競走馬は引退後に馬刺しとなる噂と現実をデータで解説

競馬の知識
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こんにちは。YUKINOSUKEです。

競馬場で華やかに走るサラブレッドたちを見て、その美しさに魅了されている方も多いのではないでしょうか。しかし、ネット上で「競走馬が引退した後に馬刺しにされている」という噂を目にして、悲しい気持ちになったり、本当のところが気になったりしたことはありませんか。 実は、競走馬の引退後の行方については、競馬ファンであってもなかなか全貌を把握しづらいブラックボックスな部分があります。

一生懸命走った馬たちが、最後は食肉となって処分されてしまうのか、あるいは殺処分という厳しい結末をたどるのか、その真相を知ることは少し勇気がいることかもしれません。 この記事では、競走馬が引退した後に馬刺しとして流通する実態や統計データ、そして彼らの寿命や引退年齢といった基本的な知識を、初めての方にも分かりやすく解説します。私自身、馬たちの命の行方に強い関心を持っており、様々な実態を調べてきました。この記事を読むことで、噂の真相や、私たちが今できる支援の形について、深く理解していただけるかなと思います。

  • 競走馬が引退後に馬刺しや食肉として流通している実態と統計データ
  • サラブレッド pillarsの平均的な引退年齢と本来の寿命のギャップについて
  • 乗馬クラブへの転向や地方競馬の登録抹消における不都合な真実
  • Yogiboヴェルサイユリゾートファームなど民間での持続可能な引退馬支援活動
  1. 競走馬の引退後に馬刺しとなる噂と実際の流通データ
    1. 競走馬が肉になる噂は本当?引退後の現実を徹底解説
      1. 筋肉質で硬いという「サラブレッド食用不適説」の嘘
      2. 歴史的ターニングポイントとなった「ハマノパレード事件」の悲劇
      3. 残留物質を防ぐ「休薬期間」と生食の厳格な衛生検査規制
      4. 他の畜産業におけるサイクルとの比較
      5. 知っておきたい経済動物の宿命
    2. 競走馬の平均的な引退年齢と本来の寿命とのギャップ
      1. サラブレッドの生物学的寿命と驚異的な成長スピード
      2. 現役引退を決断する主なきっかけと「経済寿命」のジレンマ
      3. 「3歳の壁」と未勝利戦がもたらすシビアな選別プロセス
      4. 回復見込みとコストの天秤:治療薬の休薬規制がもたらす影響
    3. 毎年多くの馬が殺処分に?引退馬が辿る食肉の割合
      1. 殺処分と食肉屠殺の言葉の使い分けと誤解
      2. 肥育場という中継地点と休薬期間のルール
    4. ウマ娘で有名なハルウララが馬刺しになった噂の真相
      1. 「負け組の星」が辿った本当の馬生と大往生の真実
      2. なぜ著名な名馬ほど「馬刺し説」のデマが立ちやすいのか?
      3. 真実を見極めるために私たちが持つべき「情報の防衛策」
    5. サラブレッドと重種馬の違いからみる肉質のヒミツ
      1. アスリートである軽種馬(サラブレッド)の驚くべき肉質
      2. 霜降り馬刺しの主役となる超大型の重種馬
      3. 私たちが安心・安全に馬刺しを食べられる理由
      4. ご自宅で安全・安心な「絶品馬刺し」を味わってみませんか?
  2. 競走馬が引退後に馬刺しとなる実態と救済支援の行方
    1. セカンドキャリアの定番である乗馬に転向した馬の現実
      1. ステップ1:マインドのリセット(グラウンドワーク)
      2. ステップ2:人馬の信頼関係の強化(フリーランジングによるジョインアップ)
      3. ステップ3:初期の騎乗調教(フラットワーク)
      4. 乗馬クラブにおける1頭あたりの「維持コスト」の現実
    2. 地方競馬で発生する時効抹消と行方不明になる馬の実態
      1. なぜ地方競馬では時効抹消がこれほど多く放置されるのか?
      2. 時効が成立する「1年間の空白」に潜む本当の闇
      3. 動物愛護の国際基準と、これからの改善に向けた是正措置
    3. ヴェルサイユなど牧場が取り組む新たな引退馬支援活動
      1. SNSから始まった「アドマイヤジャパン×Yogibo」の奇跡
    4. 熊本をはじめとする馬刺し産地での品種別の肥育実態
      1. 圧倒的なシェアを誇る「馬刺し王国」熊本の霜降り文化
      2. 福島・会津の「赤身文化」と力道山が遺した伝説
      3. 軍馬の歴史を継承する福岡・筑後地方
      4. 知られざる「国産」表示のルールと国際流通
      5. 産地ごとの美味しさを「ふるさと納税」などで応援する
    5. 競走馬が引退後に馬刺しとなる現実に向き合い支援する
      1. 競馬界のターニングポイントと進化する支援体制
      2. 私たちが今、一人のファンとしてできること
      3. 馬たちのセカンドキャリアを応援・体験しよう

競走馬の引退後に馬刺しとなる噂と実際の流通データ

ここでは、競馬ファンの間で長年囁かれている「競走馬の引退後に馬刺しになってしまう」という噂の真相に迫ります。実際の統計データや農林水産省の資料をもとに、サラブレッドが辿る現実のルートを客観的に見ていきましょう。

競走馬が肉になる噂は本当?引退後の現実を徹底解説

「競走馬は現役引退後に馬刺し(食用)にされている」という話を聞いて、ショックを受ける人は少なくありません。結論から言えば、競走馬を引退したサラブレッドの相当数が、最終的に食肉処理(と畜)のルートに組み込まれ、馬刺しなどとして市場に流通しているのは紛れもない事実です。これらは各種の業界推計や、農林水産省が公表する統計データからも裏付けられており、決して単なる「ネット上の怪情報」や「都市伝説」ではありません。

競馬界の明るいニュースの裏側にあるこの現実は、私たちが競馬というスポーツを楽しむ上で避けては通れない、とても重要で重いテーマですね。まずは、なぜ「サラブレッドは肉にならない」という迷信が生まれたのか、そして彼らがどのようにして美味しく食べられる赤身肉へと姿を変えるのか、具体的な肥育プロセスを踏まえながら詳しく見ていきましょう。

筋肉質で硬いという「サラブレッド食用不適説」の嘘

かつて一部の競馬ファンや競馬サークルの内側、あるいは世間一般では、「サラブレッドは速く走るための特殊な調教を受けて筋肉質であるため、肉が極端に硬く、食用としては全く適さない」という言説がまことしやかに流布されていました。

しかし、これは科学的な根拠を欠く大きな誤解、あるいは一種の迷信に過ぎません。現役のサラブレッドは極限まで無駄な肉を削ぎ落としており、アスリートとしての緊張状態にあるため、その時点の肉質は確かに硬いです。しかし、引退後に適切なステップを踏むことでこの課題は完全にクリアされます。
競馬場から退いた馬たちは、そのまま直接屠殺されるのではなく、多くが「肥育牧場」と呼ばれる専門の施設へと送られます。ここでおよそ3ヶ月以上の「肥育期間」を過ごします。この期間中、馬房内などで運動を極限まで制限され、ストレスの少ない穏やかな環境で麦やトウモロコシといった高カロリーで栄養価の高い特別な配合飼料を大量に与えられます。

現役の競走馬の体脂肪率はわずか5%程度ですが、この肥育プロセスを経ることで、馬の体脂肪率は20%以上にまで増加します。これは一般的な食用の豚(体脂肪率約20%)とほぼ同等レベルであり、固く緊張していた筋繊維が緩み、非常に柔らかくてジューシーな赤身肉へと生まれ変わるのです。つまり、適切な肥育管理を行うことで、サラブレッドであっても非常に美味しく、品質の高い馬刺しとして提供することが可能になるわけですね。

歴史的ターニングポイントとなった「ハマノパレード事件」の悲劇

日本の競馬ファンが「引退馬の屠殺・食肉化」に対して、これほど強い心理的拒絶感や関心を持つようになった歴史的背景には、1973年に起きた「ハマノパレード事件」という悲劇が深く関わっています。ハマノパレードは、同年の宝塚記念をレコードタイムで逃げ切り優勝した、当時の超一流のグランプリホース(名馬)でした。

しかし、次走の高松宮杯のレース中、運悪く転倒してしまい、左前脚の粉砕骨折を発症。回復の見込みがないとして「予後不良」の安楽死処分が決定されました。 当時の発表では、ハマノパレードは速やかに安楽死の処置を受け、手厚く葬られたとされていました。ところが翌日、愛知県の食肉市場に「さくら肉 本日絞め 400kg」という商品が入荷され、これが「昨日予後不良になったハマノパレードの肉ではないか」という噂が業界内で駆け巡りました。

のちのスポーツ紙の潜入取材などによって、驚愕の事実が明るみに出ました。ハマノパレードは、予後不良の診断が下った直後、安楽死の薬物処分を受けることなく、苦痛を和らげる軽減措置すらなされないまま暗い厩舎で一晩放置され、翌朝になって屠殺業者へと引き渡され処理されていたのです。

競馬史の悲劇がもたらしたJRAのルール改正                     名馬に対するこのあまりにも凄惨な扱いに、当時のファンや動物愛護団体からは怒りと非難が殺到しました。この世論の猛反発を受けて、日本中央競馬会(JRA)は制度の改善を余儀なくされました。それ以降、「競走中に重度の故障(予後不良)を発症した競走馬の屠殺処分を原則禁止」とし、獣医師の判断のもと、速やかに安楽死処置を現地で即刻執行する厳格なルールへと改正されたのです。現在の競馬場において骨折した馬が速やかに安楽死の処置を受けるのは、このハマノパレード事件という痛ましい教訓がベースになっています。

残留物質を防ぐ「休薬期間」と生食の厳格な衛生検査規制

現役の競走馬は、レースでベストなパフォーマンスを発揮するため、あるいは怪我の治療のために、さまざまな規制薬物や抗生物質などの動物用医薬品の投与を受ける機会が頻繁にあります。ここで、「それらの薬物が残留した馬肉が市場に流れて、人間の健康に害を及ぼさないのか?」という不安を抱く方もいるかもしれません。

もちろん、これらに対しては非常に厳格な安全・衛生ルールが敷かれています。 引退競走馬を食肉用(特に生食用の馬刺しなど)として処理する際には、食品衛生法および医薬品医療機器等法(薬機法)に基づき、各医薬品に定められた「使用禁止期間」や「休薬期間」を厳密に満たす必要があります。休薬期間を守らずに家畜を出荷し、食品から残留基準値を超える医薬品成分が検出された場合は、食品衛生法違反として商品の即時廃棄や回収、さらには事業者名の公表といった重いペナルティが科せられます。

現役中にドーピング検査や規制薬物の管理を徹底して受けている競走馬だからこそ、食肉化へ移行する際にも過去の治療・投薬カルテが非常に厳格にチェックされ、セーフティマージンを加味した十分な休薬・隔離期間が設けられた個体のみが、安全な精肉として処理されるシステムになっています。 特に生食用馬刺しとして流通する肉は、厚生労働省が定める非常に厳しい微生物制御や加熱冷凍要件をクリアする必要があるため、原料段階から仕入れ履歴や検査記録が完全に整備された、非常に信頼性の高いルートでのみ流通しています。 (出典:農林水産省「馬産地をめぐる情勢」

他の畜産業におけるサイクルとの比較

このような競走馬の食肉転用は、競馬というエンターテインメントの美しさに魅了されているファンにとっては、冷酷で受け入れがたい「不都合な真実」として捉えられることが多いです。しかし、少し広い視野を持って他の畜産業(一次産業)における生命のサイクルと比較してみると、この仕組みがいかに市場の経済合理性に則って稼働しているかが分かります。

例えば、私たちに毎日新鮮で栄養豊富な牛乳を届けてくれる乳牛(ホルスタインの雌など)のケースを考えてみましょう。乳牛は、生涯にわたって牛乳を絞られ続けるイメージがあるかもしれませんが、加齢や病気(例えば乳房に細菌が感染する乳房炎など)が原因で搾乳量が減少したり、子牛を産めなくなったりすると、経済動物としての役割を終えたと見なされ、その瞬間に「廃用牛(はいようぎゅう)」として処理されます。

そして、最終的にはお肉(主に加工用の牛肉やひき肉、ペットフードなど)へと転用され、私たちの食卓を支えています。牛乳を作る牛、卵を産む鶏(廃鶏)、そして早く走るための競走馬。使役される目的はそれぞれ異なりますが、「人間の経済活動をサポートし、その能力(役割)を失った段階で、市場価値のある食肉へと転用・バトンタッチされる」という基本的なライフサイクルは、日本の畜産業・農業の仕組みにおいて全く同一の原理で回っているのですね。

知っておきたい経済動物の宿命

私たちがここで最も明確に区別して理解しておかなければならないのは、馬が犬や猫のような「愛玩動物(ペット)」ではなく、法律や産業の分類において明確に「経済動物(家畜)」として扱われているという現実です。ペットであれば、飼い主が愛情を持ってその一生を終えるまで個人的に養うことが期待されます。

しかし、経済動物であるサラブレッドの生涯には、毎日途方もない管理コスト(牧場への高額な預託料、高品質な配合飼料代、削蹄・装蹄費、獣医師の治療費や防疫のためのワクチン代など)が絶え間なく発生し続けます。 馬1頭あたりの年間維持費は約100万〜200万円にものぼるため、レースで賞金を稼げなくなった馬や、繁殖としての見込みがなくなった馬を「かわいそうだから」という感情的な理由だけで、何十年も寿命が尽きるまで無償で飼育し続けることは、個人の馬主や牧場にとって破産に直結する不可能な選択肢です。
現役の年齢や寿命の捉え方については、こちらの競走馬の現役年齢や寿命に関する詳しい解説も合わせてご覧いただくと、馬たちの命のサイクルについてより深く理解できますよ。この「利益を生み出さなくなった時点で、次の役割へと強制的に移行せざるを得ない」という経済動物ならではの宿命こそが、引退馬問題を単なる動物福祉の理想論だけでは解決できない、最もシビアで根深い課題となっています。

競走馬の平均的な引退年齢と本来の寿命とのギャップ

競走馬の生涯やその後の行方を考えるとき、私たちが最初に突きつけられるのが、彼らが競馬場を退く年齢と、馬という生き物が本来持っている寿命との間にある「あまりにも大きすぎるギャップ」です。テレビの画面や競馬場で元気に走っている馬たちを見ると、誰もがその若々しいエネルギーに満ちあふれた姿に目を奪われますよね。

しかし、その輝かしい時間の裏には、生き物としての天寿を全うすることが極めて困難な、サラブレッド特有のシビアなライフサイクルが存在しているのです。 一般的に、馬の本来の生物学的な寿命は、適切な環境で大切に飼育された場合、およそ25歳から30歳に達すると言われています。これは人間で換算すれば、80代から90代の大往生に匹敵するほどの長い年月です。

ギネス記録や国内の長寿記録では、35歳ともなれば大往生としてファンから称賛されることもあります。しかし、実際にこの年齢まで穏やかに生きられる競走馬は、毎年生まれる数千頭のうち、ほんの一握りの功労馬や繁殖牝馬、幸運な乗用馬たちだけであって、大半のサラブレッドは寿命の4分の1にも満たない若さで現役生活を、そして時にはその生涯そのものを終えてしまうのが現実なのです。

サラブレッドの生物学的寿命と驚異的な成長スピード

サラブレッドの引退がこれほどまでに早い理由の一つに、彼らの持つ「驚異的な成長の早さ」が関係しています。馬の年齢を人間の年齢に換算してみると、その成長スピードがいかにハイスピードであるかがよく分かりますね。馬は生まれてからわずか1年で、人間でいう「4歳から5歳」程度の幼児期を通り過ぎ、2歳を迎える頃には、早くも人間でいう「高校生(15〜17歳)」ほどの体つきへと急成長します。

そして3歳になれば、人間なら「20歳前後の成人」となり、肉体的にも精神的にもレースを走るためのピークへと達するのです。私たちが3歳クラシック(皐月賞や日本ダービーなど)を熱狂して見ているとき、馬たちはまさに人間でいう最も体力がある青春真っ只中の年齢を生きているわけですね。

【豆知識】馬の年齢と人間の年齢換算目安

馬の年齢 人間の換算年齢 主なライフステージ
1歳 約4〜5歳 離乳を終え、集団での初期の育成や馴致(じゅんち)が始まる時期
2歳 約15〜17歳 本格的なトレーニングを経て、夏のメイクデビュー(新馬戦)で競走馬生活がスタート
3歳 約20歳前後 一生に一度のクラシック競走を戦う時期。同時に、未勝利馬にとっては最大のターニングポイント
4〜6歳 約24〜30歳 競走馬としての円熟期。一流馬はこの時期の終わりに引退し、繁殖入りを果たす
25〜30歳 約80〜90代以上 馬本来の「寿命」。天寿を全うする養老生活の最終ステージ

この驚異的なスピードで成長するからこそ、彼らが「老兵」として扱われるのも非常に早くなります。まだ若く健康に見える5歳や6歳であっても、競走馬としては「肉体の衰えが始まる年齢」と見なされてしまい、これ以上現役を続けるメリットがないと判断されれば、すぐに第二の人生を探さなければならなくなります。

この急速な時間軸の進み方が、人間と馬の寿命に対する認識のギャップをさらに大きなものにしているのかなと思います。現役の年齢や寿命の捉え方については、こちらの競走馬の現役年齢や寿命に関する詳しい解説も合わせてご覧いただくと、彼らの限られた現役生活の長さについてより深く納得していただけるかなと思います。

現役引退を決断する主なきっかけと「経済寿命」のジレンマ

馬が競馬場を引退するきっかけは、成績優秀なスターホースと、そうではない大多数の馬とで180度異なります。重賞レースやG1をいくつも勝つような一流の牡馬であれば、競走能力のピークを少しでも過ぎる前に引退させることが、ビジネスにおいて最優先されます。

なぜなら、無理をさせて大怪我を負ったり、惨敗を繰り返して馬としてのブランド価値(種牡馬としての価値)を落としたりするよりも、元気で最も輝いている5歳から6歳のタイミングで引退させ、1株あたり数千万円にもなる「種牡馬株」を販売して種牡馬生活へ移行させる方が、馬主にとっても牧場にとっても圧倒的に大きな経済的メリットが得られるからです。

優秀な牝馬の場合も同様で、少しでも健康で若いうちに繁殖牝馬(お母さん馬)として牧場に連れ戻し、素晴らしい子どもたちを産んでもらう方が、将来的な投資対効果が高くなります。 しかし、こうした華々しい引き際を用意されるのは、毎年生まれるサラブレッド全体のわずか数%の超エリートのみです。

それ以外の90%以上の馬たちにとっては、引退とは「これ以上走らせても預託料(維持費)に見合うだけの賞金を稼げなくなった」という、極めてシビアな経済的価値の喪失、すなわち「経済寿命」の到来を意味します。地方競馬(NAR)の最下級クラスなどで、高齢になっても走り続けている馬たちがいますが、それは「辛うじて賞金や出走手当で自分の預託料を稼げているから」であって、走ることで赤字が出始めた瞬間、一気に引退への崖っぷちに立たされることになります。

馬主に「馬への深い愛情」があったとしても、毎月20万〜30万円、年間にして数百万円の赤字を垂れ流しながら趣味として馬を飼い続けることができるのは、一部の資産家に限られるため、引退の判断は常にこのジレンマと戦うことになるのです。

「3歳の壁」と未勝利戦がもたらすシビアな選別プロセス

大多数のサラブレッドが直面する最も過酷な試練が、いわゆる「3歳の壁」と呼ばれる仕組みです。JRA(日本中央競馬会)では、毎年約7,000〜8,000頭の新しい馬たちがデビューしますが、その競走体系は非常にピラミッド型に作られており、すべての馬が平等に走り続けられるわけではありません。

3歳クラシックレースの華やかな大舞台の裏側では、毎週のように「未勝利戦」という、一度も勝てていない馬たちだけのサバイバルレースが行われています。この未勝利戦には明確なタイムリミットがあり、毎年9月の上旬をめどにすべての番組編成が終了してしまいます。 JRAで一度も勝てなかった馬(未勝利馬)は、この「3歳の壁」のタイミングで強制的にJRAからの退場を余儀なくされます。

その割合は、JRA所属馬の実に約7割。つまり、3歳秋の時点で約5,000頭近くの若い馬たちが、一度も勝利の味を知らないまま行き場を失うのです。彼らの多くは、地方競馬へ移籍して現役を続行するか、あるいは乗馬や繁殖という名目で登録抹消されます。しかし、一時的な避難先である地方競馬であっても、クラスが上がらなければ預託料に対して賞金が安すぎるため、やはり1〜2年で「経済寿命」を迎えてしまいます。

この若すぎる引退馬の圧倒的な数に対して、全国の乗馬クラブや牧場が新規に受け入れられるキャパシティには物理的な限界があるため、溢れ出た馬たちがそのまま家畜商の手を経て食肉ルートへと流れ込まざるを得ないのが、今の産業構造が抱える最もシビアな課題と言えます。

回復見込みとコストの天秤:治療薬の休薬規制がもたらす影響

さらに、現役中の馬が怪我(骨折や屈腱炎など)をした際に、「治療を続けて現役復帰を目指すか」、あるいは「そこで引退(廃用)を宣告するか」の判断には、高額な医療費だけでなく、食用転用を見据えた「動物用医薬品の使用規制(休薬期間)」という法律上のハードルが深く関わっています。

馬は経済動物であり、将来的に食肉としてと畜・加工される可能性があるため、食品衛生法や「ポジティブリスト制度」に基づき、体内に医薬品が残留した状態で屠殺されることは厳格に禁止されています。 例えば、怪我をした馬に痛みを和らげる消炎鎮痛剤や、感染症を防ぐ抗生物質などの強い薬剤を使用した場合、その薬物の成分が体内から完全に消え去るまで、数週間から長ければ数ヶ月に及ぶ「使用禁止期間(休薬期間)」を守らなければ、食肉として出荷することができません。もしこのルールを無視して出荷し、残留農薬や薬剤が検出されれば、食品衛生法違反として出荷した側が非常に厳しいペナルティを受けることになります。

そのため、馬が怪我をした際、馬主や調教師は「復帰に向けた莫大な治療費と、治るか分からない期間の預託料を支払い続けるリスク」に加え、万が一治療を諦めて出荷せざるを得なくなった場合の「治療薬による休薬期間の管理コスト」をも天秤にかける必要があります。薬を使って長引かせるくらいなら、薬を一切投与しない状態で、即座に「廃用(食肉としての売却)」を決断した方が、経営上の損失が最も少なく済んでしまうという、非常に悲しいコストの天秤が存在するのです。

こうした厳しい規制の存在や、馬を取り巻く法律の運用実態を知ることも、私たちがこれからの引退馬支援を現実的に考えていく上で、欠かすことのできない重要な知識なのかなと思います。

毎年多くの馬が殺処分に?引退馬が辿る食肉の割合

競馬場を走り終えたサラブレッドたちの「その後」について、ネット上でよく目にする「殺処分」や「馬刺し」という言葉。これらは、多くの競馬ファンが最も胸を痛め、そして真相を知りたいと願う最大の疑問ですね。実際のところ、どれほどの割合の馬たちが食肉ルートへ進んでいるのでしょうか。

私自身、競馬のデータ分析を行う中で、このデリケートな問題の数字や背景について、できる限り客観的なデータを集めて検証してきました。 まず前提として、JRA(日本中央競馬会)や地方競馬全国協会(NAR)は、引退した馬の生涯を網羅的に追跡した公式な「セカンドキャリア以降の追跡データ」を開示していません。これは、競走馬登録を抹消された時点で、馬の所有権が馬主から別の個人や乗馬クラブ、あるいは家畜商へと完全に移行し、競馬主催団体の管轄から外れてしまうためです。
しかし、公式なデータがないからといって実態が分からないわけではありません。農林水産省が公表している「と畜統計」や、関係者への取材、ドキュメンタリー映画による調査を組み合わせることで、極めてリアルな推計値を見出すことができます。 農林水産省の統計によると、日本国内で処理される馬のと畜頭数は、年間でおおむね12,000頭から13,000頭前後で推移しています。例えば、少し前の代表的な公的統計では、年間と枝肉処理(と畜)の総数が12,466頭でした。この内訳を詳しく見ていくと、まずカナダなどから食肉用(肥育用)として生体で空輸され、国内で一定期間育てられた「輸入馬」が4,277頭含まれています。
この輸入馬の数を差し引くと、残りの約8,000頭が「日本国内で生まれ育った国産馬」であることが浮き彫りになります。 さらに、引退馬のシビアな現実に迫ったドキュメンタリー映画『今日もどこかで馬は生まれる』などの緻密な取材や、業界関係者へのインタビューによれば、この国内で処理される約8,000頭の国産馬のうち、実に約8割(およそ6,400頭)がサラブレッドを代表とする「元競走馬などの軽種馬」であると推計されています。

日本国内の軽種馬の年間生産数が約7,000〜8,000頭であり、毎年ほぼ同数の馬たちが引退していることを考えると、年間で約5,000〜6,400頭規模の引退馬たちが、実質的に食肉や加工肉のルート、あるいはペットフードや動物園の獣用の餌として屠殺されているという、数字に基づいた非常に重い実態が見えてくるのです。これらの詳細な馬産の背景や統計の推移については、農林水産省が公表している一次資料(出典:農林水産省「馬産地をめぐる情勢」)などで、より広い視野での需給状況を確認することができます。

数値はあくまで一般的な推計値です                         ここで紹介した頭数や割合は、公的なと畜統計と業界内の流通実態から導き出された専門家や関係者による「推計の目安」です。すべての引退馬の個体データが公開されているわけではないため、実際の流通割合は年ごとの需要や生体輸入の増減によって変動します。正確な情報や最新の取り組みについては、JRAや各支援団体の公式サイト等をご確認いただき、サポート等の活動に参加される際は信頼できる公認団体へ直接ご相談くださいね。

殺処分と食肉屠殺の言葉の使い分けと誤解

このテーマを語る際、多くの人が「殺処分」と「屠殺(食肉転用)」という言葉を混同して使ってしまい、誤解が生じているケースがよくあります。実は、これらは流通や医学の観点から厳格に区別されています。 一般的に、競馬のレース中や調教中に、骨折などの深刻な大ケガを負い、獣医師によって治療不可能(予後不良)と判断された馬は、苦痛を和らげるためにその場で「安楽死」の措置が取られます。

これが本来の意味での「殺処分」です。この安楽死の際には強力な麻酔薬や殺処分用の薬剤が使用されるため、体内に有害な薬物が残留してしまいます。そのため、殺処分(安楽死)された馬の肉が、人間の食用(馬刺しなど)として市場に流通することは食品衛生法上、絶対にありません。 一方で、レースで勝てなくなったり、高齢になったりして「経済的な価値」を失い、家畜商を介して肥育場や食肉処理場へと送られ、命を終えてお肉(桜肉)に加工されるプロセスを「屠殺(とと畜)」と呼びます。どちらも「若い年齢で命を終える」という悲しい結末に違いはありませんが、そのプロセスと目的はまったく異なっていることを知っておくと、誤った都市伝説や極端なデマ(「怪我した馬がその日のうちに馬刺し屋に売られる」といったもの)に惑わされずに済むかなと思います。

肥育場という中継地点と休薬期間のルール

競馬場を去って食肉ルートへと進む馬たちは、そのまま直接屠殺場へ行くわけではありません。ここには、人間が安全に馬肉を食べるための厳格な「食品衛生上のルール」が関わっています。競走馬として日々ハードな調教やレースをこなしてきたサラブレッドは、現役中にケガの治療や疲労回復のために、さまざまな動物用医薬品(消炎鎮痛剤や抗生物質など)を投与されている可能性があります。これらが肉の中に残留したまま出荷されると、重大な食品衛生上の問題となってしまいます。 そのため、引退した馬たちはまず「肥育場(ひいくじょう)」と呼ばれる中継施設へと送られます。ここでは主に以下の2つの非常に重要なプロセスが行われます。

  1. 休薬期間の消化と残留物質のクリア:食品衛生法や動物用医薬品の使用規制に基づき、体内に残っている治療薬が完全に代謝・排出されるまでの「休薬期間」を厳格に遵守させます。これにより、食肉としての安全性が担保されます。
  2. 肉質の改善(体重増加):現役時のサラブレッドは体脂肪率が5%程度と非常にアスリート仕様であるため、そのままでは食用肉として十分なボリュームが取れません。肥育場で約3ヶ月間の休養を与えられ、運動を制限しながら安価でカロリーの高い飼料をたっぷり与えることで、可食部を増やし、柔らかく旨みのある赤身肉へと仕上げていきます。
このように、引退馬が馬肉として流通する裏側には、徹底的な衛生管理と市場の経済原理が精緻に組み込まれたシステムが存在しているのです。一度競馬の登録から外れてしまうと追跡が難しくなるこの循環ですが、私たちファンとしては、単にかわいそうと目を背けるのではなく、命をいただく側の責任としてこうした管理体制が稼働している現実を正しく理解しておきたいですね。

ウマ娘で有名なハルウララが馬刺しになった噂の真相

インターネット上の掲示板やSNS、あるいは検索エンジンのサジェスト機能において、時として特定の有名な競走馬の名前を名指しして、「あの馬は最後は馬刺しになって人間の胃袋に収まった」といった、極めて刺激的でショッキングな噂が流れることがあります。その最も大きな被害に遭い、長年にわたりデマを流され続けてきた代表例が、高知競馬で連敗を重ねながらもその愛らしさと健気さから一世を風靡し、社会現象にまでなったハルウララです。

一時期、ネット上では「ハルウララは最後は馬刺しになった」「維持費に困って屠殺処分された」といった極端なコラムや噂がまことしやかに囁かれ、現在でも信じ込んでいる方が少なくありません。しかし、これは完全に事実無根の嘘であり、悪質な憶測に基づいたデマです。ハルウララを巡る実際の馬生と、その穏やかな最期について、私たちが知っておくべき真実を詳しく解説しますね。

「負け組の星」が辿った本当の馬生と大往生の真実

ハルウララ(1996年生まれの牝馬)は、高知競馬で113戦0勝という生涯戦績を残し、1勝も挙げることこそできませんでしたが、負けても負けても一生懸命に走り続ける姿が多くの人々に勇気を与え、「負け組の星」として平成の競馬史にその名を刻みました。

現役引退後は、馬主の都合などから繋養先を転々とせざるを得ない厳しい時期もあり、一時は本当に殺処分の危機に瀕したこともあったのは事実です。この時の「行方不明になりかけた」という事実が歪められ、ネット上で「馬刺しになった」という極端なデマに直結してしまいました。

しかし、こうした彼女の危機を救うため、2014年に有志によって「春うららの会」が発足。認定NPO法人引退馬協会の「引退馬ネット」による運営サポートのもと、千葉県御宿町にある「マーサファーム」に預託され、会員たちの温かい寄付金に支えられながら、何不自由のない幸せな余生を過ごすことになったのです。

マーサファームでのハルウララは、非常にマイペースでちょっぴりワガママなお局様として愛され、ファンから贈られる大好物のニンジンやブロッコリーをバリバリと美味しそうに食べる姿が何度も報告されていました。そして、ハルウララは2025年9月9日午前2時20分、繋養先であったマーサファームにて、高齢による急性腹症である「疝痛(せんつう)」が原因で永眠しました。享年は29歳。サラブレッドの平均寿命が25歳前後であることを考えれば、まさに大往生と言える天寿を全うしたのです(出典:認定NPO法人 引退馬協会「サポートホースのハルウララ号が永眠いたしました」)。

最期までワガママで強情な、ハルウララらしい愛らしい旅立ちだったことが牧場関係者からも語られており、彼女が食肉処分されたなどという噂は、この確固たる生存・死亡記録によって完全に否定されています。

ウマ娘がきっかけで救われる現代の引退馬たち                    ハルウララのように、メディアミックス作品「ウマ娘 プリティーダービー」に登場してキャラクター化されたことで、競馬に興味のなかった若い世代が「実在する引退馬の現実」に目を向ける素晴らしいサイクルが生まれています。実際、ウマ娘ブームをきっかけに、引退馬支援のためのドネーションに数千万円規模の寄付が集まるなど、馬たちの命を救うための心強いセーフティネットが民間主導で構築されつつあります。

なぜ著名な名馬ほど「馬刺し説」のデマが立ちやすいのか?

ハルウララのように、実際には天寿を全うした馬であるにもかかわらず、なぜこのような不穏な噂が定着してしまうのでしょうか。私なりにその構造を分析してみると、噂が立ちやすい馬にはいくつかの「共通する特徴」があることが分かってきました。

噂が立ちやすい馬の特徴 なぜデマや誤解が定着してしまうのか?
1980〜90年代前半の活躍馬 インターネットが一般家庭に普及する以前に引退した馬は、公的な余生データや所在ルートがデジタルアーカイブとしてウェブ上に残っていないため、ファンの想像の中で「悲惨な最期を遂げたはずだ」と結末がネガティブに補完されやすいため。
成績不振で廃用になった種牡馬 高額なシンジケートを組まれて種牡馬入りしたものの、産駒(子ども)の成績が振るわず、数年で登録を抹消(廃用)された馬は、表舞台から消えるスピードが早いため、食肉処分の噂と結びつきやすい。過去の米二冠馬ファーディナンドが日本で種牡馬廃用後に闇処分された悲劇の実例が、この不安をより煽る結果となっています。
地方競馬へ移籍して消えた馬 中央競馬(JRA)から地方競馬(NAR)へ移籍し、そこでひっそりと登録抹消された馬は、地方競馬特有の「自動抹消(時効抹消)」の手続きによって所在が完全に追跡できなくなるため、消息不明=屠殺というイメージが定着しやすいため。

このように、競馬サークルにおける「引退後の不透明な管理体制」という現実の弱点に、特定のスターホースたちの「消息不明(行方知れず)」というステータスが結びつくことで、ファンの強い不安や罪悪感が刺激され、センセーショナルなデマとして肥大化してしまうのです。

真実を見極めるために私たちが持つべき「情報の防衛策」

ハルウララのような悲しい誤情報に惑わされず、大好きな馬たちの真実の行方を冷静に見極めるためには、私たち消費者・競馬ファン自身が正しい情報リテラシーを持つ必要があります。ネット上の怪しい言説に対峙した際は、以下の検証プロセスを意識してみるのがおすすめですよ。

  • 発信元(一次情報)の厳格なトリプルチェック:個人ブログの憶測やSNSの匿名の書き込みを鵜呑みにせず、繋養先の牧場、NPO法人引退馬協会などの公認支援団体、またはJRA・NARの公式サイトが発表している公式なプレスリリースを必ず直接確認する。
  • 感情的な言葉(エモーショナルワード)の排除:記事や書き込みの中に「悲惨な末路」「人間のエゴの犠牲となって殺された」といった、過度に読者の罪悪感や同情を煽る主観的な言葉が散見される場合、それは客観的な事実ではなく、執筆者の個人的な思想や推測で書かれている可能性が高いと判断する。
  • 不透明な情報は「未確認」として扱う誠実さ:タップダンスシチーなどのように、一時的に消息が分からなくなっている馬がいたとしても、確固たる証拠(と畜記録や公式発表)が出ない限りは安易に「馬刺しになった」などと断定せず、「現在は公式な情報がない状態」として冷静に受け止める。

競馬界の裏に「食肉転用」という厳しい現実が横たわっているのは紛れもない事実ですが、だからといってすべての消息不明馬を「馬刺しになった」と決めつけるのは、馬たちを最後まで愛し、限られた資金の中で必死に余生を支えようとしている牧場関係者や支援団体の方々に対する侮辱にもなりかねません。

正しい事実と真摯に向き合うことこそが、私たちができる最も誠実なファンとしての態度なのかなと思います。 もし、こうしたデマに惑わされることなく、今生きている引退馬たちを自分の手で守り、第二の馬生を応援したいと感じたなら、私たちが日常からアプローチできる具体的な支援方法があります。

実質2,000円の自己負担で馬たちのエサ代や医療費をサポートできる素晴らしい仕組みについて、こちらの引退馬支援おすすめの方法や初心者が知っておくべき現状の記事で、初心者にも分かりやすくまとめていますので、ぜひチェックして、馬たちの明るい未来を一緒に支えていきましょう。

サラブレッドと重種馬の違いからみる肉質のヒミツ

ここまでの解説で、サラブレッドが競馬場を去った後に食用肉として流通しているリアルな実態をご理解いただけたかと思います。でも、そこで気になるのが「そもそもサラブレッドの肉って本当に美味しいの?」という疑問ですよね。結論から言うと、サラブレッドなどの「軽種馬」の肉には、霜降り肉とはまた違った素晴らしい魅力がたっぷり詰まっているんです。

日本国内で流通している馬肉は、その馬の体格、骨格、そしてルーツによって、大きく「軽種馬(けいしゅば)」「重種馬(じゅうしゅば)」の2種類に分類されます。この2つの違いを知ると、馬肉のおいしさや肉質のヒミツが非常によく分かって面白いですよ。私自身、この違いを知ったときは「なるほど、だから産地によって見た目も味も全然違うんだ!」と深く納得したのを覚えています。

アスリートである軽種馬(サラブレッド)の驚くべき肉質

競走馬の代表であるサラブレッドは、極限のスピードとタフさを追求して人工交配を重ねられてきた「軽種馬」に属します。成馬の体重はだいたい500kgから600kg前後で、脚が細長く、無駄な脂肪が一切ないシャープな体つきが特徴ですね。

実は、現役の競走馬の体脂肪率はわずか5%程度しかありません。まさに全身が強靭な筋肉の塊であり、超一流のアスリートそのものです。引退した後に肥育牧場で約3ヶ月ほど、特別な餌を食べて脂肪や体重を増やす「肥育」のプロセスを経るのですが、サラブレッドの遺伝子(性質)として、肉の繊維の間に細かく白い脂が網の目のように入る「サシ(霜降り)」は、どれだけ長く太らせてもほとんど入らないと言われています。

そのため、サラブレッドから作られる馬肉は、筋肉質で脂肪が極めて少ない、鮮やかな濃い赤色をした「純赤身肉」になります。脂っこさが一切なく、高タンパク・低カロリーでありながら、噛めば噛むほどにお肉本来の強い旨みと、モチモチとした適度な弾力が楽しめるのが最大のヒミツです。さらに、鉄分(ヘム鉄)やグリコーゲン、カルシウム、多種のビタミンが非常に豊富に含まれているため、とてもヘルシーな健康食材としても注目されているんですよ。

霜降り馬刺しの主役となる超大型の重種馬

一方で、私たちが高級な居酒屋や熊本のお土産などでよく目にする、真っ白な脂が美しく入った「霜降り馬刺し」に使われているのは、全く別の品種である「重種馬」です。ペルシュロンやブルトン、ベルジアンといったヨーロッパ原産の品種がルーツで、体重はサラブレッドの倍近い800kgから1トン(1,000kg)以上にも達する超大型の馬たちです。

かつて北海道の開拓期に活躍し、現在は「ばんえい競馬」などで活躍している力強い馬たちもこの重種馬の仲間ですね。 重種馬は、もともと穏やかな性格で太りやすい体質を持っています。肥育牧場でエネルギーの高い大麦やトウモロコシなどの配合飼料をたっぷりと与えられることで、筋肉の隙間に真っ白な美しい霜降り(サシ)が非常に入りやすくなります。

口に入れた瞬間に、人間の体温で脂がトロリと甘く溶けるような、とろける柔らかさとジューシーな肉汁が特徴です。このように、一口に馬刺しと言っても、軽種馬と重種馬では肉の仕上がりや見た目のアプローチが180度異なっているのです。

比較項目 軽種馬(サラブレッドなど) 重種馬(ペルシュロン、ブルトンなど)
骨格と成馬体重 約500kg〜600kg前後の非常にスリムで引き締まった骨格 約800kg〜1,000kg(1t)以上の骨太でずんぐりした巨体
脂(サシ)の特性 サシはほぼ入らず、肉全体が均一で非常に濃い赤身となる 筋肉の隙間に細かく美しい脂のサシが非常に入りやすい
味わい・食感 クセがなくスッキリ爽やか、噛むほどに赤身の深いコク 濃厚な甘みととろけるような柔らかさ、ジューシーな脂のコク
主な産地と食べ方 福島県(会津:辛子味噌醤油)、福岡県(筑後:生食) 熊本県(熊本:おろし生姜やにんにく、甘口溜まり醤油)

私たちが安心・安全に馬刺しを食べられる理由

ここで少し、真面目な安全性の基準についてもお話ししておきますね。現役の競走馬は、レースを走るためにドーピング検査が義務付けられており、使用できる薬物も厳格に管理されています。しかし、怪我の治療などで動物用医薬品(抗生物質や消炎鎮痛剤など)を一時的に投与されるケースもあります。

こうした馬たちが最終的に食肉処理される場合、食品衛生法や動物用医薬品の使用規制(いわゆるポジティブリスト制度)に基づき、薬物が体内に残留していないことを確認するための厳しい「休薬期間(使用禁止期間)」を完全にクリアしていなければ、出荷・と畜をすることは法律で固く禁じられています。厚生労働省や農林水産省が定める厳格な検査体制のもとで、生食としての生化学的な安全基準を完全に満たした個体のみが、私たちの食卓へと届けられる仕組みになっています。

こうした徹底的なチェック体制があるからこそ、私たちはいつでも安心して美味しい馬刺しを楽しむことができるのですね。(出典:農林水産省「馬をめぐる情勢」

知っておきたい!部位ごとの美味しさの楽しみ方                   サラブレッドのような軽種馬の「赤身」は、厚み5〜7ミリ程度にスライスして、少し冷たさを残した状態で食べるとシャキッとした心地よい歯ごたえと甘みが引き立ちます。また、お尻の希少部位である「ロース」や、コリコリした独特の食感がたまらない真っ白な「タテガミ(コーネ)」など、部位による個性の違いをシンプルに塩とごま油、あるいはニンニク醤油などで食べ比べるのもおすすめの楽しみ方ですよ。

ご自宅で安全・安心な「絶品馬刺し」を味わってみませんか?

徹底した衛生管理のもとで提供される馬刺しは、高タンパクでヘルシーなご馳走です。本場の熊本の霜降りから、さっぱりとした会津の赤身まで、お取り寄せなら新鮮な状態でお楽しみいただけます。

(※人気の部位はすぐに売り切れることもあるため、早めのチェックがおすすめです!)

競走馬が引退後に馬刺しとなる実態と救済支援の行方

ここでは、なぜ引退した競走馬たちが最終的に食肉処理のルートへ進まざるを得ないのか、その背景にある「乗馬クラブ」や「地方競馬」などの構造的なボトルネックについて、さらに深く踏み込んで解説します。

セカンドキャリアの定番である乗馬に転向した馬の現実

競馬ファンにとって、お気に入りの競走馬が引退する際に「乗馬として引き取られました」というニュースを聞くことは、最も安心できる結末の一つではないでしょうか。「これでこの子は、一生優しい人たちに囲まれて、のんびりとセカンドキャリアを全うできるんだな」とホッと胸をなでおろすのは、ごく自然なファン心理かなと思います。

しかし、一見すると多くの馬が全国の乗馬クラブに優しく迎え入れられ、幸せな第二の馬生を送っているように見える裏側には、乗馬施設を運営する現場が日々直面している、極めて厳格でシビアな経済的現実と技術的な壁が存在します。 日本最大手の乗馬クラブである「乗馬クラブクレイン」が公表しているデータを見ると、現在クラブに繋養されている約3,100頭の馬のうち、実に約85%に該当する約2,600頭が元競走馬(サラブレッド)です。

これほど多くの元競走馬が全国の乗馬施設に在籍している理由は、日本国内に乗馬専用の品種(温血種であるセルフランセやハノーバーなどのスポーツホース)のブリーディング・生産基盤がほとんど確立されていないためです。そのため、毎年競馬界から引退していく大量のサラブレッドを受け皿としてリトレーニングし、乗用馬として再活用せざるを得ないという、日本独自の供給構造上の都合があるのです。 しかし、サラブレッドを一般の乗客が安全に乗れるレベルにまで仕上げる「リトレーニング(再調教)」のプロセスは、想像以上に困難を極めます。

サラブレッドは元来、非常に高い感受性を持ち、些細な物音や影にも敏感に反応する「神経質かつ臆病」な気性の生き物です。その上、生まれてから3歳〜5歳で引退を迎えるまでの間、「鞭の合図で前方へ全力で駆け抜ける」「他馬を絶対に抜かせてはならない」「アブミを極端に短くして前傾姿勢で騎乗される」という、乗馬とは正反対の特殊な反射訓練を徹底的に叩き込まれています。これを、経験の浅い初心者や子供が安心して乗れる、穏やかで従順な馬に生まれ変わらせるためには、ただ根気強く接するだけでは到底不可能です。

馬自身の心理や本能を科学的に理解した、極めて高度な再教育プロセスが必要となります。 実際、JRA(日本中央競馬会)の馬事公苑が中心となって3年間の実践検証を経て体系化したリトレーニング指針が存在します。この指針では、馬が本来「捕食動物から逃げる草食動物(被食動物)であること」や「群れの中で絶対に信頼できるリーダーに従う習性」を持っていることを前提とし、人間が「恐怖を与える支配者」ではなく、「安心と快適を提供してくれる母馬のようなリーダー」として認識されることを共通理念としています(出典:JRA『引退競走馬のリトレーニング指針』)。この公式マニュアルが定めている、具体的な調教の3ステップをより深く見ていきましょう。

ステップ1:マインドのリセット(グラウンドワーク)

競馬場から退厩した直後のサラブレッドは、極度の緊張状態や興奮癖が身体に染み付いており、肉体的にも精神的にも疲れ果てています。そのため、まずは一定の休養期間を設けて放牧などでマインドをリフレッシュさせることが先決です。その後、人間が背中に乗る前に、地上で馬と対峙して行う「グラウンドワーク」からスタートします。

ここでは、馬房内での手入れや洗い場での駐立といった「ステーブルマナー(厩舎内での礼儀)」の確認から行い、引き馬の際に人間の歩調や肩の位置に合わせて馬が従順に歩く、止まる、後退する、といった基本的なルールを徹底的に教え込みます。競馬の時のように「人間を引っ張って突進する」という癖を初期化し、「人間が止まれば自分も止まり、人間が下がれば自分も下がる」という、人馬間のパーソナルスペース(支配領域)の境界線と上下関係を、地上での丁寧なコミュニケーションを通じてゼロから再構築していくのです。

ステップ2:人馬の信頼関係の強化(フリーランジングによるジョインアップ)

地上での引き馬ができるようになったら、次は「ジョインアップ(フリーランジング)」と呼ばれる、さらに一歩進んだ心理的アプローチへと移行します。これは、調馬索(長いロープ)を使わずに、円形の柵(丸馬場)の中で馬を放し、人間と馬がボディランゲージだけで意思疎通を図る手法です。

人間が馬のお尻側(原動力となる部分)にプレッシャーを与えることで円周上を走らせ、馬が「これ以上走っても無駄だ。目の前の人間に従ったほうが安全で快適になれる」と気づいた瞬間にプレッシャーを解除します。馬が服従のサイン(内側の耳を人間に向け、首を下げて口をもぐもぐと動かす仕草)を示したら、人間は姿勢を低くして視線を外し、馬を自分の元へと呼び寄せます(これをジョインアップと呼びます)。これにより、馬は人間を「自分を安全な場所へ導き、不快な刺激から守ってくれる真のリーダー」として心から認め、無駄な恐怖心や興奮から完全に解放されるようになります。

ステップ3:初期の騎乗調教(フラットワーク)

地上での完全な信頼関係が確立されて初めて、テストライダーが実際に背中にまたがる騎乗調教、すなわち「フラットワーク」へと進みます。競走馬時代の「ハミに寄りかかって突進する走り」から、乗馬に求められる「自らの脚でバランスを取り、首の拘束を解いて静かに前進するバランス」へと、走行フォームと扶助(合図)への反応をリセットします。

競馬では「手綱を引っ張る=さらにスピードを上げて走る」という合図になっていたのに対し、乗馬では「手綱を控える=停止・減速」という真逆の指示であることを、プレッシャーとその解除を根気強く繰り返すことで教えていきます。また、物干し竿、ビニール袋、ブルーシートといった乗馬クラブで遭遇しやすい刺激に対してパニックを起こさないよう、スティックなどを用いて全身の皮膚感覚を不快な刺激に馴らす「鈍化(Desensitization)」のトレーニングも同時に実施し、初心者を乗せても絶対に暴走しない安全性を徹底的に作り上げていくのです。

馬の年齢や引退のタイミングによる気性の変化が気になる方は、競走馬の現役年齢や寿命に関する詳しい解説も参考にしてみてください。

リトレーニングを阻む「怪我の再発」と「経済的限界」                リトレーニングを希望して引き取られる引退馬のほぼ100%が、腱の痛み、関節の変形、あるいは蹄のトラブルなど、現役時代に酷使されたことによる何らかの肉体的痛みを抱えています。馬は6歳頃まで骨の成長段階にあるため、その時期に激しいレースを重ねたダメージは、リトレーニングの最中や乗馬クラブに入った後に「足元の慢性的な跛行(はこう:歩様に乱れが出ること)」として再発するリスクが非常に高いのです。人を乗せられなくなった馬は、乗馬クラブにとって利益を生まないコスト源となり、維持できなくなった施設側が家畜商に売却することで、ペーパー上の「乗馬」という進路からいつの間にか消え失せ、最終的に食肉処理場へと送られてしまうことになります。

乗馬クラブにおける1頭あたりの「維持コスト」の現実

なぜ、どれだけスタッフが馬を愛していても、乗馬クラブは故障した馬や高齢馬を手放さざるを得ないのでしょうか。その理由は、馬を1頭飼育・維持していくために発生する、個人用のペットとは桁違いの「維持費」の構造にあります。ここで、乗馬クラブにおける一般的な馬1頭あたりの月間・年間維持費の目安をテーブルで確認してみましょう。

コスト項目 月額目安(1頭あたり) 具体的な内訳・特徴
飼料・餌代(チモシー・アルファルファ・穀物) 約30,000円 〜 50,000円 草食動物である馬は、1日に自身の体重の約2%の乾草や栄養価の高い配合飼料を消費します。近年は輸入飼料の価格高騰がダイレクトに響いています。
敷料・寝床代(おがくず・藁) 約15,000円 〜 25,000円 厩舎内を清潔に保ち、馬の脚元に負担をかけないためのクッションとして毎日大量に消費され、定期的な廃棄・交換が必要です。
装蹄・削蹄代(蹄鉄の交換) 約15,000円 〜 20,000円 馬の蹄は1ヶ月に約1cm伸びるため、約3〜4週間ごとにプロの装蹄師を呼び、削蹄と新しい蹄鉄への履き替えを行う必須コストです。
獣医師医療費・駆虫・予防接種 約10,000円 〜 20,000円 疝痛(お腹の病気)の治療や、馬インフルエンザの予防接種、定期的な虫下しの投与にかかる基本的な獣医費用です。大怪我をすればさらに跳ね上がります。
人件費・厩舎施設維持費 約30,000円 〜 50,000円 毎日朝から晩まで厩舎の掃除、馬体の洗浄、運動、給餌を行う専門スタッフの人件費や水道光熱費、設備の補修費などが含まれます。
合計(目安) 約100,000円 〜 166,000円 年間換算で約120万円 〜 200万円程度の維持費が、馬がただ生きているだけで一生涯かかり続けます。

この表からもお分かりいただける通り、乗馬クラブの馬を維持するには、何もしなくても1頭あたり月10万〜15万円以上の高額な現金が消えていきます。もし馬が走れなくなって体験レッスンにも出られなくなれば、乗馬クラブは赤字を垂れ流し続けることになり、最悪の場合、施設そのものの倒産を招きかねません。

愛護精神だけでは、この冷酷な数字の壁を乗り越えることはできないのです。 これが、JRAの発表上で「引退後は乗馬になりました」と記載された馬たちの多くが、数年後には乗馬クラブのリストから行方不明になり、静かに家畜商の手を経由して肥育場や屠殺場へと運ばれていく「サードキャリアのボトルネック」が発生する、避けては通れない構造的な原因となっています。

私たちはこの事実を「残酷な闇」と切り捨てるのではなく、構造を理解した上で、どのように馬たちの維持費を社会全体で分担し、支えていくべきなのかを冷静に考えていく必要があるのではないかなと思います。

地方競馬で発生する時効抹消と行方不明になる馬の実態

引退競走馬たちの命の行方を調べていく中で、私が最も「これは制度上の大きな壁だな」と感じたのが、引退した後の足取りを完全に追えなくしてしまう「制度的なブラックボックス」の存在です。中央競馬(JRA)でも、登録を抹消された馬たちの進路や抹消理由のうち、毎年約10%にのぼる千数百頭が「その他」という極めて曖昧な区分に分類されており、それ以上の具体的な消息を追うことはできません。しかし、地方競馬(NAR)の現場に目を向けると、そこにはさらに不透明で、競馬サークル内でも問題視されている独自の仕組みが存在します。それが「時効抹消」と呼ばれる自動手続きのシステムです。

時効抹消(じこうまっしょう)とは?                        地方競馬全国協会(NAR)の業務方法書(第18条の2)に定められている規定に基づき、地方競馬に登録されている競走馬が「引き続き1年以上地方競馬のレースに出走しなかったとき」に、馬主からの申請手続きを経ることなく、データベース上から機械的・自動的に登録を取り消す仕組みのことです。この時効抹消が行われる際、抹消された明確な理由や引退後の具体的な用途(乗馬や繁殖など)は一切記載されません。

なぜ地方競馬では時効抹消がこれほど多く放置されるのか?

JRAが管轄する10の中央競馬場と、各自治体が運営する15の地方競馬場からなる「全国の競馬場一覧全25場ガイド」でも紹介している通り、地方競馬はそれぞれの地域に根ざした独自の番組編成や運営が行われています。

しかし、その予算規模や馬主へのサポート体制には、中央競馬と地方競馬とで天と地ほどのシビアな開きがあるのが現状です。 中央競馬(JRA)の場合、競走馬登録を抹消する際に、一定の条件を満たしていれば馬主にまとまった金額の「登録抹消給付金」や「手当金」が支給される制度が整っています。そのため、馬主や管理調教師は、馬が競馬場から退厩した後にすぐ、速やかに必要書類を揃えて「申請抹消(理由を明確にして馬主自らが登録を取り消す手続き)」を行います。

早く手続きを完了させた方が、馬主にとって経済的なメリットが大きいからです。 一方で、地方競馬の多くの主催者や馬主会には、こうした「登録抹消に伴う給付金制度」がほとんど存在しません。そのため、馬主や調教師にとって、馬が走らなくなって競馬場を去った後、わざわざ手間と時間をかけて事務的な抹消申請の手続きを行う実務上のメリットやインセンティブが極めて働きにくいという背景があります。

その結果、「どうせ1年経てば自動的に登録が消えるのだから、そのまま放置しておこう」とされ、時効を待つ馬が自然と大量に発生してしまう構造ができあがっているのです。実際、2021年の統計データを見ると、地方競馬における全登録抹消馬のうち、実に31.7%(およそ3頭に1頭)という極めて高い割合が、この「時効抹消」の自動取消によって処理されていました。

時効が成立する「1年間の空白」に潜む本当の闇

この時効抹消システムの最も深刻な問題は、実際の退厩(馬が競馬場を出て行った日)から、データベース上で正式に時効による登録抹消が適用されるまでに、「1年以上の長いタイムラグ」が発生する点です。 例えば、ある馬が走らなくなり、すぐに家畜商の手に渡って肥育場や食肉処理場に運ばれたとします。

その場合、馬の肉体は数か月後には流通し、この世には存在していない状態になります。しかし、書類上の手続きがされていないため、データベースの上では「現役の地方競走馬(不出走状態)」のままキープされます。そして、最後の出走から1年4か月ほどが経過した頃に、NAR側から管理調教師へ生存や出走継続の確認連絡が入ります。そこで「もう出走させない」と判断されるか、あるいは連絡自体が取れない場合、毎年4月と10月の年2回行われる自動処理によって、ようやく「時効抹消」として一括で処理されるのです。

この仕組みのせいで、アニマルウェルフェア(動物福祉)の観点から馬の余生を支援したいと考える団体やファンが、データベース上で「時効抹消」された馬を見つけて「この馬は今どこで何をしているのだろう」と遡って調べようとしても、すでに1年以上前の段階でその馬の物理的な生存ルートは途絶えており、どこで命を終えたのかすら突き止めることが絶対に不可能になってしまうのです。この公式な追跡のしづらさ(トレーサビリティの欠如)こそが、ネット上で「引退馬はすべて闇に葬られている」といった過激な憶測や不気味な噂を生み出す直接的な原因になっています。

抹消手続きの区分 申請抹消(JRAで主流・NARでも推奨) 時効抹消(地方競馬の約3割を占める)
手続きの主体 馬主、または委託された管理調教師が申請書を提出 1年以上の不出走を契機に、NARが機械的に自動抹消
理由・進路の記載 乗馬、繁殖、地方転出などの明確な進路理由を付記する 理由は一切付記されず、一律で「時効」と処理される
手続きまでの期間 競馬場を退厩した直後、速やかに(数日から数週間以内) 最後の出走から少なくとも1年以上(平均1年数か月後)
情報追跡の可能性 退厩直後の足取りや申告された進路の確認が可能 空白期間が長く、すでに生存していないため追跡不能

動物愛護の国際基準と、これからの改善に向けた是正措置

近年、競馬というスポーツが国際的な動物福祉基準に適合し、社会的に持続可能なエンターテインメントであり続けるためには、こうした「不透明な引退手続き」を解消することが世界的な急務となっています。現在、JRAやNARが合同で設置している「引退競走馬に関する検討委員会」においても、この時効抹消の件数を極限まで縮小させることが重要課題として叫ばれています。

地方競馬全国協会(NAR)でも、引退した馬がどのような道を辿ったのかを正確に追跡するため、理由を明確に付記する「申請抹消」への移行を馬主たちに強く働きかけています(出典:愛知県馬主会『時効抹消対象馬について及び申請抹消の推進』)。

これまでは「ただ自動的に消えるのを待つだけ」だった地方競馬の慣習を打破し、短命で終わる馬たちのライフサイクルに少しでも透明性を持たせるため、義務化やデータベースの公開といったより一歩進んだ「生涯追跡システム(トレーサビリティ)」の構築が、これからの競馬界に最も求められている課題なのだな、と私は強く感じています。

ヴェルサイユなど牧場が取り組む新たな引退馬支援活動

これまでお話ししてきたように、競走馬の引退後を巡る状況は非常にシビアです。しかし、ただ「殺処分は残酷だ」「競馬を廃止すべきだ」と感情的に批判するだけでは、馬たちの未来は変わりません。大切なのは、どうすれば経済的に自立し、持続可能な形で一頭でも多くの馬を救えるのか、という現実的な解決策を見出すことです。

こうした中、今までの「寄付頼み」だった養老牧場のスタイルを壊し、新しいビジネスモデルで馬たちを支えるポジティブな民間イニシアチブが次々と誕生しています。 その代表的な成功例として、全国の競馬ファンだけでなく、一般メディアやSNSでも大きな注目を集めているのが、北海道日高町にある「Yogiboヴェルサイユリゾートファーム」の取り組みです。

代表の岩崎崇文氏は、支援者のボランティア精神や一方的な善意だけに依存する従来の養老牧場のあり方を180度転換させ、一般客を巻き込んだ「エンターテインメント型の自立ビジネスモデル」を確立しました。この牧場がなぜこれほどまでに成功し、多くの馬を救えているのか、その多角的な取り組みを整理してみましょう。

取り組みの柱 具体的な内容とメリット
大手企業とのコラボ ビーズソファ「Yogibo」が公式スポンサーとなり、名馬がソファで昼寝をする姿をSNS発信。競馬を知らない層へも認知を拡大。
宿泊・観光ビジネス 牧場内に高級宿泊コテージやカフェを併設。24時間、間近で愛馬を眺められる体験価値を創出し、高単価な宿泊費を維持費に充当。
ECサイトでの物販 「BASE」を活用し、馬をモチーフにしたアパレルや雑貨、お菓子を全国販売。売上の一部がダイレクトに飼養費に還元される仕組み。
ファン参加型CF 厩舎増設などの大型投資の際、強力なファンコミュニティを背景に数千万円規模のクラウドファンディングを成功させる。

SNSから始まった「アドマイヤジャパン×Yogibo」の奇跡

私自身、この牧場を一躍有名にしたきっかけが、元G1馬のアドマイヤジャパンがYogiboのソファを枕にして、うっとりと目を閉じて眠る動画だったことをよく覚えています。この平和で愛らしい映像は、TikTokやX(旧Twitter)で瞬く間に数百万回再生を記録しました。これにより、「引退馬=悲惨な末路」という暗いイメージが、「引退後もこんなに幸せそうに過ごせるんだ」という明るい希望へと上書きされたのです。

この圧倒的な発信力が、新たな支援者層や企業のスポンサーシップを呼び込む原動力となっています。 また、2025年10月からは、既存の3つの厩舎がすでに満室となったことを受け、新たな引退馬の受け入れ先となる「第4厩舎」の建設を目的とした大規模なクラウドファンディングが始動しています。開始からわずか数日で1,000万円を突破し、最終目標である5,000万〜7,000万円に向けて多くの支援が集まっている事実は、馬を愛する人々の情熱がどれほど強力な力になるかを証明していますね。

多様化する「馬を介したエコシステム」の形                     こうした成功事例はヴェルサイユだけではありません。他産業と連携したユニークな支援モデルも広がっています。

  • ジオファーム八幡平(岩手県):馬が毎日排出するボロ(馬糞)を良質な無農薬堆肥へと変え、それを利用して高級マッシュルームを栽培・ブランド化。馬の生命活動そのものをアグリビジネスへと昇華。
  • ホースプロジェクト3S(東京都):障害者就労支援と引退馬支援を融合。馬のおやつクッキーの製造を福祉作業所へ委託するなど、社会貢献の相乗効果を創出
  • 引退馬協会(千葉県など):20年以上の歴史を持つ認定NPO。一口の寄付で馬の親代わりになる「フォスターホース制度」により、行政や主催者に頼らない市民参加型のセーフティネットを構築。(出典:認定NPO法人 引退馬協会 公式サイト

これらの活動に共通しているのは、馬たちを「救うべき対象」としてだけでなく、観光、農業、福祉、アパレルといった「新しい価値を生み出すパートナー」として捉え直している点です。ただ寄付を募るだけでは、いつか支援者の熱も冷めてしまうかもしれません。

しかし、馬と触れ合う喜びや、馬が育てた美味しい野菜、馬のデザインが入った素敵なグッズという形で「価値の交換」が行われるエコシステムを主導することこそが、馬刺しへと直行する冷徹な市場サイクルに風穴を開ける、最も現実的な道標になるのかなと思います。 私たちがこうした団体や牧場の取り組みを知り、実際に訪れたりグッズを買ったりするアクションの一つひとつが、馬たちの明るい明日を支える確かな力になります。

もっと身近な支援の選び方を知りたい方は、こちらの引退馬支援おすすめの方法や初心者が知っておくべき現状の記事もぜひ参考にしてみてくださいね。一頭でも多くの馬が、ヴェルサイユの馬たちのように穏やかな昼寝を楽しめる未来を、みんなで一緒に作っていきましょう。

熊本をはじめとする馬刺し産地での品種別の肥育実態

引退競走馬のセカンドキャリアを考える上で、避けて通れないのが「馬肉食文化」との関わりです。日本には古くから大切に育まれてきた伝統的な馬肉食文化があり、産地ごとに異なる品種や肥育方法が確立されています。ここでは、私たちの食卓に並ぶ馬刺しがどのように生産されているのか、品種別の実態を詳しく見ていきましょう。

圧倒的なシェアを誇る「馬刺し王国」熊本の霜降り文化

日本国内で不動の馬肉生産量第1位を誇るのが熊本県です。全国の年間馬肉生産量の43%を超える約2,000トンがここで生産されています。熊本の馬刺し文化は、安土桃山時代に肥後藩主となった加藤清正が、朝鮮出兵の際に食糧難から馬肉を食し、その美味しさを広めたことがルーツとされています。 熊本の馬刺しの最大の特徴は、美しい「霜降り(サシ)」にあります。ここで主役となるのは、サラブレッドではなく「重種馬(じゅうしゅば)」と呼ばれる品種です。

ペルシュロンやブルトン、ベルジアンといったヨーロッパ原産の超大型馬で、出荷時には体重が800kgから1トン以上にまで達します。熊本の肥育農家では、これらの馬を牛舎の中で極力運動を制限して管理し、大麦やトウモロコシなどのエネルギー価が高い特製の配合穀物飼料を与えることで、肉全体に網の目のように細かく脂(サシ)を入れます。このとろけるような食感と濃厚な甘みは、まさに熊本ならではの技術の結晶といえますね。

重種馬生産の課題                                 重種馬は季節繁殖の性質が強く、牛や豚に比べて受胎率や生産率が低い傾向にあります。そのため、生産効率の改善や繁殖農家の経営安定が業界全体の大きな課題となっています。

福島・会津の「赤身文化」と力道山が遺した伝説

生産量全国第2位の福島県(会津地方:年間約859トン)では、熊本とは対照的に「軽種馬(サラブレッドなど)」を主役とした赤身肉の文化が根付いています。会津の馬刺しは、脂肪分がほとんどない鮮やかな赤身が特徴で、非常に柔らかく、さっぱりとした肉本来の旨みを味わえます。会津畜産などの現場では、北海道で生まれ育ったサラブレッドのうち、レース不向きと判断された馬や故障馬を引き取り、食用として大切に再肥育しています。

この地域特有の「辛子味噌を醤油に溶かして食べるスタイル」には、面白い由来があります。昭和30年(1955年)、プロレス興行で会津を訪れた伝説のレスラー・力道山が、市内の精肉店で吊るされていた生の馬肉を見つけ、持参した辛子味噌を付けてその場で食べたのが始まりだと言われています。これが評判となり、今では会津の食文化に欠かせないものとなりました。まさに、歴史的なヒーローが作ったトレンドが今も続いているわけですね。

軍馬の歴史を継承する福岡・筑後地方

また、福岡県の筑後地方(久留米市や大刀洗町周辺)も隠れた馬肉の名産地です。ここでもサラブレッドなどの中型馬(軽種馬)の肥育が盛んで、熊本よりも赤身志向が強いのが特徴です。そのルーツは明治以降、軍都として発展した久留米に多くの「軍馬」がいたことにあり、負傷して使えなくなった馬を無駄にせず食肉として転用した歴史的背景があります。現在も大刀洗町などには人口規模に対して驚くほど多くの馬肉専門店があり、低カロリー・高タンパクな日常食として地域住民に深く愛されています。

主な産地 主な品種区分 肉質・味わい 伝統の食べ方
熊本県 重種馬(ペルシュロン等) 濃厚な霜降り・脂の甘み 甘口醤油、生姜、にんにく
福島県(会津) 軽種馬(サラブレッド等) 柔らかな赤身・さっぱり感 醤油 + 特製辛子味噌
福岡県(筑後) 軽種馬・中型馬 純赤身・高タンパク 地元の専門店での生食等

知られざる「国産」表示のルールと国際流通

最後に見落とせないのが、馬肉の産地表示に関する法的なルールです。実は、スーパーで見かける「国産馬肉」の中には、カナダやオーストラリアで生まれ、引退後に日本へ生体輸送された馬も含まれています。食品表示法のルールでは、複数の場所で飼育された場合、「最も長く飼育された場所」を原産地として表示する(最長飼養地ルール)ことになっています。

例えば、カナダで3年間競走馬として過ごした後に日本へ輸入され、熊本の牧場で4年間肥育された馬は、法律上「国産(熊本産)」として流通させることが可能です。これは消費者の感覚と少しズレがあるかもしれませんが、日本の厳しい衛生基準のもとでしっかりと管理・肥育された証でもあります。こうした国際的なサプライチェーンの存在も、現代の競馬産業と食肉文化を支える一つの側面なのです。馬肉の需給や飼養状況に関する正確な統計は、公的機関の資料で詳しく公開されています(出典:農林水産省『馬をめぐる情勢』)。

産地ごとの美味しさを「ふるさと納税」などで応援する

熊本の重種馬、会津や筑後の軽種馬など、地域に根付いた馬肉文化は生産者の方々の努力によって支えられています。お取り寄せやふるさと納税を利用して、全国各地の異なる馬肉の魅力をぜひご自宅で体験してみてください。

競走馬が引退後に馬刺しとなる現実に向き合い支援する

これまで詳しく解説してきたように、「競走馬の引退後はどうなるのか、最後は馬刺しにされてしまうのか」という問題は、単なる好奇心で片付けられるものではありません。競馬というエンターテインメントの華やかさの裏側に確実に存在する、極めてナイーブで重い現実です。

この問題は、個人の感情や一部の動物愛護運動だけで解決できるほど単純ではなく、長い年月をかけて形成された産業構造や、日本独自の歴史的・文化的背景が複雑に絡み合っています。 私たちがこのテーマを深掘りしていくと、主に以下の4つの多角的な視点が、それぞれの正当性と葛藤を持って対立し合っていることが分かります。どれか一つが正しいというわけではなく、この複雑なグラデーションこそが、現在の競馬界が抱える最大の課題とも言えるでしょう。

視点の種類 具体的な考え方と主張の背景
動物倫理・アニマルウェルフェアの視点 「人間のギャンブルや欲求のために人工交配で誕生させ、能力不足や怪我といった人間の都合だけで、本来の寿命の4分の1にも満たない3~5歳で命を奪うのは非人道的な搾取である」という批判的かつ道徳的な立場です。
食文化・地域経済保護の視点 「牛や豚、鶏と同じように、命を消費することで私たちは生きている。馬肉だけを区別するのは論理的一貫性に欠ける。古くから根付く地域の伝統食文化や、地方財政・雇用を支える競馬産業自体を守るべきだ」という現実的な立場です。
生存の質(QOL)の視点 「ただ生かすことが馬の幸せか。高齢で重い病気に喘ぎ、管理の行き届かない劣悪な環境で放置されるよりは、苦痛の少ない適切なタイミングで安楽死や屠殺を行う方が、動物福祉(ウェルフェア)の本質に近いのではないか」という生存の質を重視する立場です。
物理的・経済的リソースの視点 「馬1頭の飼育には年間100万〜200万円の資金と広大な土地、熟練の人手が必要。毎年生まれる約7,000頭の全てを、一切の利益なしに30歳まで養うのは物理的に不可能であり、綺麗事ではシステムが破綻する」という制限を前提とした立場です。

競馬界のターニングポイントと進化する支援体制

過去の競馬史を振り返ると、かつては重賞勝ち馬でさえ引退後に行方不明になり、ひっそりと屠殺されていた時代もありました。特に1973年の「ハマノパレード事件」は、故障した名馬が翌日に食肉として流通したという噂が広まり、当時の競馬ファンに多大な衝撃を与えました。

これを受けてJRAは「競走中に重度の故障を発症した馬の屠殺を原則禁止する」などの改善に動き、現在のルールへと繋がっています。こうした歴史の積み重ねを経て、近年の競馬サークル(JRA、NAR、馬主、生産者団体)は、アニマルウェルフェアの国際的な基準に適合するよう、より組織的な支援へと歩みを進めています。 特に大きな進展があったのは2024年です。JRA、地方競馬、馬主会、調教師会などが一丸となり、一般財団法人「Thoroughbred Aftercare and Welfare(TAW)」を設立しました。

この団体がハブとなり、引退直後の馬がリトレーニングへと移行するまでの「一時預託施設」の運営や、3年以上継続して活動している優良な養老・余生支援団体への「活動奨励金(助成金)」の交付が本格的にスタートしています。また、JRA馬事公苑が3年の歳月をかけて体系化した「再調教マニュアル」が関係者に無償公開されるなど、属人的だったスキルを標準化し、より多くの馬が安全に乗馬へと転向できる環境が整いつつあります。(出典:日本中央競馬会「引退競走馬への取組み」

私たちが今、一人のファンとしてできること

私たち競馬を愛するファンにできること。それは、きらびやかな競馬場のロマンや馬券の楽しさの裏側にあるこの厳しい現実から目を背けずに、まずは「ありのままの事実」を正しく把握することです。SNSでの根拠のない噂に一喜一憂するのではなく、馬たちの命のサイクルがどうなっているのか、その課題は何なのかを知るだけでも、業界を動かす大きな力になります。 その上で、自分のできる範囲から小さなアクションを起こしてみるのが良いかなと思います。

例えば、最近ではスマホ一つで参加できる「ナイスネイチャ・バースデードネーション」のようなクラウドファンディングが数千万円から1億円規模の支援を集めるなど、個人の想いが束になって大きなセーフティネットを作る事例も増えています。具体的な支援方法の選び方や、初心者が知っておくべき里親制度・寄付のリアルな現状については、こちらの引退馬支援おすすめの方法や初心者が知っておくべき現状の記事で、私の体験も踏まえて分かりやすく解説していますので、ぜひ読んでみてください。

支援の継続性を大切にしましょう                          引退馬の余生は20年以上続く長丁場です。一時的な同情心で無理な寄付をするよりも、ファンとして競馬を楽しみ続けながら、無理のない範囲で長く関心を持ち続けることが、結果として馬たちの「変わらない明日」を支える最も強力なサポートになります。まずは「知ること」から始めてみましょう。

馬たちのセカンドキャリアを応援・体験しよう

「馬のために何かしたい!」と思ったら、引退馬支援を目的としたクラウドファンディング型のふるさと納税や、実際に乗馬クラブへ足を運んで馬たちとふれあう体験をしてみるのも素晴らしい支援の形です。

(馬とふれあうことで、彼らがどれほど優しく魅力的な生き物か直接感じることができますよ)

なお、馬肉の屠殺や食品としての衛生基準、流通ルールは厚生労働省や農林水産省などの公的機関によって極めて厳格に監督・管理されており、食の安全は担保されています。また、寄付制度や支援団体の詳しい利用規約については、必ずそれぞれの団体の公式サイトから最新の正確な情報を取得するようにしてください。最終的な判断や具体的なアクションプランについては、専門家や信頼できる公認の支援団体へ直接ご相談されることを強くおすすめします。一人ひとりの優しい関心が集まることで、馬と人が共生する新しい未来の扉が、少しずつ開いていくはずですよ。

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