こんにちは、YUKINOSUKEです。G1シーズンともなると、東京競馬場の熱気は本当にすごいものがありますよね。大観衆の歓声を聞いていると、「これだけ多くの人を集めて、これだけ人気があるなら、運営しているJRA(日本中央競馬会)の株価ってどうなってるんだろう?」って、ふと気になったことありませんか?
もしJRAが上場してるなら、株を買ってみたい。もしかしたら、株主優待で競馬場の入場パスや指定席の割引券がもらえたりするんじゃ…なんて、競馬ファンなら一度は想像しちゃいますよね。
でも、いざ「東京競馬場 株価」と検索してみると、期待していたJRAの株価情報は出てきません。それどころか、検索結果には「東京都競馬(9672)」という、名前はとても似ているけれど、どうやらJRAとは違う会社ばかりがヒットします。これって、私たちが知りたい「東京競馬場」の株のことなんでしょうか? それとも、全くの別物…?
さらに、最近の競馬ブームを考えると、関心はそれだけにとどまりませんよね。あの大ヒットゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」が親会社のサイバーエージェントの業績にどれだけ影響を与えたのか、その株価の動きも気になります。あるいは、ディープインパクトを所有した金子真人オーナーや、「サトノ」の冠名で知られる里見治オーナーといった競馬界の「有名馬主が経営する上場企業」の株を持つことは、ある種のお守りになるんじゃないか…なんて考えたりもします。
この記事では、そんな「東京競馬場の株」に関するあらゆる疑問をスッキリ解決していきます。JRAが上場していないという結論から、では私たちが本当に投資対象として注目すべき「競馬関連銘柄」とは何なのか、その見極め方まで、一緒に見ていきましょう。
- 「東京競馬場の株価」が存在しない理由
- JRAと東京都競馬(9672)の決定的な違い
- 競馬ファン注目の有名馬主と関連上場企業
- 公営ギャンブルを支えるその他の関連銘柄
「東京競馬場 株価」の検索結果
まず、みんなが一番知りたい「東京競馬場 株価」の答えから。結論から言うと、ちょっと残念なお知らせになってしまうかも知れません。
JRAは上場していない?
- YUKINOSUKE
そうなんです。いきなり結論から申し上げてしまいますが、「東京競馬場の株価」というものは存在しません。もちろん、中山や京都、阪神といった他のJRA競馬場の株価も存在しないんです。
「え、あんなに毎週すごい売上があって、G1の日には何万人も集客する巨大な組織なのに?」と思いますよね。私も最初はそう思いました。これだけの規模のビジネスなら、当然のように株式市場に上場している株式会社だと考えるのが自然です。
しかし、東京競馬場(府中)を運営している「JRA(日本中央競馬会)」は、私たちがよく知る「株式会社」とは根本的に組織の形態が異なります。
JRAは、実は「日本中央競馬会法」(出典:e-Gov 法令検索『日本中央競馬会法』)という法律に基づいて設立された「特殊法人」という位置づけなんです 。
株式会社と特殊法人(JRA)の決定的な違い
- 株式会社(例:トヨタ、ソニーなど)
目的:株主のために利益(儲け)を追求すること。
利益の使い道:株主への配当や、さらなる成長のための投資。
- 特殊法人(JRA)
目的:法律で定められた公的な役割を果たすこと 。
利益の使い道:法律で定められた納付金(売上の一部)を国に納めること(国庫納付)や、畜産の振興 、社会福祉など。
このように、JRAの設立目的は、一般的な会社のように「株主のために利益を出すこと」ではなありません。あくまで、「競馬の公正かつ円滑な施行」や「馬の改良増殖、畜産の振興」、そして「国庫への納付」といった、法律で定められた公的な役割を担うことにあるんですね 。
JRAは農林水産大臣の監督下にあり 、その利益は株主に配当されるのではなく、法律に基づいて畜産振興や社会福祉事業に使われたり、国庫に納付されたりすることが厳格に決まっています。
そのため、JRAはそもそも「株式」を発行して市場から広く資金を集めるという形をとっていないんです。
したがって、私たち個人投資家がJRAの株主になることはできません。導入で夢見た「JRAの株主優待で指定席ゲット!」というのも、残念ながら実現不可能な話なんですね。今後もその公的な性格が変わらない限り、JRAが上場する可能性は極めて低いと言えるかなと思います。
JRAの運営母体と法的地位
- YUKINOSUKE
前のセクションで、JRAは「特殊法人」だとお伝えしましたね。もう少し詳しく見ると、JRAは「日本中央競馬会法」 や、その上位法である「競馬法」 といった法律によって、その業務範囲 から会計 、競馬の施行に関する規約 に至るまで、本当に厳格に運営が定められています。
そして、常に農林水産大臣の監督下に置かれています 。なぜこんなにガチガチに法律で固められているのかというと、やはり競馬が「ギャンブル」という側面を持つからです。もし純粋な民間企業が利益だけを追求して運営したら、公正さが保てなくなったり、過度に射幸心を煽ったりする懸念が出てきますよね。
だからこそ、国が監督する「特殊法人」という形をとり、その利益を畜産振興や国庫納付 という形で社会に還元することを義務付けることで、公営競技としての「公正さ」と「公益性」を担保しているわけです。
この「公的セクター(国や地方自治体)が主催者になる」という構造は、日本の公営競技(競馬、競輪、競艇、オートレース)のすべてに共通する、非常に重要な特徴です。利益は株主のためではなく、あくまで社会全体のために使われる、というのが日本の公営競技の基本スタンスなんですね。
日本とアメリカの「競馬ビジネス」の違い
この「公営」という仕組みが、海外の投資家や、海外の競馬事情を知っている人を混乱させる原因かもしれません。
例えばアメリカでは、世界的に有名なG1レース「ケンタッキーダービー」を主催している「チャーチルダウンズ社」は、NASDAQ(ナスダック)市場に上場している民間の株式会社です。彼らの目的は、株主のために利益を上げること。だから、アメリカの投資家は普通に「競馬場の株」を買うことができます。
しかし、日本ではこのモデルが全く当てはまらない、ということです。「競馬場=上場企業」というイメージは、日本では通用しないんですね。
では、私たち投資家にとって、これは何を意味するのでしょうか。
それは、「JRA(主催者)そのものに投資する道は、完全に閉ざされている」という事実です。
しかし、JRAという巨大な組織が動けば、当然そこには莫大なお金が流れます。そのお金は、JRAの「周辺」にいる多くの民間企業にも流れていきます。
投資家としては、その「周辺」にこそ目を向ける必要があります。具体的には、この後のセクションで詳しく解説しますが、大きく分けて3つの投資テーマが見えてきますね。
- 1. 「競馬場の大家さん」ビジネス(不動産・賃貸)
- 2. 「競馬を支えるインフラ」ビジネス(システム開発、DX、警備など)
- 3. 「競馬カルチャー」ビジネス(IP、エンタメ、有名馬主など)
「東京競馬場 株価」の答えは「存在しない」ですが、その検索の先には、こうした多様な「競馬関連銘柄」への入り口が待っているんです。
検索の勘違い?東京都競馬とは
- YUKINOSUKE
「JRAが上場してないのは分かったけど、じゃあ私が検索して出てきた『東京都競馬』って、いったい何なの?」…当然、その疑問が出てきますよね。
「東京競馬場 株価」と検索すると、ほぼ100%、検索結果の一番上に「東京都競馬(9672)」という銘柄がヒットします 。これこそが、多くの人が「東京競馬場の株」と勘違いしてしまう最大の原因であり、この検索キーワードの「答え」とも言える企業です。
名前が本当に似ています。「東京」と「競馬」という、まさに私たちが知りたい単語が両方入っていますからね。ですが、先に結論をハッキリさせておきます。JRAとこの「東京都競馬」は、「運営する競馬」も「メインの競馬場」も「組織のあり方」も、全くの別物です。
この「東京都競馬株式会社」(証券コード9672)は、東証プライム市場に上場しているれっきとした「株式会社」です 。つまり、私たち個人投資家が証券会社を通じて自由に株を売買できる、まさに「株価」が存在する会社なんですね。
では、JRA(東京競馬場)と何が、どう違うのか。投資判断の前提として、この2つを二度と混同しないよう、ここでハッキリと区別してしまいましょう。
【最重要】JRA(東京競馬場)と東京都競馬(9672)は全くの別物!
この2つを混同していると、投資判断を根本的に間違えてしまいます。場所も違えば、運営しているレースのカテゴリーも異なります。
| 項目 | JRA(日本中央競馬会) | 東京都競馬(9672) |
|---|---|---|
| 通称 | JRA | 都競馬(とけいば) |
| 関連する競馬 | 中央競馬(G1など全国区のレース) | 地方競馬(TCK 東京シティ競馬など) |
| 主な関連競馬場 | 東京競馬場(東京都府中市)、中山競馬場、京都競馬場、阪神競馬場など | 大井競馬場(東京都品川区) |
| 組織形態 | 特殊法人(国の監督下にある公的組織) | 株式会社(民間の営利企業) |
| 上場/非上場 | 非上場(株は買えない) | 東証プライム上場(株が買える) |
| 主な事業 | 競馬の「主催者」(レースの施行、馬券の販売) | 競馬場(大井)の「大家」(施設賃貸)、ネット投票「SPAT4」運営 |
※「東京都競馬」はその他に伊勢崎オートレース場 や東京サマーランド の運営、倉庫賃貸事業 も行っています。
もうお分かりですね。「東京競馬場 株価」で検索して出てきた銘柄(9672)は、私たちがイメージするJRAの東京競馬場(府中)のことではなく、「地方競馬の大井競馬場(品川区)の大家さん」である「東京都競馬(9672)」という上場会社のことだったんです。
検索エンジンが「東京」「競馬」「株価」という3つのキーワードを拾って、「株価が存在する、東京(都)の競馬(関連)会社」として「東京都競馬(9672)」を提示するのは、ある意味で非常に賢明な動きなんですが、これが私たちユーザーの混同を生んでいたわけですね。
これで「東京競馬場 株価」の検索結果の謎は解けました。では、次のステップとして、この「東京都競馬(9672)」が、投資対象として一体どんな会社なのかを詳しく見ていく必要がありますね。
東京都競馬(9672)の事業
- YUKINOSUKE
さて、「東京競馬場 株価」の検索でヒットする「東京都競馬(9672)」が、JRAとは全くの別物(大井競馬場の関連会社)だということが分かりました 。
では、投資対象として、この会社は一体何をして稼いでいるのでしょうか。私も気になって詳しく調べてみたんですが、これがまた非常に堅実で、面白いビジネスモデルを持っているんです。
一番の主力はもちろん「公営競技事業」なんですが、ここでの最大のポイントは、JRAや地方自治体のように自らレースを「主催」しているわけではないという点です。
同社のビジネスモデルの核心は、ズバリ「大家業(不動産賃貸)」にあります。
これは賢いやり方だなと思います。具体的には、彼らが所有する「大井競馬場」や「伊勢崎オートレース場」の施設を、レースの主催者である地方自治体(特別区競馬組合など)に丸ごと「賃貸」しているわけです 。
つまり、レースの勝ち負けや、その日の売上変動(もちろん一部連動する収益もありますが)に関わらず、安定した賃料収入がチャリンチャリンと入ってくる仕組みです。これはもう、ギャンブル関連銘柄というより、優良な「不動産賃貸銘柄」に近い安定感がありますよね。
さらに、事業はそれだけにとどまらず、非常にうまく多角化されています。主に以下の4つのセグメントで構成されています 。
1. 公営競技事業 (売上の柱)
これが売上全体の約7割を占める最大の柱です 。内容は、上で説明した大井競馬場・伊勢崎オートレース場の「施設賃貸」がまず一つ。
そして、もう一つ非常に重要なのが、地方競馬のインターネット投票システム「SPAT4」の運営に関わる手数料収入(歩合収入)です 。これは固定の賃料とは別に、ネット投票の売上が増えれば増えるほど、同社の収益も増えていく「成長エンジン」の部分です。このSPAT4については、次のセクションでもっと詳しく掘り下げますね。
2. 倉庫賃貸事業 (利益の柱)
これ、私が個人的に「うまい!」と思った事業です。大井競馬場って、ご存知の通り東京湾岸の、物流の一等地みたいな場所にありますよね。同社はその広大な敷地の一部(遊休地)を活用して、倉庫の賃貸事業を行っているんです 。
これが、とんでもない「お宝事業」になっています。売上全体に占める割合は14%ほどなんですが、利益率がなんと60%を超えるという、驚異的な高収益を叩き出しています 。自社保有の土地ですから原価が低く、賃料の多くがそのまま利益になるわけです。この倉庫事業が、会社全体の利益を強固に支える「安定収益源」になっているんですね。
3. 遊園地事業 (レジャー部門)
こちらは私たちにもおなじみ、「東京サマーランド」の運営です 。売上の約9%を占めています 。
夏場の集客がメインの季節性はありますが、公営競技とは全く客層が異なる安定したレジャー需要を取り込めるため、事業ポートフォリオの分散として非常にうまく機能しています。これにより、同社は「レジャー・リゾート関連銘柄」としての一面も持っています。
4. サービス事業 (その他)
これは売上の約6%で、その他関連サービスなどを含みます 。
この事業構成を分かりやすく一覧にしてみましょう。2024年12月期のデータ を基に私がまとめたのが、この表です。
| 事業セグメント | 売上構成比 | 利益率 | 概要 |
|---|---|---|---|
| 公営競技 | 71% | 39% | 大井競馬場・伊勢崎オートレース場の賃貸。SPAT4手数料など。 |
| 倉庫賃貸 | 14% | 60% | 競馬場周辺の土地(一等地)を活用した倉庫賃貸。 |
| 遊園地 | 9% | 14% | 東京サマーランドの運営。 |
| サービス | 6% | 10% | その他関連サービス |
※出典: のデータを基に作成
この表を見ると、同社の強みが一目瞭然ですね。
東京都競馬(9672)の「二刀流」戦略
- 売上のエンジン(トップライン)
売上全体の7割を占める「公営競技事業」が、会社全体の売上を牽引しています 。 - 利益のエンジン(ボトムライン)
利益率60%という驚異的な数値を誇る「倉庫賃貸事業」が、会社全体の利益を強固に支えています 。
「公営競技」という成長ドライバーを持ちつつ、「倉庫賃貸」という超・高収益な安定基盤も持っている。大井競馬場周辺の「優良な不動産」という強力なアセットを最大限に活用した、非常に堅実で、かつ成長性も期待できるビジネスモデルだなと、私は感じました。
SPAT4とネット投票の成長
- YUKINOSUKE
前のセクションで、東京都競馬(9672)の「公営競技事業」が売上の柱だとお伝えしました。そして、その事業の中身は「施設賃貸(大家業)」と「SPAT4運営(手数料ビジネス)」の2つあると 。
もし同社の収益が「施設賃貸」だけだったら、良くも悪くも「安定した不動産会社」という評価で終わってしまったかもしれません。
しかし、東京都競馬(9672)の投資妙味を語る上で絶対に外せない、まさに「成長エンジン」の役割を果たしているのが、「SPAT4(スパットフォー)」の存在です 。
SPAT4は、ご存知の方も多いと思いますが、大井競馬(TCK)をはじめとする南関東4競馬場や、全国の地方競馬の馬券をインターネットで購入できる、公式の投票システムのことです 。
SPAT4が「儲かる」仕組み:歩合収入モデル
同社はこのSPAT4の運営に関わっていて、収益モデルが非常に秀逸です。大井競馬場の「固定賃料」という安定収入に加えて、SPAT4を通じたネット投票の売上(取扱高)に応じて「手数料収入(歩合収入)」を得る契約を結んでいます 。
これが何を意味するか?
つまり、SPAT4で馬券が売れれば売れるほど、東京都競馬(9672)の利益も自動的に増えていく、という「成長性」を内包したビジネスモデルになっているんです。
「ネット投票化」という強力なマクロトレンド
そして今、この「ネット投票」がすさまじい勢いで伸びています。
JRA(中央競馬)の「即PAT」の売上が毎年伸び続けていることからも分かるように、競馬人気そのものの高まりに加えて、コロナ禍を経て「競馬場やウインズに行かなくても、スマホ一つで馬券を買う」というスタイルが完全に定着しました。
この強力なマクロトレンドに、地方競馬のネット投票システムであるSPAT4も完全に乗っています。大井競馬(TCK)がナイター競馬「トゥインクルレース」などで独自のファン層を掴んでいることもあり、SPAT4の利用者は増え続けています。
実際、東京都競馬(9672)の決算短信を見ると、好調な業績の理由として、必ずと言っていいほど「SPAT4の売上増加が寄与」という文言が登場します 。直近の四半期決算でも、2Q累計の売上高・経常利益ともに過去最高を更新 するなど、業績は絶好調。まさにこのSPAT4が、同社のトップライン(売上高)を牽引する最大の成長ドライバーになっていることが分かります。
「安定」と「成長」の二刀流
ここで、前のセクションの内容と合わせて考えると、東京都競馬(9672)の強みが非常によく分かります。
- 「守り」の安定収益
大井競馬場の「施設賃貸」と、利益率60%を誇る「倉庫賃貸事業」。これらが強固な収益基盤(ボトムライン)を支えています。 - 「攻め」の成長収益
「SPAT4」の手数料収入(歩合収入)。ネット投票化というマクロトレンドに乗り、売上(トップライン)を力強く伸ばしています。
つまり、東京都競馬(9672)への投資は、「東京臨海部の優良不動産ビジネス」という安定した基盤と、「地方競馬のDX(ネット化)」という成長ビジネスの両方に、同時に投資することを意味するんですね。
JRA(中央競馬)のネット投票が絶好調なことからも、この「競馬のネット投票化」というトレンドは本物です。JRAの株が買えない私たち競馬ファン投資家にとって、このトレンドの恩恵を最も直接的に享受できる、最有力な「JRAの代替(オルタナティブ)銘柄」が、この東京都競馬(9672)であると私は評価しています。
東京競馬場 株価と競馬関連銘柄
「JRAの株は買えないのか…」とガッカリするのはまだ早いかも。JRAに直接は無理でも、「競馬」というテーマで投資できる会社は他にもあります。特に有名な馬主さんたちの会社は気になりますよね。
有名馬主の上場企業3選
JRAの株が買えないとなると、次に競馬ファンが投資対象として考えるのは、やはり「人」ですよね。特に、競馬界のスターとも言える「有名馬主」さんたち。
G1の表彰式や、セレクトセールの中継で、あの大物馬主さんの姿を見て「いったい本業は何をしている人なんだろう?」「どれだけ成功したら、あんな良血馬を何億も出して買えるんだ…」なんて、想像が膨らんだこと、一度はありませんか?
私も、パドックでじっと馬を見つめるオーナーの姿や、セリで迷いなく手を挙げる姿を見ると、その人の「馬主としての哲学」や「勝負勘」にすごく興味が湧いてきます。そして、そういう「運」や「先見の明」、そして「大胆な決断力」って、きっと本業の企業経営にも通じているんじゃないかな、なんて思っちゃうんです。
そんな競馬ファンのロマンとして、「このオーナーを応援したい!」「この人の勝負勘に乗りたい!」という気持ちで、その人が経営する上場企業の株に投資する、というのも一つの楽しみ方かもしれません。
ここでは、特に有名で、かつご自身が上場企業の創業者や経営トップでもある3名の「スター馬主」と、その関連企業について詳しく掘り下げてみます。この3名だけでも、本業のビジネスモデルが驚くほど全然違うのが、また面白いんですよ。
投資テーマは三者三様!注目の3タイプ
今回ご紹介する3名は、競馬との関わり方や本業の分野がまったく異なります。
- 1. 「競馬IP」が業績直結型:
社長自身が超有名な馬主であると同時に、なんと本業のゲーム事業が「競馬」そのもの(ウマ娘) という、これ以上ないほどテーマ性が強いパターン。 - 2. 「本業は超・堅実」型:
「ディープインパクト」のオーナー として競馬界のレジェンドでありながら、本業は競馬とは全く無関係な「世界トップクラスのBtoB技術系企業」 という、そのギャップが魅力的なパターン。 - 3. 「広義のゲーミング」型:
「サトノ」の冠名で知られる大馬主であり、本業も競馬(公営競技)だけでなく、パチンコやゲーム、IR(カジノ) など、より広い「ゲーミング・エンタメ」分野のトップというパターン。
誰のことを指しているか、ピンと来た方も多いかもしれませんね。さっそく、一人ずつ見ていきましょう。
【投資の注意点】
もちろんですが、「馬主さんのファンだから」「競馬で勝ってるから」という理由だけで株を買うのは「応援消費」や「テーマ投資」の一種です。馬主としての成功と、上場企業の業績・株価は、必ずしも連動するわけではありません。
実際の投資判断は、その企業の業績や将来性といった「ファンダメンタルズ」をしっかり分析することが大前提です。その点は、くれぐれもご注意くださいね!
藤田晋氏とサイバーエージェント
- YUKINOSUKE
さて、有名馬主3選のトップバッターは、この方を置いて他にはいないでしょう。近年、競馬界で最も注目を集めているオーナーブリーダーの一人、藤田晋(ふじたすすむ)氏です。
もはや「ウマ娘の社長さん」として競馬ファン以外にも超有名ですが、リアル競馬の馬主としても、その存在感は圧倒的ですよね。
馬主・藤田晋氏の横顔
藤田氏の馬主としてのスタイルは、とにかく鮮烈です。セレクトセールでは、億超えの良血馬を次々と落札。その決断の速さと金額の大きさは、毎年のように競馬ニュースのヘッドラインを飾っています。
そして、重要なのは「ただ高い馬を買っている」だけではない点です。その所有馬が、実際にG1級競走を含む多くの重賞を制覇 し、クラシック戦線やG1戦線を常に賑わせている「本物の勝ち組オーナー」であるということ。
主な所有馬(一部)
- ジャングロ(ニュージーランドT G2)
- エリキング(JBC2歳優駿 Jpn3 など)
- ボンドガール(サウジアラビアRC G3)
- (その他、ソンシ や多くの活躍馬を所有)
これだけの良血馬を揃え、実際に結果を出し続けているのを見ると、その相馬眼や「運」の強さ、そして何より「勝負勘」は本物だなと、競馬ファンとしてただただ感嘆してしまいます。あのセリの場で迷いなく手を挙げる姿に、経営者としての姿を重ねて見るファンも多いんじゃないでしょうか。
経営者・藤田晋氏と(株)サイバーエージェント
そして、その藤田氏の本業が、言わずと知れた東証プライム上場企業「株式会社サイバーエージェント(証券コード:4751)」です。藤田氏自身が、この巨大IT企業グループの創業者であり、代表取締役社長を務めています。
サイバーエージェント(4751)の事業は、非常に多角的です。
- メディア&IP事業:「ABEMA(アベマ)」やブログサービス「Ameba(アメーバ)」などを運営。
- インターネット広告事業:創業時からの主力事業で、国内トップクラスのシェア。
- ゲーム事業:多くの子会社(Cygamesなど)を通じて、数々のヒットタイトルを生み出している。
このように、メディア、広告、ゲームという3つの強力な柱を持つ、日本を代表する総合IT企業グループです。
…さて。「社長が超有名な馬主」というだけでも、競馬ファンにとっては十分すぎるほどの「競馬関連銘柄」ですよね。
ですが、この会社の「競馬との関連性」は、そんなレベルの話ではありません。投資家としてサイバーエージェント(4751)と「競馬」の関連性を語る上で、最大の、そして最強のインパクトを持っているのが、まさにこの「ゲーム事業」なんです。
もう、お分かりですよね。次のセクションで、その核心に迫ります。
ウマ娘が株価に与える影響
サイバーエージェント(4751)と競馬の関連性を語る上で、藤田社長が馬主であることは、ある意味「序章」に過ぎません。
投資家として注目すべき最大の、そして最強の関連性は、言わずと知れたあの大ヒットゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」の存在です!
このゲームを開発・運営しているのは、サイバーエージェントグループの中核である子会社のCygames(サイゲームス)。「ウマ娘」は、もはや単なるゲームのヒットを超えた「社会現象」となり、リリース直後から爆発的な人気を獲得。サイバーエージェントのゲーム事業において「過去最高の売上高」をぶっちぎりで達成するという、とんでもない記録を打ち立てました 。
その勢いは一過性のものではなく、最近では劇場版アニメも大成功を収める など、IP(知的財産)として多角的に成長を続けています。直近の決算でも、ゲーム事業の好調が会社全体の増収増益に大きく貢献していることが報告されており 、まさに「ウマ娘」がサイバーエージェント(4751)の業績を力強く牽引する最大のエンジンの一つとなっていることは間違いありません。
これ以上ない「競馬テーマ銘柄」である理由
この藤田氏のケースが、他の有名馬主企業と一線を画す、極めてユニークな点です。
- 【リアル競馬】:会社のトップ(藤田社長)が、G1戦線を賑わす「リアル競馬」の超・有名馬主である 。
- 【バーチャル競馬】:会社の主力事業(Cygames)が、「バーチャル競馬(ウマ娘)」という最強のIPビジネスで莫大な利益を上げている 。
リアルとバーチャルの両方で、しかもこれ以上ないほどのトップレベルで「競馬」に関わり、成功を収めている。これがサイバーエージェント(4751)を、単なる「有名馬主の会社」というテーマ性を超えた、「競馬IPビジネス」の成功が直接株価に反映される銘柄たらしめている最大の理由ですね。
投資家が直視すべき「IP依存」のリスク
ただし、投資家としては、この「ウマ娘」という単一の強力なIPに業績が支えられているという構造は、当然ながら大きなリスクもはらんでいると理解しておく必要があります。
注意点:株価を揺るがした訴訟リスク
このリスクが顕在化したのが、過去に報じられた他社(コナミデジタルエンタテインメント)との特許権侵害に関する訴訟です。
この訴訟が明らかになった際、サイバーエージェントの株価は大きく下落。報道前の1172円から、一時965円まで、約18%も急落する場面がありました 。
もちろん、会社側は特許権侵害の事実を否定しており 、その後の株価は裁判の影響を織り込む形で回復しましたが 、これは「ウマ娘」というIPに何かネガティブな事象が発生した場合、いかに株価が敏感に反応するかを如実に示す出来事でした。
「ウマ娘」がヒットし続ける限りは業績も株価も安泰かもしれませんが、もし人気に陰りが出たり、こうした法務リスクが再燃したりした場合は、その逆もまた然り。この「IP依存」というハイリスク・ハイリターンな構造は、投資する上で絶対に理解しておくべき最重要ポイントだと私は思います。
金子真人氏と図研(6947)
- YUKINOSUKE
続いてご紹介するのは、競馬ファンであればその名を知らない者はいない、まさに「レジェンド」と呼ぶにふさわしい大馬主、金子真人(かねこまこと)氏です。
藤田晋氏が「新進気鋭のスターオーナー」だとしたら、金子真人氏は「競馬の歴史そのものを作ってきた偉大な大馬主」と言えるかもしれません。
馬主・金子真人氏の横顔
金子真人氏(名義は「金子真人ホールディングス(株)」)の功績は、競馬ファンなら誰もが知るところですよね。
その所有馬として真っ先に思い浮かぶのは、やはり日本競馬の至宝、「ディープインパクト」でしょう 。無敗の三冠達成という圧倒的な強さだけでなく、種牡馬としても大成功を収め、その血統は日本の競馬界を文字通り席巻しました。
しかし、金子氏の凄さはそれだけではありません。ダートの絶対王者「カネヒキリ」、天皇賞(秋)などを制した「ラブリーデイ」、さらには史上初の白毛G1馬「ソダシ」の母である「ブチコ」のオーナー(※ソダシ自体は金子氏の所有馬ではありませんが、その血統の源流を作った)としても知られています。
所有馬の活躍分野は芝、ダート、距離を問わず全方位。その通算獲得賞金は、JRA(中央競馬)だけで238億円を超える(2024年現在) という、まさに「神」クラスの馬主さんです。これだけの成功を収めている方の「本業」は、一体何なのでしょうか。
経営者・金子真人氏と(株)図研(6947)
金子真人氏は、東証プライム市場に上場する「株式会社図研(ずけん)(証券コード:6947)」の、代表取締役会長を務められています 。
この図研という会社、実は金子氏が早稲田大学を卒業後、1976年に「株式会社図形処理技術研究所」として自ら設立した会社なんです 。馬主としてのキャリアだけでなく、経営者・創業者としても超一流の方なんですね。
…が、ここで投資家としては、藤田氏のケースとは全く異なる点に注意が必要です。
「ディープインパクトのオーナーの会社なら、きっと競馬関連に違いない!」と早合点してしまうと、投資判断を180度間違えることになります。
図研(6947)の事業は「競馬」と全くの無関係!
サイバーエージェント(4751)が華やかなBtoCの「エンタメ・IPビジネス」だとすれば、図研(6947)はその対極とも言える、超・堅実なBtoBの「技術系インフラビジネス」です。
図研の事業内容は、エレクトロニクス製品…つまりスマートフォン、自動車、医療機器、果ては航空宇宙や人工衛星 といった、あらゆるハイテク製品の「頭脳」や「神経回路」にあたる「プリント基板」を設計するための、専門的なCADソフトウェア(EDA:エレクトロニクス設計自動化)の開発・販売です 。
この「プリント基板設計CAD」という超専門的な分野で、図研はどれくらいのポジションにいると思いますか?
なんと、国内シェアNo.1、世界シェアでもNo.2という、「グローバル・ニッチトップ」企業なんです 。
私たちの生活に欠かせないスマホも、安全運転を支える自動車の電子制御も、最先端のAIやIoT機器も 、図研の「設計ソフト」がなければ作れないかもしれない…。それくらい、現代の「モノづくり」の根幹を支えている、超・優良な技術系企業なんですね。
投資テーマとしての結論:競馬ではなく「製造業DX」銘柄
もうお分かりですね。
図研(6947)は、「競馬テーマ株」では一切ありません。金子氏がどれだけG1を勝っても、図研の業績や株価に直接の影響は(ほぼ)皆無です。
この銘柄の投資テーマは、あくまでその事業内容、すなわち…
- 全世界的な「半導体・エレクトロニクス需要」の拡大
- AI、IoT、5G、自動運転といった「最先端技術の基盤」
- 「日本の製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)」
…といった、非常に堅実で、長期的なマクロトレンドに基づいて評価されるべき銘柄です。
馬主としての「ディープインパクト」という華やかなイメージと、本業の「プリント基板設計」という超・堅実なイメージ。このギャップこそが、金子真人氏という人物の奥深さを示しているのかもしれませんね。
里見治氏とセガサミー
- YUKINOSUKE
有名馬主3選、最後にご紹介するのは「サトノ」の冠名でおなじみの、里見治(さとみはじめ)氏です 。
競馬ファンなら、あの「サトノ」の勝負服(緑、黄、白のダイヤモンド柄)は本当におなじみですよね。何と言っても、G1「有馬記念」や「菊花賞」を制したサトノダイヤモンドをはじめ、サトノクラウン(香港ヴァーズ、宝塚記念)、サトノアレス(朝日杯FS)など、数々のG1馬を所有する、日本競馬界を代表する大馬主のお一人です 。
藤田氏、金子氏と並んで、セレクトセールでは常に主役級の存在感。その「サトノ」軍団を率いる里見氏の本業は、いったい何なのでしょうか。
経営者・里見治氏とセガサミーホールディングス(6460)
里見治氏は、東証プライム市場に上場する「セガサミーホールディングス株式会社(証券コード:6460)」の、代表取締役会長です 。
「セガサミー」という名前の通り、この会社は2つの巨大なエンタメ企業が統合して生まれました。これがまた、藤田氏のサイバーエージェント(4751)とも、金子氏の図研(6947)とも全く異なる、ユニークな事業構成になっています。
セガサミー(6460)の二本柱
- (株)セガ(SEGA)
「ソニック」や「龍が如く(Like a Dragon)」シリーズ、「ペルソナ」シリーズ(子会社アトラス)など、世界的な人気を誇るゲームコンテンツ事業。ゲームセンターの運営なども手掛けます。 - サミー(株)(Sammy)
こちらはパチンコ・パチスロ遊技機事業のトップメーカーです。競馬ファンならぬパチンコファンなら、誰もが知るブランドですね。
つまり、「ゲーム」のセガと、「パチンコ・パチスロ」のサミー。この2つが合体した、日本を代表する総合エンターテイメント企業というわけですね。
投資テーマ:「ゲーミング・IR(カジノ)」の総合企業
ここで、投資家として注目すべきは、里見氏ならではの「投資テーマ」です。
サイバーエージェント(4751)が「競馬IP(ウマ娘)」、図研(6497)が「ハイテク製造業DX」だったのに対し、セガサミー(6460)のテーマは、より広い「ゲーミング・レジャー」です。
里見氏のビジネスは、「競馬(公営競技)」だけにとどまりません。
同社は、二本柱のゲームやパチンコ・パチスロ事業に加えて、「ゲーミング事業」にも非常に力を入れています 。
具体的には、韓国初の本格的な統合型リゾート(IR)施設である「パラダイスシティ」の運営に参画しており、ホテルやエンタメ施設と並んで「カジノ施設」も手掛けています 。さらに、そこで培ったノウハウを活かし、グローバル市場(世界)に向けたカジノ機器の開発まで行っているんです 。
里見氏の「ゲーミング」ポートフォリオ
- 競馬(公営競技):個人の馬主としてG1を制覇
- パチンコ・パチスロ(遊技機):本業(サミー)で業界トップクラス
- ゲーム(エンタメ):本業(セガ)で世界的IPを保有
- カジノ・IR(統合型リゾート):本業(セガサミー)で海外リゾート運営・機器開発
これを見ると、里見氏は「競馬」を含む、ありとあらゆる「ゲーミング(ギャンブル・レジャー)」分野のプロフェッショナルであることが分かります。
したがって、セガサミー(6460)への投資は、「競馬ファンだから」という理由だけでなく、カジノ(IR)やパチンコ・パチスロ、ゲームなどを含む、より広範な「ゲーミング・レジャー」産業全体の将来性に投資する銘柄として捉えるのが良さそうですね。日本国内でのIR(カジノ)構想の進展 なども、将来的な株価テーマになってくるかもしれません。
その他の公営ギャンブル関連銘柄
- YUKINOSUKE
さて、JRA(非上場)や、その代替銘柄としての東京都競馬(9672)、そして超有名な馬主さんたちの会社を見てきました。でも、競馬や公営ギャンブルという巨大な産業は、もちろんそれだけの企業で成り立っているわけではありませんよね。
競馬場を運営する「インフラ」を支える会社や、もっと広い意味での「ギャンブル・レジャー」関連企業もたくさんあります。そこで、ここからは「東京競馬場 株価」というキーワードから少し視野を広げて、JRAの周辺や、その他の公営競技に関連する上場企業を、いくつか掘り下げてみたいと思います。
JRAのシステム開発(インフラ)
まず気になるのが、「JRAのあの巨大なシステムはどこが作ってるの?」という点です。私たちがスマホやPCで馬券を買ったり(ネット投票)、競馬場でマークシートを機械に通したりする、あの瞬時に何億通りもの馬券を集計・発売・払戻する基幹システム(トータリゼータシステムと言います)は、まさに競馬運営の心臓部ですよね。
この中核を担っているのが、実はJRAが100%出資する子会社「JRAシステムサービス株式会社」(JRASS)なんです 。JRAの完全子会社ですから、当然ながらこのJRASSも上場していません。残念ながら、ここに直接投資することはできませんね。
もちろん、JRASSは外部の大手システム開発会社(SIer)とも協業しています。例えば、富士通(Fujitsu)が手のひら認証を使ったキャッシュレス発売機の開発に携わっていたり 、日立(Hitachi)もJRAのシステム開発事例として紹介されています 。
ただし、投資テーマとして考えるには少し難しいかな、というのが私の見解です。なぜなら、富士通や日立のような巨大企業にとって、JRAの案件は数あるビッグプロジェクトの一つに過ぎないからです。JRAのシステム投資がどれだけ増えても、それが富士通や日立の株価全体を動かすほどの主要因になるとは考えにくく、「JRAのシステム開発」をメインテーマとしてこれらの株を買うのは、投資効率の面であまり最適とは言えないかもしれません。
公営競技のDXを支えるニッチ企業
JRAのような巨大インフラよりも、むしろ競馬以外の公営競技(競輪、競艇、オートレース)のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支える、もっと専門的で「ニッチ」なテクノロジー企業の方が、投資テーマとしては面白いかもしれません。
ここでは、私が気になった2社をご紹介します。
日本エコシステム(9249)
東証スタンダード上場の会社です。この会社は、公共サービス事業の一環として、公営競技場(特に競輪)のトータリゼータシステム(発券・集計システム)の設計・販売や、なんとAIによる競輪予想サービス「LotoPlace」の提供まで行っています 。「公営競技の運営インフラ」そのものをビジネスにしている、非常に専門性の高い企業ですね。
トリプルアイズ(5026)
こちらは東証グロース上場のAI企業です。この会社が面白いのは、公営競技の企画・運営を行う「日本トーター」という会社と業務提携して、AIの「顔認証」技術を利用したソリューションを、ボートレース、競輪、オートレース、そして地方・中央競馬の各施設に提供している点です 。
これはまさに現代的な需要ですね。競馬場や競輪場の入場管理の「省人化(スタッフを減らす)」や「セキュリティ強化」は、どの運営元も抱える課題です。そこにAI技術で切り込んでいるわけです。
こうした企業は、東京都競馬(9672)の「ネット投票プラットフォーム」 とはまた別に、競技場の「運営・セキュリティ」という、地味ながらも確実なDX需要の恩恵を直接受ける可能性があります。時価総額が比較的小さめな企業も多く、まさに「テーマ株」として注目してみる価値はあるかもしれません。
遊技機(パチンコ・パチスロ)関連
競馬(公営競技)と並ぶ、もう一つの巨大なギャンブル・レジャーセクターとして、当然ながら「パチンコ・パチスロ」メーカーも多数上場しています。これは「競馬」とは異なりますが、里見治氏のセガサミー(6460) と同じ「ゲーミング・レジャー」という大きな括りでの関連銘柄ですね。
代表的な企業としては、株式会社SANKYO(6417) や、ゴルフ事業(PGM)も展開している平和(6412) などが挙げられます。
この業界には今、非常に強力な株価テーマがあります。それが、「スマート遊技機(スマスロ・スマパチ)」への移行です 。
投資テーマ:スマート遊技機(スマスロ)特需
これは、従来の物理的なメダルや玉を使わない、新しい規格のパチスロ機・パチンコ機のことです。業界全体でこの新規格への「入れ替え」が急速に進んでおり、パチンコホールはこぞって新しい台を導入する必要があります。
つまり、メーカー側から見れば、これは数年に一度の「強制的な買い替え需要(特需)」が発生している状態です。この特需が、SANKYO や平和 、そしてサミー(セガサミーHD) といった遊技機メーカーの業績を一時的に大きく押し上げる要因として、投資家から注目されているわけですね。
競馬の「サプライチェーン」関連(飼料・警備)
最後に、もっとニッチな「競馬の裏方さん」についても調べてみました。例えば、競走馬が毎日食べる「飼料」 や、G1の日に何千人も配置される「警備員」 の会社です。
これらは「サプライチェーン」として非常に重要ですが、投資テーマとしては少し難しいのが現状です。
- 競走馬の飼料:もちろん「エリートプラス」 のような競走馬専用の飼料は存在します。しかし、「飼料」という株式テーマ で上場しているのは、家畜やペットフード全般を扱う大手企業が中心で、「競走馬飼料専門」の上場企業をピンポイントで特定するのは困難でした。
- 競馬場の警備:こちらも、「競馬セキュリティサービス株式会社」 のように専門の会社が存在しますが、調べてみたところ、こうした専門警備会社は非上場でした。
JRAや競馬場と取引がある大手警備会社(セコムやALSOKなど)はもちろんありますが、JRAの案件がそれらの会社の業績全体に与える影響は限定的でしょう。したがって、この「サプライチェーン」という切り口で投資するのは、なかなかハードルが高いな、というのが私の結論です。
東京競馬場 株価のまとめ
さて、今回は「東京競馬場 株価」という、一見シンプルな(でも、実は奥深い!)キーワードからスタートして、JRAの法的な立ち位置から、思わぬ優良銘柄、有名馬主さんたちの本業まで、色々な関連銘柄を掘り下げてみました。
調べてみると、「競馬」という一つのテーマがいかに多くの産業に支えられ、多様なビジネスチャンスを生み出しているかがよく分かります。一口に「競馬関連株」と言っても、そのビジネスモデルや投資の切り口は様々で、本当に奥が深い世界だなと、私も改めて感じました。
それでは最後に、この長い調査の「まとめ」として、「東京競馬場 株価」の検索から見えてきた、私たち競馬ファン投資家にとっての4つの「結論」を整理しておきますね。
「東京競馬場 株価」の総まとめ
- 結論1:JRA(東京競馬場)の株は存在しない
これが全てのスタートであり、最大の結論です。JRAは「特殊法人」のため、上場しておらず株を買うことはできません 。株主優待で指定席ゲット、という夢は、残念ながらここで終わりです…。 - 結論2:本命は「東京都競馬(9672)」だった
検索でヒットしたこの会社こそ 、JRAの「代替銘柄」として最も注目すべき本命かもしれません。魅力は、(1)大井競馬場の「大家業」という安定基盤 、(2)利益率60%超の「倉庫賃貸」というお宝事業 、(3)ネット投票「SPAT4」の成長性 という、「安定」と「成長」を兼ね備えた非常に強力なビジネスモデルです。 - 結論3:「有名馬主」の投資テーマは三者三様
競馬ファンの「応援投資」として魅力的な有名馬主銘柄ですが、中身は全く異なります。
・「競馬IP(ウマ娘)」が業績直結のサイバーエージェント(4751) ・「ゲーミング・IR(カジノ)」全般を手掛けるセガサミー(6460) ・競馬とは無関係な「超優良BtoB技術系」の図研(6947) 「誰のファンか」だけでなく、「どの事業に投資したいか」で選ぶ必要がありますね。 - 結論4:「縁の下の力持ち」DX銘柄という選択肢
視野を広げれば、競輪場の発券システム(日本エコシステム 9249)や、AI顔認証(トリプルアイズ 5026)など、公営競技のDXを支えるニッチなテクノロジー企業も存在します。これらは「大穴」狙いの面白い選択肢かもしれません。
競馬ファンとしては、自分の好きな馬主さんに関連する企業を「応援馬券」的に買いたくなる気持ちも、すごく分かります。ですが、大切な資産を投じる「投資」はまた別の話ですよね。
今回の調査で、私たちには複数の「出走馬(選択肢)」が見えてきました。
「プラットフォーム/不動産」として複勝・ワイドで堅実に利益を狙うのか(東京都競馬)。
「IP/エンタメ」の爆発力に賭けて、単勝・三連単の高配当を夢見るのか(サイバーエージェント)。
はたまた、「インフラ/DX」や「BtoB技術」という、渋いけれど確実な末脚を持つ馬の単複を買うのか(図研や日本エコシステムなど)。
どの馬(銘柄)に自分の大切なお金を託すのかは、ご自身の投資スタイル(リスク許容度や投資期間)と、どのストーリーを一番信じたいか、にかかっているんだと思います。
「東京競馬場 株価」という一つの疑問から始まった今回の調査が、あなたの投資の視野を広げる、何かの参考になっていれば、私YUKINOSUKEとしてこんなに嬉しいことはありません。
【免責事項】
本記事に記載されている情報は、あくまで私YUKINOSUKEが競馬ファンとして調べたものであり、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。
株式投資は、元本割れを含むリスクを伴います。実際の投資判断は、ご自身の責任において、各企業の公式な財務情報(IR情報)や証券会社のレポートなどを十分にご確認の上、慎重に行ってください。










コメント