競馬は何歳から?法律で決まる年齢制限と注意点を解説

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「競馬は何歳から馬券を購入できるのだろう?」多くの方が一度は抱く疑問ではないでしょうか。2022年に成人年齢が18歳に引き下げられたことで、「競馬も18歳から楽しめるようになったのでは?」と期待する声も聞かれます。しかし、本当にそうなのでしょうか。この記事では、競馬の年齢制限に関する正確な情報をお届けします。競馬は未成年でも買えるのかという核心的な問いに始まり、ネット競馬は18歳で利用できるのか、かつて大学生の馬券購入が違法だった歴史、そして多くの人が混同しがちなパチンコはなぜ18歳から可能なのか、その法律上の違いまで、深く掘り下げて解説していきます。さらに、万が一20歳未満で購入しようとした場合、18歳や19歳であることがバレる可能性や、競馬場での年齢確認の実態についても具体的に言及します。正しい知識を身につけ、安心して競馬という素晴らしいエンターテイメントを楽しみましょう。

この記事でわかること

  • 法律で明確に定められた馬券購入の正しい年齢とその根拠
  • 20歳未満の者が馬券を購入した場合の具体的なリスクや罰則
  • 競馬とパチンコで年齢制限が異なる法律上の理由
  • 20歳未満でも合法的に競馬場で楽しむための具体的な方法

競馬は何歳から?法律で定められた年齢制限

この章で解説するポイント

  • 競馬の馬券は何歳から購入できますか?
  • 法律で定められた競馬の年齢制限
  • 馬券は未成年でも買えるの?
  • 競馬は18歳から解禁?成人年齢との関係
  • パチンコはなぜ18歳から可能なのか?
  • 過去に大学生の馬券購入は違法だった?

競馬は何歳から購入できますか?

早速、結論からお伝えします。競馬の馬券(正式名称:勝馬投票券)を購入できるのは、満20歳になってからです。これは日本の法律で明確に定められており、数十年以上変わることのない確定的なルールです。

近年、成人年齢が18歳に引き下げられたことで、様々な社会ルールが変更されました。そのため、「競馬も18歳や19歳から楽しめるようになったのでは?」と考えるのは自然なことです。しかし、馬券の購入に関しては、成人年齢の引き下げによる影響は一切なく、引き続き「20歳以上」という年齢要件が維持されています。

馬券購入が可能な年齢

競馬の馬券(正式名称:勝馬投票券)を購入できるようになるのは、法律の定めにより満20歳に達した時点からです。これは長年にわたり維持されている確定的なルールであり、今後も変わる見込みは極めて低いと言えるでしょう。

近年、民法改正によって成人年齢が18歳へ引き下げられたため、飲酒や喫煙と同様に「競馬も18歳から楽しめるようになったのではないか?」と考える方がいらっしゃるかもしれません。しかしながら、競馬を含む公営競技(競輪、競艇、オートレース)に関しては、成人年齢引き下げの影響を一切受けておらず、引き続き「満20歳以上」という年齢要件が堅持されています。

この年齢基準が維持されている背景には、若年層の保護という重要な目的が存在します。特に、射幸心を煽る性質を持つギャンブルに対して、社会経験や判断能力が十分に成熟していない若者が安易に関わることを防ぐ狙いがあります。依存症に陥るリスクや、経済的な問題に発展する可能性を考慮し、社会全体で若者を守るための配慮として、この「20歳」という一線が設けられているわけです。

したがって、高校を卒業したばかりの18歳や19歳の方は、残念ながらまだ馬券を購入することはできません。競馬というスリリングで感動的な世界を存分に味わうためには、20歳の誕生日を待つ必要があります。なお、法律上の年齢計算では「年齢計算ニ関スル法律」に基づき、誕生日の前日が満了日とされます。そのため、厳密には20歳の誕生日の前日から馬券の購入が可能となります。

法律で定められた競馬の年齢制限

競馬における年齢制限は、単なる日本中央競馬会(JRA)や地方競馬主催者が定めた内部的な規則ではなく、国の法律によって厳格に規定されています。その法的根拠となっているのが「競馬法」です。

この競馬法の第二十八条には、馬券の購入に関する年齢制限が下記のように明確に記されています。

【競馬法 第二十八条】
二十歳未満の者は、勝馬投票券を購入し、又は譲り受けてはならない。

この条文が示す通り、満20歳に満たない方は、自らお金を出して馬券を購入する行為はもちろんのこと、例えば親や友人から無償で譲り受ける行為も固く禁じられています。「プレゼントする」「代わりに買っておいてあげる」といった行為も、この条文に抵触するため注意が必要です。

ここで特に注目すべきは、2022年4月1日の民法改正(成人年齢の18歳への引き下げ)に合わせて、この条文の表現が変更されたという事実です。元々の条文では「未成年者」という言葉が使われていました。もし、この表現のまま民法改正を迎えてしまうと、解釈上は18歳から馬券が購入できることになってしまいます。そうした事態を避け、若年層の保護という従来の趣旨を維持する意図を明確にするために、わざわざ「二十歳未満の者」という具体的な文言へと改正されました。この経緯は、国が競馬の年齢制限をいかに重要視しているかを示す証左と言えるでしょう。

このように、競馬の年齢制限は法律に裏付けられた重い意味を持つルールです。そのため、万が一違反した場合には、同法第三十条に基づき「五十万円以下の罰金又は科料に処する」という罰則が科される可能性があります。インターネット投票(即PATなど)では加入時に厳格な年齢確認が行われるほか、競馬場やウインズ(場外勝馬投票券発売所)でも年齢確認を求められる場合があります。ルールを正しく理解し、節度を持って楽しむことが大切です。

競馬は未成年でも買えるの?

前述の通り、競馬法によって満20歳未満の方による馬券の購入や譲り受けは、厳しく禁止されています。しかし、「監視の目が届きにくい自動券売機を使えば発覚しないのではないか」「20歳以上の知人や家族に代わりに買ってもらえば問題ないのでは?」といった考えが浮かぶ方もいるかもしれません。これらの行為は、いずれも極めてリスクの高い法律違反であり、絶対に避けるべきです。

まず、自動券売機を利用した購入ですが、競馬場やウインズ(場外勝馬投票券発売所)では、係員や警備員が巡回しています。明らかに若年層と見受けられる方が券売機を操作している場合、身分証明書の提示を求められる可能性があります。また、万が一馬券が的中し、高額の払い戻しが発生した際には、有人窓口での手続きが必要となり、その際に年齢確認が行われ不正が発覚するケースも考えられます。発覚すれば、馬券は無効となるだけでなく、警察への通報や学校への連絡といった、より深刻な事態に発展しかねません。

さらに、20歳以上の第三者に依頼する「代理購入」は、頼んだ側と引き受けた側の双方にとって、非常に重いリスクを伴う行為です。これは単なる「お使い」ではなく、法律で明確に禁じられた共犯関係と見なされる可能性があります。

具体的には、代理で馬券を購入し、それを20歳未満の者に渡す行為は、競馬法違反に該当します。根拠となる条文は以下の通りです。

【競馬法 第三十四条】
次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
一 第二十八条の規定に違反する行為の相手方となつた者

ここで言う「第二十八条の規定に違反する行為の相手方」とは、まさに「20歳未満と知りながら馬券を譲り渡した者」を指します。つまり、安易な気持ちで代理購入を引き受けた大人には、刑事罰として50万円以下の罰金が科されるおそれがあるわけです。これは、決して軽い罰則ではありません。加えて、罰金刑であっても前科がつく可能性があり、社会的信用を大きく損なうことにも繋がります。

もちろん、依頼した20歳未満の側も、法律違反の当事者であることに変わりはありません。加えて、大切な友人や家族を犯罪行為に巻き込んでしまうという倫理的な問題や、「払戻金を渡してもらえない」といった金銭トラブルの原因にもなり得ます。

競馬は、定められたルールを守り、自己責任の範囲で楽しむ健全な大人のためのレジャーです。法律で定められた年齢に達するまで待ち、20歳になってから自身の判断と責任において、心置きなく競馬の世界を堪能することが、真のファンとしての第一歩と言えるでしょう。

競馬は18歳から解禁?成人年齢との関係

2022年4月1日、日本の民法が約140年ぶりに改正され、成人年齢が従来の20歳から18歳へと引き下げられました。この歴史的な変更によって、18歳や19歳の方々は、親の同意がなくても自身の意思で様々な契約(スマートフォンの契約、アパートの賃貸借契約、クレジットカードの作成など)を結ぶことが可能となり、社会における権利と責任が拡大しました。

このような社会の変化を受けて、「競馬の馬券購入も18歳から可能になったのでは?」という疑問が生じるのは自然なことでしょう。しかし、結論から申し上げますと、政府広報オンラインでも明記されている通り競馬を含むすべての公営競技(競輪、競艇、オートレース)における年齢制限は、成人年齢の引き下げ後も、従来通り「満20歳以上」に据え置かれています。

この決定がなされた背景には、飲酒や喫煙の年齢制限が20歳のまま維持されたことと同様の、極めて重要な理由が存在します。それは、心身が発達途上にある若年層を、依存症のリスクから保護するという社会的な要請です。

特にギャンブル依存症(ギャンブリング障害)は、個人の意思の強さだけではコントロールが困難になる精神疾患の一種として、WHO(世界保健機関)にも認定されています。脳科学の研究では、人間の理性や衝動の抑制を司る脳の前頭前野が完全に成熟するのは20代半ば頃とされています。そのため、10代の脳は刺激や興奮に対してより敏感に反応しやすく、結果として依存状態に陥りやすいと考えられているのです。

もし、法律上の成人であるという理由だけで18歳からの馬券購入を認めてしまうと、経済基盤がまだ不安定な時期に多額の金銭を投じてしまったり、学業や人間関係に深刻な支障をきたしたりするケースが増加する懸念がありました。こうした背景から、政府や国会での議論を経て、若者の健全な育成を優先する目的で、競馬法の年齢制限は変更しないという判断が下されたわけです。

したがって、「18歳で法律上の成人になった」という事実と、「馬券を購入できる年齢」は、全く別の基準で定められていると明確に理解しておく必要があります。馬券購入の世界においては、満20歳に達するまでは、法律上「購入資格のない者」として扱われることになります。

パチンコはなぜ18歳から可能なのか?

「競馬は20歳からなのに、どうして近所のパチンコ店には18歳から入れるの?」この素朴な疑問は、多くの人が抱くことでしょう。この年齢制限の違いは、それぞれの娯楽がどの法律によって規制されているか、その根本的な分類が異なるために生じています。

競馬が農林水産省の管轄下にある「競馬法」で規制される「公営競技」であるのに対し、パチンコやパチスロは警察庁の管轄下にある「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(通称:風営法)で規制される「風俗営業(7号営業)」に分類されます。

この風営法第二十二条で、パチンコ店などが「18歳未満の者を営業所に客として立ち入らせてはならない」と定めているため、その裏返しとして「18歳以上であれば(高校生を除き)入場・遊技が可能」という運用になっているのです。

種類 年齢制限 根拠法 主な目的 管轄省庁
競馬・競輪など 20歳以上 競馬法など 地方財政への貢献、産業振興 農林水産省など
パチンコ・パチスロ 18歳以上(高校生除く) 風営法 大衆娯楽の提供 警察庁

このように、公営競技と風俗営業では、その成り立ちや社会的な目的が異なります。適用される法律のカテゴリーが全く違うため、結果として年齢制限にも差が生まれているのです。

過去に大学生の馬券購入は違法だった?

現在の常識からは少し意外に感じられるかもしれませんが、実はほんの20年ほど前まで、たとえ20歳を超えていても大学生や専門学校生といった「学生」の身分にある方は、馬券の購入が法律で明確に禁止されていました。今では信じられないかもしれませんが、これは紛れもない事実です。

この規定の根拠は、2004年まで有効であった旧競馬法の第二十八条にありました。当時の条文は、以下のように定められていたのです。

【旧競馬法 第二十八条(2004年改正前)】
未成年者及び学生生徒は、勝馬投票券を購入し、又は譲り受けてはならない。

このように、購入禁止の対象として「未成年者」と並んで「学生生徒」という文言がはっきりと記載されていました。この規定が設けられた背景には、「学生の本分は学業である」という考えが社会の共通認識として根強く存在したことが挙げられます。若者が競馬にのめり込むことで学業がおろそかになる事態を防ぎたい、という教育的な配慮が法律に反映されていたわけです。当時はたとえ年齢が20歳に達していても、大学や専門学校などに在籍している限りは、馬券を購入する行為は法律違反とされていました。

しかしながら、時代の移り変わりとともに個人の自己責任やライフスタイルの多様性を尊重する風潮が強まり、このような画一的な規制は実態にそぐわないものとなっていきました。また、他の公営競技では既に学生に対する規制が緩和されていたことや、競馬が単なるギャンブルではなく、幅広い世代が楽しむレジャー・スポーツとしての側面を強めてきたことも、法改正を後押しする要因となったでしょう。

こうした社会情勢の変化を踏まえ、2004年6月に競馬法が改正され、前述の「学生生徒」に関する条文は完全に削除されました。そして、この改正法が施行された2005年1月1日以降、現在に至るまで、20歳以上であれば学生であるか否かに関わらず、誰もが堂々と馬券を購入し、競馬を楽しめる環境が整えられています。この法律の変遷は、競馬と社会との関わり方が時代と共に変化してきたことを示す、興味深い一例と言えるでしょう。

競馬は何歳から?未成年購入のリスク解説

この章で解説するポイント

  • 競馬は18歳でもバレる?購入時の注意点
  • 競馬は19歳でもバレる?代理購入の罰則
  • 競馬場での年齢確認はいつ行われる?
  • ネット競馬は18歳でも登録不可な理由
  • 結論:競馬は何歳から楽しめるのか

競馬は18歳でもバレる?購入時の注意点

競馬場やウインズ(場外勝馬投票券発売所)では、ほとんどの馬券が自動券売機で販売されているため、購入の都度、対面での厳格な年齢確認が行われるわけではありません。そのため、「少しだけなら発覚しないのではないか」という安易な考えが頭をよぎる方もいるかもしれません。しかし、その考えには見過ごすことのできない複数の重大なリスクが潜んでいます。

まず、「発覚する可能性」は決して低くありません。場内はJRAの制服職員だけでなく、来場客を装った私服の警備員も常に巡回し、不正行為がないか監視しています。制服姿であったり、友人同士で不自然に周囲を気にしながら券売機に向かったりする姿は、専門の訓練を受けた彼らの目に留まりやすく、年齢確認を求められる十分な理由となります。また、ルールを遵守する一般のファンから、職員へ通報がなされる可能性も考えられます。

さらに、万が一馬券を購入でき、それが的中してしまった場合にもリスクは伴います。特に、払戻金が100万円を超えるような高額配当の場合、自動払戻機は利用できず、本人確認書類の提示が必要な有人窓口での手続きが必須となります。その時点で20歳未満であることが判明すれば、払戻しを受けられないばかりか、不正行為が確定的なものとして扱われることになるでしょう。

そして、もし20歳未満であることが発覚した場合、その代償は非常に大きなものとなります。最初は職員による厳重注意と退場勧告で済むかもしれませんが、指導に従わない、あるいは常習性が疑われるなど悪質と判断された際には、警察へ通報される事態も十分にあり得ます。警察の介入があった場合、「少年警察活動規則」に基づき補導の対象となる可能性が高いです。補導されると、氏名、年齢、住所、学校名、保護者の連絡先などを詳細に聴取され、原則として学校と保護者の両方へ連絡がいくことになります。

軽い気持ちだった一度の過ちが、学校に知られれば校則による厳しい処分(停学や退学など)に繋がりかねず、将来の進学や就職に影を落とすかもしれません。また、保護者にも多大な心配と迷惑をかけることになり、家族からの信頼を損なう原因にもなります。「バレるか、バレないか」という観点で考えるのではなく、法律違反という行為そのものが持つ深刻なリスクを正しく理解し、賢明な判断をすることが何よりも重要です。

競馬は19歳でもバレる?代理購入の罰則

20歳まであと少し、という19歳の時期は、法律違反であると理解しつつも「もうすぐだから」という気持ちが生まれやすいかもしれません。また、大学や職場などで20歳以上の友人や先輩との交流が増えるため、安易に「代理購入」を頼んだり、頼まれたりする機会が生じやすい、特に注意が必要な年齢層と言えます。

前述の通り、19歳の方が自ら馬券を購入しようとすれば、競馬場での巡回警備などによって発覚するリスクがあります。それに加え、代理購入という行為は、自分自身だけでなく、大切な友人や恋人、先輩といった周りの人々を巻き込む、極めて深刻な問題に発展する危険性をはらんでいます。

競馬法では、20歳未満の者のために馬券を買い与える行為に対して、非常に重い罰則を設けています。その根拠となるのが競馬法第三十四条であり、この法律は馬券を欲した本人よりも、むしろ「20歳未満と知りながら買い与えた20歳以上の者」を主な処罰の対象としています。

具体的には、友人や知人からの頼みを断り切れず、代理で馬券を購入し譲り渡した20歳以上の方には、「50万円以下の罰金」という刑事罰が科される可能性があります。これは単なる反則金ではなく、前科として記録が残る可能性がある重大な処分です。軽い気持ちで引き受けた数百円の馬券購入が、相手の就職活動や社会生活に長期的な不利益をもたらすかもしれないのです。

代理購入という行為は、関わった双方にとって以下のような深刻なリスクをもたらします。

代理購入に関わる双方のリスク

  • ▼頼んだ側(19歳)のリスク
    • 法律違反の当事者として、補導や学校・保護者への連絡の対象となる。
    • 大切な友人や知人を「犯罪行為」に加担させてしまうという重い倫理的責任を負う。
    • 金銭(当たり外れ、払戻金の分配など)を巡るトラブルから、人間関係が破綻する可能性がある。
  • ▼頼まれた側(20歳以上)のリスク
    • 競馬法違反として「50万円以下の罰金」という刑事罰の対象となる。
    • 罰金刑でも前科がつき、将来の就職や社会的信用に悪影響が及ぶおそれがある。
    • 善意のつもりが、結果的に相手との信頼関係を損なう原因になりかねない。

「友人だから」「恋人だから」といった親しい関係性から生まれる安易な頼み事が、結果として双方の未来に大きな傷を残すことになりかねません。自分と、そして自分の大切な人を守るためにも、代理購入は絶対にやめましょう。

競馬場での年齢確認はいつ行われる?

競馬場やウインズへ日常的に通っているファンの方でも、馬券を購入するたびに年齢確認を求められた経験はほとんどないでしょう。これは、ある程度の性善説に基づいて運営されている側面があるためです。しかし、「全く確認が行われていない」と考えるのは早計であり、法律を遵守させるためのチェック機能は、いくつかの重要な場面で確実に作動します。具体的にどのような状況で年齢確認が行われる可能性があるのか、解説いたします。

ケース1:高額な払戻金を受け取る際

年齢確認が行われる可能性が最も高いのが、この高額払戻しのケースです。JRAの規定では、1口あたりの払戻金が100万円を超える場合、セキュリティや税務上の理由から自動払戻機は利用できません。そのため、身分証明書を持参の上で、専門の有人窓口にて手続きを行う必要があります。

この手続きの際に、担当者は規定に則って本人確認と年齢確認を行います。見た目が明らかに若く見えるといった主観的な理由だけでなく、高額な金銭を正確かつ適正に支払うための事務的なプロセスとして、運転免許証やマイナンバーカード、パスポートといった公的な身分証明書の提示が求められるわけです。もし20歳未満であることが判明すれば、当然ながら払戻しは拒否されます。

ケース2:職員や警備員による巡回時の声かけ

高額払戻しのような特殊な状況以外でも、年齢確認の機会は存在します。JRAの職員や警備員は、青少年の健全な育成という観点、そして施設内の秩序を維持する目的で、場内を常に注意深く巡回しています。その中で、以下のような行動は声かけのきっかけとなり得ます。

  • 制服姿や、明らかに若年層と思われるグループが馬券購入エリアをうろついている。
  • 券売機の前で操作に戸惑っていたり、周囲を過度に気にしたりする不審な挙動が見られる。
  • その他、職員が職務上の判断で確認が必要だと考えた場合。

声かけは決して高圧的なものではありませんが、職務として行われるものです。身分証明書の提示に応じられない場合、馬券の購入を中止するよう指導されることになります。

ケース3:インターネット投票の会員登録時

競馬場という物理的な空間だけでなく、オンラインの世界でも年齢確認は厳格に行われています。「即PAT」や「JRAダイレクト」といったインターネット投票サービスを利用する際には、必ず会員登録が必要です。この登録プロセスにおいて、本人名義の銀行口座やクレジットカードとの連携が必須となっており、口座開設等の段階で金融機関による厳格な本人確認・年齢確認が既に行われています。これにより、20歳未満の者が会員登録すること自体がシステム上できない仕組みとなっているのです。

このように、年齢確認は様々な場面で、また多様な方法で実施されています。「バレなければ良い」という考えは通用せず、ルールを守って楽しむことが、すべての競馬ファンに求められる姿勢と言えるでしょう。

ネット競馬は18歳でも登録不可な理由

競馬場やウインズとは異なり、対面での確認がないインターネット投票であれば、年齢を偽って登録できるのではないかと考える方もいらっしゃるかもしれません。しかしながら、「即PAT」や「JRAダイレクト」といった公式のインターネット投票サービスにおいては、システム的な仕組みによって満20歳未満の方の登録は絶対にできないようになっています。

この強固な仕組みの根幹にあるのは、会員登録のプロセスです。これらのサービスを利用するためには、必ず本人名義の銀行口座やクレジットカードを連携させる必要があります。そして、この「本人名義の金融口座」こそが、越えることのできない第一の壁となっているのです。

銀行口座を開設する際、金融機関は「犯罪による収益の移転防止に関する法律」に基づき、運転免許証やマイナンバーカードといった公的書類を用いて、極めて厳格な本人確認を行う義務を負っています。この手続きによって登録された氏名、住所、そして正確な生年月日といった情報は、信頼性の高い個人情報として金融機関のデータベースに記録されます。

インターネット投票サービスに申し込むと、システムは申込者が入力した情報と、連携させようとしている銀行口座に登録されている公式な個人情報を照合します。この機械的な照合プロセスにより、金融機関から提供された生年月日情報に基づき、申込者が満20歳に達していないと判断された場合、手続きの初期段階で即座に、そして自動的に登録が拒否される仕組みです。人の手を介する審査ではないため、例外や見逃しが発生する余地は一切ありません。

したがって、20歳未満の方が自分自身の名義でインターネット投票の会員になることは、物理的にもシステム的にも不可能です。もし、親や兄弟、友人といった他人の口座情報を無断で借用して登録しようと試みた場合、それは単なるルール違反では済まされず、以下のような複数の法的なリスクを伴う極めて危険な行為となります。

他人名義での登録がもたらす深刻なリスク

  • 詐欺罪に問われる可能性:自身の年齢を偽り、サービス提供者(JRAなど)を欺いて不正に会員登録・利用する行為は、刑法の詐欺罪に該当するおそれがあります。
  • 税金問題の発生:万が一高額な配当を得た場合、その所得税(一時所得)の納税義務は、口座の名義人である親や友人に発生します。名義人に多大な金銭的・手続き的負担を強いることになり、深刻なトラブルの原因となります。
  • 人間関係の破綻:上記の法的な問題や金銭トラブルは、口座を貸してくれた、あるいは無断で使用された相手との信頼関係を完全に破壊することに繋がりかねません。

軽い気持ちで行った不正な登録が、自分だけでなく、大切な家族や友人の人生にも重大な悪影響を及ぼす可能性があるのです。ルールを正しく理解し、20歳になる日を待ってから、正々堂々と競馬を楽しんでください。

結論:競馬は何歳から楽しめるのか

この記事を通じて解説してきた様々なルールや背景を踏まえ、「競馬は何歳から楽しめるのか」という問いに対する結論を改めて整理します。競馬の楽しみ方には大きく分けて二つの側面があり、それぞれで「解禁」となる年齢が明確に異なります。

一つは、スポーツとしてのレースを観戦し、イベント施設として競馬場そのものを満喫する楽しみ方。そしてもう一つは、馬券を購入してレースに参加する、法律行為を伴う楽しみ方です。

【観戦や来場】年齢制限なく、誰でも楽しめるレジャースポットとして

まず最も重要な点は、競馬場という施設へ入場すること自体には、一切の年齢制限がないという事実です。0歳の赤ちゃんからご高齢の方まで、誰もが気軽に訪れることができます。近年の中央競馬場は、かつてのギャンブル場というイメージから大きく変貌を遂げ、一日中過ごせる広大な公園やクリーンなレジャー施設としての側面を強めています。

入場料はほとんどの競馬場で100円から200円程度と非常に安価であり、さらに15歳未満は無料です。場内には子供が遊べる大型の遊具や緑豊かな公園エリア、馬と触れ合えるイベントなどが用意されており、週末には家族連れで賑わいます。また、多彩な飲食店が軒を連ねるフードコートも充実しており、レース観戦せずともグルメを目当てに来場する価値は十分にあります。

20歳になるまでは、こうした馬券を伴わない純粋なスポーツ観戦としての楽しみ方を追求するのが賢明です。パドックで周回するサラブレッドの筋肉の躍動や気配を肌で感じ、応援する馬を見つけ、ゴール前の攻防に声を上げる。お金を賭けないからこそ得られる、競走馬の美しさやレースの奥深さへの理解は、将来、馬券を楽しむ上での大きな財産となるでしょう。

【馬券の購入】法律で厳格に定められた満20歳からの責任ある楽しみ方

一方で、競馬の根幹である「勝馬投票券(馬券)」の購入は、「競馬法」という国の法律によって満20歳以上の方に限定されています。これは単なるJRAの運営ルールではなく、成人年齢が18歳に引き下げられた後も変更されていない、極めて重い意味を持つ規定です。

この法律により、満20歳未満の方は以下の行為が固く禁じられています。

  • 自ら馬券を購入する行為
  • 他人から馬券を無償で譲り受ける行為
  • 友人や家族に依頼して代わりに購入してもらう「代理購入」

特に注意が必要なのが代理購入です。安易な気持ちで依頼したり、引き受けたりすると、依頼された20歳以上の大人側が競馬法違反となり、「50万円以下の罰金」という重い刑事罰の対象となる可能性があります。自分のためだけでなく、大切な人を守るためにも、絶対に避けなければなりません。

競馬場での抜き打ち的な年齢確認や、高額払戻時の身分証明書提示、そして銀行口座連携による厳格な認証が必須のインターネット投票など、このルールを遵守させるための仕組みは多岐にわたります。「バレなければ良い」という考えは決して通用しません。

結論として、競馬は「観戦する楽しみ」はいつでも誰でも味わえますが、「馬券を買って参加する楽しみ」は、社会的な責任を伴うものとして満20歳から始まります。20歳の誕生日を迎えるその日まで、競走馬やレースへの知識と愛情をじっくりと育むこと。それこそが、将来、競馬を末永く楽しむための最良の準備期間と言えるでしょう。

  • 競馬の馬券購入は法律により満20歳からと厳格に定められている
  • 2022年の成人年齢18歳への引き下げ後もこのルールは変更されていない
  • 法的根拠は「競馬法」であり単なる運営ルールではない
  • 20歳未満は自分で馬券を買うことも他人から譲り受けることも禁止
  • 友人や家族に代理で馬券を買ってもらう「代理購入」も違法である
  • 代理購入を依頼された大人には50万円以下の重い罰金が科されるリスクがある
  • パチンコが18歳から可能なのは「風営法」という異なる法律で規制されているため
  • かつて2004年までは20歳以上でも大学生は馬券購入が禁止されていた
  • 現在は20歳以上であれば学生を含め誰でも馬券を購入できる
  • 自動券売機での購入時に毎回年齢確認をされることは稀である
  • ただし職員や警備員による声かけで年齢確認を求められる可能性はある
  • 100万円を超える高額払い戻しは有人窓口となり確認される場合がある
  • ネット競馬は銀行口座との連携で年齢認証が行われるため20歳未満は登録不可
  • 競馬場への入場自体には年齢制限がなく子供連れでも楽しめる
  • 馬券を買わなくてもレース観戦やグルメ、イベントなどで十分に楽しめる

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