬券:オッズが1,000倍を超え、100円が10万円以上になる配当。
- 100万馬券:オッズが10,000倍を超え、100円が100万円以上になる配当。払戻金が札束の帯封付きで渡されることから「帯」とも呼ばれます。
もちろん、このような高額配当は、ごく稀にしか起こらない奇跡的なものです。しかし、100円という少額の投資が、時として人生を変えるほどの大きなリターンを生む可能性を秘めていることこそ、競馬が持つ尽きない魅力の一つなのです。
フォーメーションとボックスの違い
馬連や3連複、3連単といった、複数の馬の「組み合わせ」を当てる馬券の世界には、単に馬を選ぶだけでなく、その選び方をより高度に、そして戦略的に表現するための「ボックス」と「フォーメーション」という二つの購入方法が存在します。これらは単なる購入手順の違いではなく、あなたの競馬予想の確信度を馬券に映し出すための重要なツールです。この二つの買い方をマスターすることで、無駄な買い目を減らし、より効率的に的中を目指すことが可能になります。それぞれの特徴と、その裏にある考え方を深く理解していきましょう。
ボックス:選んだ馬の全組み合わせを網羅する「総当たり」方式
「ボックス」とは、あなたが選んだ複数の馬で構成されうる全ての組み合わせを、文字通り「箱買い」するように、一括で購入する方法です。これは、スポーツのリーグ戦における「総当たり戦」をイメージすると非常に分かりやすいでしょう。選んだ馬たちが、お互いに全ての組み合わせで対戦するようなイメージです。
例えば、「1番、3番、5番、7番」の4頭の馬を選び、「馬連ボックス」で購入するとします。この場合、機械は自動的に、この4頭から2頭を選ぶ全ての組み合わせ、つまり以下の6通りを全て購入してくれます。
- 1-3
- 1-5
- 1-7
- 3-5
- 3-7
- 5-7
この買い方の最大のメリットは、予想のシンプルさと安心感にあります。「軸馬(絶対に馬券に絡むと確信する馬)までは決めきれないけれど、1着と2着はこの4頭の中から決まるはずだ」というような場合に非常に有効です。選んだ馬のうち2頭が1着・2着に入りさえすれば、その着順に関わらず的中となります。
ただし、その手軽さには注意点も伴います。選ぶ頭数が増えるにつれて、購入点数は計算式 $n \times (n-1) \div 2$ (馬連の場合)に従って飛躍的に増大します。例えば、5頭ボックスなら10点、6頭ボックスなら15点となり、投資金額が大きくなるため、的中しても購入金額を下回る「トリガミ」のリスクが高まります。
フォーメーション:予想の強弱を買い目に反映させる「戦略的」方式
「フォーメーション」とは、着順ごとに候補となる馬を配置し、その条件に合致する組み合わせだけをフィルタリングして購入する、より高度で戦略的な方法です。これは、単なる総当たり戦ではなく、あなたのレース展開の「シナリオ」を馬券で表現する行為と言えます。
この買い方の真価が最も発揮されるのは、1着から3着までを着順通りに当てる「3連単」です。例えば、あなたが以下のようなシナリオを想定したとします。
「1着は、実力が抜けている1番か2番のどちらかだろう。2着には、その1着候補の2頭に加えて、安定感のある3番、4番も絡んでくる可能性がある。3着は、さらに手広く、伏兵の5番、6番まで含めて考えたい。」
この予想をフォーメーションで表現すると、以下のようになります。
- 1着の候補:1番、2番
- 2着の候補:1番、2番、3番、4番
- 3着の候補:1番、2番、3番、4番、5番、6番
この場合、機械は「1着が1番、2着が3番、3着が5番」のような、あなたのシナリオに合致する組み合わせだけを自動的に算出して購入してくれます(同じ馬が異なる着順に入る組み合わせは除外されます)。この例での購入点数は32点です。もし、同じ6頭で「3連単ボックス」を購入した場合、その点数は $6 \times 5 \times 4 = 120$ 点にもなります。フォーメーションを使うことで、実に88点分もの無駄な買い目を削減し、投資金額を大幅に抑えることが可能になるのです。
もちろん、その分リスクも伴います。もし、あなたのシナリオの根幹である「1着は1番か2番」という前提が崩れ、3番の馬が勝ってしまった場合、たとえ2着・3着が予想通りだったとしても、全ての馬券が不的中となります。予想の精度が求められる、まさに諸刃の剣と言えるでしょう。
ボックスとフォーメーション、どちらを選ぶべきか?
最終的にどちらの買い方を選ぶべきかは、あなたのそのレースに対する予想の「確信度」によって決まります。それぞれの買い方が活きる状況を理解し、使い分けることが重要です。
- 「ボックス」が適している状況:
実力が拮抗しており、どの馬が勝ってもおかしくない混戦模様のレース。「軸馬は決められないが、上位に来る馬はこのグループの中にいる」という、ある程度の自信があるグループを絞り込めた場合に有効です。買い目を広げて、万が一の取りこぼしを防ぐ「セーフティネット」としての役割を果たします。
- 「フォーメーション」が適している状況:
レース展開にある程度の道筋が見えており、「この馬は絶対に3着以内には来る」「1着はこの2頭のどちらかだ」といった、予想の強弱や序列を明確に持っている場合に強力な武器となります。無駄な投資を削ぎ落とし、的中の際の利益を最大化するための「精密射撃」と言えるでしょう。
競馬に慣れないうちは、まず少頭数の「ボックス」から始めて組み合わせの考え方を学び、予想に自信がついてきたら、ぜひ「フォーメーション」による戦略的な馬券構築に挑戦してみてください。あなたの競馬の世界が、より一層深く、面白いものになるはずです。
総まとめ!競馬初心者買い方おすすめ

ここまで、競馬を楽しむための様々な知識や馬券の買い方について解説してきました。最後に、あなたが競馬という新たな趣味の世界へ自信を持って第一歩を踏み出すために、これまでの要点を凝縮し、一つの指針としてまとめます。競馬は、単なるギャンブルではなく、騎手と競走馬が織りなす筋書きのないドラマであり、知的好奇心を満たしてくれる奥深いエンターテイメントです。このまとめを、あなたの競馬デビューを成功させるための羅針盤としてご活用ください。
最初の第一歩:競馬場での心構えと最初の馬券
まず覚えておいていただきたいのは、現代の競馬場は誰もが安心して楽しめる、清潔で開放的なレジャースポットであるという事実です。特に、主に土日に行われる中央競馬(JRA)の競馬場は、グルメイベントや家族向けの施設も充実しており、ピクニック気分で一日を過ごせます。そして、そのドラマに参加するためのチケット代は、わずか100円です。この手軽さこそ、競馬が多くの人々に愛される最大の理由と言えるでしょう。
競馬場に到着したら、まずはその場の雰囲気を楽しんでください。そして、最初の馬券として選ぶべきは、前述の通り、最も的中させやすい「複勝」です。10種類ある馬券の中で、なぜ複勝から始めるべきか。それは、競馬を長く楽しむための最も重要な秘訣が「当たる喜び」を体験することにあるからです。100円で購入した馬券が120円にでもなれば、それは紛れもない「成功体験」です。この小さな成功が、競馬の面白さを理解する上で何よりも大切な糧となります。
次のステップへ:楽しみ方を広げる馬券選び
複勝での的中に慣れ、一頭の馬を応援する楽しさを覚えたら、次は少しだけ視野を広げてみましょう。当たりやすさと配当のバランスが取れた「ワイド」は、次のステップとして最適です。「応援したい馬が2頭いる」という状況で、その2頭の組み合わせで馬券を買うことで、予想の幅は格段に広がります。
さらに予想の精度が上がってきたら、「ボックス」や「フォーメーション」といった応用的な買い方にも挑戦できます。「ボックス」は、選んだ馬の全ての組み合わせを購入する安心の買い方であり、「フォーメーション」は、自分の予想の強弱を反映させて点数を絞り込む、より戦略的な買い方です。これらのツールを使いこなせるようになると、馬券の購入は単なる作業から、あなたの思考を表現するクリエイティブな行為へと変わっていきます。
長く楽しむための黄金律:賢いお金との付き合い方
競馬という趣味と末永く健全に付き合っていくためには、いくつかの絶対的なルールが存在します。それは「参戦するレースを厳選する」「1日の予算を厳守する」「トリガミを避ける」という三つの基本原則です。
手当たり次第に馬券を買うのではなく、自信のあるレースだけに集中すること。そして、使うお金は「娯楽費」と割り切り、決めた上限を絶対に超えないこと。この二つを徹底するだけで、競馬はあなたの生活を豊かにする素晴らしい趣味であり続けます。払戻金は「購入金額 × オッズ」というシンプルな計算式で決まり、人気のない馬が勝つほど高配当になりますが、その夢である「万馬券」を追い求めるあまり、冷静さを失わないことが肝心です。
そして、あなたの競馬成績を測る上で、「的中率」よりも「回収率」を常に意識してください。たとえ10回に1回しか当たらなくても、その1回の的中で投資した金額の全てを上回る払戻金を得られれば、あなたの収支は「勝ち」です。この回収率という指標が、あなたの馬券の買い方が上手であるかどうかを客観的に示してくれます。
競馬デビュー、成功への最終アドバイス
購入方法は、競馬場やWINSの臨場感が味わえる「マークシート」方式と、ご自宅で手軽に楽しめる「スマートフォンでのインターネット投票」の二通りから、ご自身のスタイルに合わせて選べます。どちらの方法でも、これまで解説してきた全ての馬券が購入可能です。
競馬の世界は広大で、知れば知るほどその深みに魅了されることでしょう。しかし、全ての始まりは、たった一つのシンプルな行動から生まれます。まずは少額で楽しみ、「当たる」という経験を何よりも大切にしてください。この記事が、あなたの素晴らしい競馬ライフの始まりの一助となれば幸いです。ようこそ、ドラマチックな競馬の世界へ。


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