こんにちは、YUKINOSUKEです。「サートゥルナーリア産駒の評判」って、今すごく二極化していて気になりますよね。
デビュー前は、それはもう大変な騒ぎでした。父ロードカナロアに、母があのシーザリオ(その産駒にはエピファネイア、リオンディーズなどがいる)という日本競馬界を代表する超良血統 。当然、「ポスト・ディープインパクト」の座を狙う最有力候補として、市場の期待を一身に背負っていました 。
その熱狂が最高潮に達したのが、2022年のセレクトセールです。ディープインパクトやキングカメハメハといった絶対的種牡馬が不在となった市場で、初年度産駒の「ラルケット22」(後のジェゼロ)には、なんと「3億円(税抜)」という衝撃的なセリ価格がつきました 。当然、POG(ペーパーオーナーゲーム)でも指名が殺到しましたよね 。
ただ、その筆頭格だった3億円馬ジェゼロが、新馬戦こそ鮮やかに勝利したものの 、2025年秋の時点では、残念ながらまだクラシック戦線や重賞戦線で主役を張るまでには至っていません 。この最高額馬の現状だけを見て、「あれ、サートゥルナーリア産駒って、もしかして期待外れだった…?」と不安に感じている方も少なくないかもしれません。
でも、ちょっと待ってください。産駒全体で見渡してみると、実は2025年シーズンに大躍進しているんです。3歳馬のファンダムが毎日杯(G3)を圧巻の末脚で制覇 し、続くショウヘイがクラシックディスタンスの京都新聞杯(G2)を勝利 。さらに2歳戦では、牝馬のフェスティバルヒルがファンタジーS(G3)を勝つなど 、2025年11月時点で既にJRA重賞3勝 を挙げる大活躍を見せています。
しかも、その勝ち鞍は牡馬・牝馬を問わず、距離も1400m、1800m、2200mと多岐にわたります 。これは、デビュー前に専門家が評価した「(兄エピファネイアより)筋肉の柔軟性がある」 という馬体の特性が、見事にターフの上で証明された形です。一方で、専門家からは「精神コントロールが相当難しい」 あるいは「馬体減りには要注意」 といった、扱う上で難しい傾向も指摘されています。
この記事では、「3億円馬の現状」という一面的な評価だけでなく、2025年に花開いた産駒たちの具体的な実績、そして馬体や気性の全体的な傾向まで、サートゥルナーリア産駒の「今、本当の評判」を両面からしっかり掘り下げていこうと思います。
- デビュー前の市場評価とセリ価格
- 3億円馬ジェゼロの現在の評価
- 産駒全体の馬体や気性の傾向
- 2025年の主な重賞勝利と活躍馬
サートゥルナーリア産駒の評判と市場の期待
ここからは、産駒がデビューする前の「市場の期待」について、具体的に掘り下げてみますね。このセクションは、彼らの「評判」を形作る上で欠かせない、非常に重要な土台の部分です。
まず大前提として、サートゥルナーリアの初年度産駒が上場された2022年のセレクトセールは、日本競馬界にとってまさに歴史的な転換点でした。
ご存知の通り、長年にわたって日本競馬の頂点に君臨してきたディープインパクト、キングカメハメハ、ハーツクライといった絶対的な大種牡馬たちが不在となった市場だったんです。バイヤーたちは「次の時代を担う種牡馬は誰だ?」と、喉から手が出るほど「ポスト・ディープ」の座を担える存在を探していました。
その凄まじい渇望の中で、まさに白羽の矢が立ったのが、サートゥルナーリアでした。
「ポスト・ディープ」最有力候補と目された理由
- 父ロードカナロア:世界的なスプリント王から受け継いだ、圧倒的なスピード。
- 母シーザリオ:説明不要の名牝。しかも兄にエピファネイアやリオンディーズといった、既に種牡馬として成功を収めている馬たちを持つ、まさに「走る血統」。
- 自身の競走実績:その良血を証明するように、2歳G1(ホープフルS)とクラシックG1(皐月賞)を無敗で制覇。
この「完璧」とも言える血統背景と、それを裏付ける競走実績が組み合わさった結果、市場の期待は「ご祝儀相場」という言葉を遥かに超えるレベルまで沸騰しました。
このセクションでは、その熱狂が具体的にどれほどのものだったのか。その象徴的な存在である「3億円馬」ジェゼロ(ラルケット22)のセリ価格や、POGでの評価、そして専門家たちによる馬体評価を中心に、デビュー前の凄まじい評判を詳しく見ていきましょう。
3億円馬ジェゼロのセリ価格
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サートゥルナーリア産駒の市場評価を語る上で、絶対に外せない象徴的な出来事が、2022年の「セレクトセール」ですよね 。
この年は、先ほども触れたように、ディープインパクト、キングカメハメハ、ハーツクライという絶対的な大種牡馬が不在となった、まさに歴史的な転換点の市場でした 。バイヤーたちが「次の時代を担う種牡馬は誰だ?」と探している中で、その「ポスト・ディープ」の最有力候補として凄まじい注目を集めたのが、サートゥルナーリアの初年度産駒だったんです。
その熱狂が最高潮に達したのが、セール2日目の当歳馬市場でした。そこで上場された「ラルケット22」(後のジェゼロ)に、すべての視線が注がれました 。
3億円の評価を支えた「血統」と「期待」
ジェゼロがなぜそこまで高く評価されたのか。理由は大きく分けて二つあります。
一つは、母ラルケットが持つ確かな実績です。半兄には、G1・マイルCSを制したステルヴィオ(父ロードカナロア)がおり、活力ある良血馬であることは証明済みでした 。
もう一つは、その血統構成の妙です。ジェゼロの血統表には、サンデーサイレンスの「4×3」という近親配合に加え、さらに全兄弟であるサドラーズウェルズとフェアリーキングによる「4×3」という血統構成も内包されていました 。これは、父サートゥルナーリアの能力を最大限に引き出すための、まさに「狙って作られた」とも言える配合で、専門家やバイヤーから非常に高く評価されました 。
1億円を超えてからが本番だった競り合い
実際の競り合いも、その期待を裏切らない壮絶なものでした。
リザーブ価格(最低落札価格)7000万円からスタートしたものの、9000万円まではじりじりと上がる展開 。しかし、大台の1億円を突破した瞬間を合図にしたかのように、そこから一気に勢いが加速しました 。会場の熱気がヒートアップしていく中、最終的にハンマーが鳴らされた価格は、なんと3億円(税抜) 。税込では3億3,000万円にもなる、まさに破格の金額でした 。
この歴史的な馬を落札したのは、ディープインパクトなどで知られる金子真人氏(金子真人ホールディングス) 。落札後の金子氏の「お代が高かったから、いい馬だと思っていた。競り落とせて良かった。走ってくれるといいですね」というコメントは 、そのケタ違いの期待の高さを象徴していると私は思います。
ラルケット22のPOG評価
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2022年セレクトセールでの「3億円」という衝撃的な価格は、そのままPOG(ペーパーオーナーゲーム)プレイヤーたちの熱狂に直結しました 。
POGは、仮想馬主として2歳~3歳のクラシックシーズン終了までの短期間で、どれだけ賞金を稼げるかを競うゲームです。そのため、POGプレイヤーにとって、サートゥルナーリアはまさに「POGのために生まれてきた」と言っても過言ではないほど、魅力的な新種牡馬でした。
POGプレイヤーがサートゥルナーリア産駒に熱狂した理由
- 魅力1:父の圧倒的な「POG適性」 父サートゥルナーリア自身が、POGのポイント加算対象期間である2歳時にG1(ホープフルS)を制し、3歳クラシック(皐月賞)も勝利しています 。この「早熟性」と「クラシック王道適性」の両立は、POG指名馬として最高の理想像でした。
- 魅力2:母系の「揺るぎない信頼感」 母シーザリオの血統からは、兄のエピファネイアやリオンディーズが既に種牡馬として大成功を収めています 。これは「新種牡馬ながら出世を信頼してよい」 という、POGにおいて最も計算が立つ「アベレージの高さ(=ハズレが少ない)」を期待させるものでした。
この結果、POG特集記事やドラフト会議では「サートゥルナーリア産駒」が最大の目玉となり、指名の競合は避けられない状況だったと思います。
その中でも筆頭格はもちろん、3億円馬ジェゼロ(ラルケット22)です 。POGドラフトの1巡目で消えることは確実視され、多くの雑誌で「指名すべき馬」として大きく取り上げられていたと記憶しています。私自身、POGドラフトではどの馬を指名するか頭を悩ませた記憶があります。
さらに、ジェゼロ以外にも、母がG1馬ショウナンパンドラである「ショウナンサムデイ」 や、「エリカブルージュ」(母ダイワパッション) など、血統的な魅力に溢れる馬がズラリと揃っていました 。POGプレイヤーにとっては「どのサートゥルナーリア産駒を指名するか」で、本当に嬉しい悲鳴を上げていたシーズンだったと思います。
デビュー前の馬体と専門家の評価
ジェゼロ(ラルケット22)の3億円 という価格はあまりにも衝撃的ですが、市場の熱狂は、実はあの1頭だけに留まっていませんでした。2022年のセレクトセールでは、サートゥルナーリア産駒(初年度産駒)は14頭が上場されたのですが、なんと3頭が1億円を超える「億超え」ホースとなる、凄まじい盛況ぶりだったんです 。
ジェゼロ以外にも、「カゼルタの22」(牡)が、(株)ダノックスによって1億4000万円で落札されるなど 、産駒全体に対して非常に高い評価が与えられていたことが分かります。
では、なぜこれほどまでに産駒全体の評価が高かったのか。その最大の理由は、馬体を見た専門家たちからの絶賛にありました。
専門家が見抜いた「兄エピファネイアとの違い」
特に印象的だったのが、現役時代にサートゥルナーリアが所属していたキャロットクラブの秋田博章代表によるコメントです。彼は産駒の馬体について、兄エピファネイアと比較しながら以下のように絶賛していました 。
「(兄の)エピファネイアよりも筋肉の柔軟性があって万人受けしやすいと思うし、スケールの大きさもある。産駒の評価が高いのは非常にうれしいですね」
この「筋肉の柔軟性」と「スケールの大きさ」という二つのキーワードが、サートゥルナーリア産駒の「評判」を理解する上で、非常に重要なポイントだと私は考えています。
専門家の評価は正しかったのか? 2025年の実績が証明
あれから数年が経ち、2025年11月現在、この専門家の評価は「非常に的を射ていた」と証明されたと私は感じています。
まず、「筋肉の柔軟性」について。
これは単に馬体が柔らかいというだけでなく、「幅広い適性」へと繋がりました。2025年に重賞を勝利した産駒の距離を見てみると、その多様性は一目瞭然です。
- フェスティバルヒル:ファンタジーS (G3) → 1400m
- ファンダム:毎日杯 (G3) → 1800m
- ショウヘイ:京都新聞杯 (G2) → 2200m
このように、スプリント寄りのマイルから、クラシックディスタンスまで、全く異なる適性が求められる距離で重賞を勝っているんです。これこそ、秋田氏が指摘した「柔軟性=万人受け(=高い適応力)」の証明に他ならないと私は思います。
そして、もう一つの「スケールの大きさ」。
これも、G3だけでなくG2までをも制覇し 、ファンダムが見せた上がり3F 32秒5 というような高いパフォーマンスに、その片鱗が表れていますよね。
デビュー前の期待が単なる「ご祝儀相場」ではなく、馬体という確かな根拠に基づいていたこと、そしてその予見が正しかったことが、現在の産駒の活躍によって裏付けられている形です。
3億円馬は期待外れだったか
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さて、ではデビュー前から最大の注目を集め、3億円(税込3億3,000万円)もの値が付いたジェゼロ(ラルケット22)は、現在どうなっているのでしょうか 。
この価格帯の馬にかけられる期待は、単なる「新馬勝ち」や「オープンクラスでの活躍」ではありません。当然、バイヤーもファンも「G1制覇」、特にクラシック路線での圧倒的な活躍を期待していたはずです。
ジェゼロは2024年8月4日、新潟・芝1800mの新馬戦でデビューし、その期待に応えて見事に勝利を収めました 。この時点では「さすが3億円馬!このまま王道へ!」と誰もが思ったはずです。
しかし、2025年11月現在、その後の道のりは必ずしも順風満帆とは言えません。2025年シーズンは芙蓉S(オープン)などに出走しているものの 、期待された重賞タイトルにはまだ手が届いていないのが現状です 。
「期待外れ」の声が上がる背景
「サートゥルナーリア産駒 期待外れ」という検索ワードが生まれる背景には、大きく二つの要因があると私は考えています。
- 1. 価格とのギャップ: 単純に「3億円」という価格に見合う圧倒的なパフォーマンス(G1制覇)が、3歳の秋時点で見られていないことへの物足りなさです。
- 2. 同期産駒との対比: これが非常に大きいと思います。ジェゼロが足踏みしている間に、同じサートゥルナーリア産駒のファンダムが毎日杯(G3)を 、ショウヘイが京都新聞杯(G2)を制覇する など、他の産駒が先に重賞ウィナーとなっています 。最高額馬が、他の産駒の後塵を拝している。この状況が、「ジェゼロはどうしたんだ?」という形で「期待外れ」という声に繋がっているのではないでしょうか。
ただ、忘れてはいけないのは、まだ3歳(2025年時点)だということです。競馬の歴史を振り返れば、3歳の秋から本格化し、古馬になって大成した馬などいくらでもいます。
特に、父のサートゥルナーリア自身が、3歳皐月賞 の後はG1勝利こそなかったものの、古馬になってからG2金鯱賞を勝ち、有馬記念でリスグラシューの2着 に入るなど、息の長い活躍を見せた馬でした。その血を受け継ぐジェゼロも、晩成型である可能性は十分にあります。
3億円という価格は、ジェゼロの血統構成 や将来的な種牡馬価値への期待も含まれたものです。競走成績だけで「期待外れ」と断定するのは、まだあまりにも早すぎると私は思いますし、今後の本格化に期待して長い目で見守りたい1頭ですよね。
産駒の傾向:専門家の分析
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では、3億円馬ジェゼロのような特定の一頭ではなく、産駒全体の「傾向」としては、どのような特徴があるのでしょうか。高額で取引された馬もいれば、G2を勝った馬もいる 、G3を勝った馬もいる 。彼らに共通する特性を探るため、2025年3月時点での競馬専門家による対談(今井雅宏氏・亀谷敬正氏)が非常に参考になります 。
この対談では、サートゥルナーリア産駒の特性が、その血統背景から非常に論理的に解説されていました。
亀谷氏の分析:主流条件での強さと父ロードカナロアの「軽さ」
競馬評論家の亀谷敬正氏は、血統背景から以下のようなポジティブな特性を指摘しています 。
- 母が名牝シーザリオという名門牝系のため、産駒は東京や京都・阪神といった「主流条件で強い」傾向がある 。
- 父がロードカナロアでスピードが強化されているため、「(兄エピファネイア産駒よりも)更に軽く、デビュー戦である新馬戦でも強い」 。
この分析は、まさにPOGプレイヤーが熱狂した理由 とも一致しますよね。「主流条件で強い」というのは、クラシックなどの大レースでの活躍が期待できるということ。そして「新馬戦でも強い」というのは、まさにPOG向きの早熟性とスピードを兼ね備えている証拠です。
実際、3億円馬ジェゼロも 、2歳重賞を勝ったフェスティバルヒルも 、きっちりと新馬戦を勝利しています。これは、デビュー前に専門家が評価した「筋肉の柔軟性」 が、亀谷氏の言う「軽さ」や「スピード」として発現している結果だと私は思います。
今井氏の分析:ポテンシャルの源泉「高い闘争心」
また、今井雅宏氏は、産駒のメンタリティ(精神面)について、非常に興味深い指摘をしています。
それは、産駒が「集中力、闘う意欲ともに高い」「強い相手にも怯まないタイプ」である、という評価です 。
これこそが、サートゥルナーリア産駒のポテンシャルの源泉ではないでしょうか。ファンダムが毎日杯で見せた大外一気の上がり3F 32秒5 という驚異的な末脚も、ショウヘイがG2という大舞台で勝ち切った勝負強さ も、この「高い闘争心」と無関係ではないはずです。
デビュー前の馬体評価にあった「スケールの大きさ」 という言葉が、この今井氏の言う「高い闘争心」や、実際のレースで見せる高いパフォーマンスに繋がっていると考えると、非常に論理的で納得できますよね。
ただし、この「高すぎる闘争心」は、両刃の剣でもあります。次のセクションでは、この素晴らしいポテンシャルと表裏一体となっている「課題」について、詳しく見ていきたいと思います。
課題は気性と馬体減り
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一方で、前のセクションで触れた「高い集中力と闘争心」 は、まさに両刃の剣でもあります。その素晴らしいポテンシャルを100%発揮する上での最大の鍵、あるいは私たちファンが注意すべき最大のリスク要因も、専門家によって明確に指摘されています。
今井雅宏氏によると、サートゥルナーリア産駒は「精神コントロールが相当難しい」ことが最大の特徴だそうです 。
これは、単純に「気性が悪い」とか「賢くない」というわけでは決してありません。むしろ逆で、前述の「高い集中力と闘争心」 があまりにも高すぎるがゆえに、その有り余るエネルギーの制御が非常に難しい、ということみたいですね。オンとオフの切り替えが苦手なタイプ、と言えるかもしれません。
専門家が指摘する2つの危険なサイン
この「精神コントロールの難しさ」が、私たちファンが馬券を考える上で絶対に見逃せない、具体的な2つのリスク要因に繋がると指摘されています 。
リスク①:「入れ込み」の危険性
気持ちが乗るとファンダムの末脚 のようなとんでもないパフォーマンスを見せる反面、「高いパフォーマンスを見せた後に入れ込むと危ない」 とのこと。一度レースでテンションが最高潮に達してしまうと、その興奮が冷めやらず、次走で精神的に消耗しきった状態で出てきてしまう…そんな傾向が示唆されています。
リスク②:「馬体減り」の危険性
そして、これが非常に特異的なデータなのですが、「馬体減りの馬が危ない」と明確に指摘されています 。一般的に、絞れて良いデキと見られる「馬体減」が、この血統にとっては危険なサインになるというのです。
「闘争心」と「馬体減り」の連鎖
この「精神コントロールの難しさ」と「馬体減りの危険性」は、それぞれ独立した事象ではなく、密接に連動していると私は分析しています。
つまり、以下のような連鎖が起きているのではないでしょうか。
- 「高い集中力と闘争心」 を持ってレースに臨む。
- レース後もその興奮が冷めず、精神的な「入れ込み」 状態が持続してしまう。
- 過度な精神的ストレスから、飼い葉食いが落ちる(食欲がなくなる)など、コンディション調整に悪影響が出る。
- その結果、物理的な「馬体減り」 という現象として現れる。
したがって、サートゥルナーリア産駒を評価する際、特にパドックで「馬体減り」が見られた場合は、単なる「絞れて仕上がった」という体調面のサインとしてだけではなく、「精神的なテンションが限界に近いかもしれない」という危険なシグナルとしても解釈する必要がありそうです。
このあたりは、馬券を買う上での非常に重要なチェックポイントになりそうですね。(馬券の買い方については、競馬で回収率100%を超える買い方をプロが徹底解説の記事でも、詳しく解説しています)
ポテンシャルは間違いなく一級品。ですが、その能力を100%引き出すには、陣営の非常に繊”なメンタル管理とコンディショニングが不可欠な、まさに「玄人好みの血統」と言えるかもしれません。
サートゥルナーリア産駒の評判と2025年実績
さて、ここまでのセクションでは、主にデビュー前の「市場の期待」について見てきました。「3億円馬」ジェゼロ(ラルケット22)のような衝撃的なセリ価格や、POGでの熱狂ですよね 。
そして、その最高額馬ジェゼロが3歳秋の時点でまだ重賞を勝てていない ことから、「もしかして期待外れだった…?」という声が一部で上がっているのも事実です 。
ですが、もしその一点だけを見て「サートゥルナーリア産駒の評判はイマイチ」と結論付けているなら、それは大きな間違いだと私は思います。
なぜなら、2025年シーズンは、その「期待外れ」という声を一気に吹き飛ばすほど、他の産駒たちが「期待通り」の大活躍を見せた「躍進の年」となったからです。
2025年の大躍進
ジェゼロが注目される一方で、他の産駒たちはターフの上で確実に結果を出し始めました。3歳馬がクラシック路線で活躍し、さらには2歳世代からも早々に重賞馬が登場 。まさに「実績」が「評判」を裏付けた一年でした。
このセクションでは、その「期待外れ」という雑音をかき消す、2025年の具体的な重賞勝利の実績に焦点を当てて詳しく紹介していきます。ファンダム やショウヘイ 、そしてフェスティバルヒル たちが、いかにして父の評判をターフの上で確立したのか。その活躍を見ていきましょう!
2025年の重賞勝利一覧
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2025年は、サートゥルナーリア産駒が、デビュー前の「期待」を「実績」という揺るぎない形に変えた、まさに躍進の年になりました。
「3億円馬ジェゼロが期待外れ」 という一部の声とは裏腹に、産駒全体としてはそのポテンシャルをターフの上で証明し続けています。2025年11月1日時点で、産駒はJRA重賞3勝を達成 。この実績こそが、現在の種牡馬としての「サートゥルナーリアの評判」を確固たるものにしていると私は思います。
まずは、その素晴らしい勝利の記録をご覧ください。
| 勝利日 | 馬名 | 性別 | レース名 | 距離 |
|---|---|---|---|---|
| 2025年3月29日 | ファンダム | 牡 | 毎日杯 (G3) | 芝1800m |
| 2025年5月10日 | ショウヘイ | 牡 | 京都新聞杯 (G2) | 芝2200m |
| 2025年11月1日 | フェスティバルヒル | 牝 | ファンタジーS (G3) | 芝1400m |
この一覧を見て、私が「凄い!」と唸ってしまうのは、その「勝利の多様性」です。
サートゥルナーリア産駒の「多様性」
- 1. 性別の多様性: 牡馬(ファンダム、ショウヘイ)だけでなく、牝馬(フェスティバルヒル)でもきっちり重賞を勝利 。どちらの性別にも偏っていません。
- 2. 世代の多様性: 3歳戦のクラシック路線(ファンダム、ショウヘイ)だけでなく、2歳戦(フェスティバルヒル)でも勝利 。早熟性も、3歳になってからの成長力も、両方を示しています。
- 3. 距離適性の多様性(最重要): これが最も驚くべき点です。スプリント〜マイル色の強い1400m(ファンタジーS) 、クラシックの王道である1800m(毎日杯) 、そしてスタミナと底力が問われる2200m(京都新聞杯) と、全く適性の異なるカテゴリーで結果を出しています。
これこそが、デビュー前に専門家(キャロットクラブ・秋田氏)が評価した「(兄のエピファネイアよりも)筋肉の柔軟性があって万人受けしやすい」 という言葉の、何よりの証明だと私は思います。
あの時「柔軟性」と表現された馬体の特性が、数年の時を経て「適性の幅広さ」という最高の結果としてターフの上で実証された形です。父ロードカナロアのスピードと、母シーザリオのクラシック適性。その両方の良い部分が、見事に産駒に受け継がれている証拠と言えるのではないでしょうか。
ファンダムの毎日杯制覇
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サートゥルナーリア産駒の記念すべきJRA重賞一番星 となったのが、このファンダムです。
2025年3月29日、阪神競馬場で行われた毎日杯(G3) 。この勝利は、父サートゥルナーリアにとって産駒初のJRA重賞制覇 であると同時に、管理する辻野泰之調教師にとっても、開業5年目で嬉しい嬉しい重賞初制覇となりました 。
そして何より、ファンや関係者に衝撃を与えたのは、その「勝ち方」です。
鞍上が明かす「課題」への挑戦
ファンダムは、新馬戦、ジュニアCと、それまでは先行してスピードで押し切るスタイルで連勝してきました 。しかし、この毎日杯で鞍上の北村宏騎手は、G1という更なる大舞台を見据え、あえてこれまでのスタイルを封印。ゲートは出たものの、あえて最後方からレースを進めるという、まったく異なる戦法を選択したのです 。
後に北村騎手が「セーブしながらでも走れるように。課題を持ちながら臨みました」 と語ったように、これはファンダムに「脚を溜める競馬」を教え込むための、意図的な挑戦でした。</p
驚異の「上がり32秒5」という切れ味
レースはスローペースで進み、最後方で脚を溜めるファンダムにとっては厳しい展開かとも思われました。しかし、鞍上との折り合いは完璧で、「自信を持って直線に向きました」 という言葉通り、直線では大外へ。
そこからの末脚は、まさに「極限の切れ味」 という表現がピッタリでした。メンバー最速となる上がり3F 32秒5という、とんでもない切れ味を披露 。他馬をまとめてなで切りにし、豪快に突き抜けたのです 。
ファンダムがこの1戦でクリアした課題
- デビューから無傷の3連勝 を達成
- マイルからの距離延長(芝1800m)を克服
- 初の関西輸送をクリア
- 先行策だけでなく「後方からの差し切り」という新戦法を確立
これだけの課題をすべてクリアした収穫は、計り知れないほど大きいものでした 。レース後、辻野調教師が「重賞を勝てる能力のある馬に巡り合えたのは幸せですね」 とはにかんだように、この勝利はファンダムの底知れぬポテンシャルと、サートゥルナーリア産駒の高い能力を証明する、あまりにも衝撃的な重賞初制覇だったと私は思います。
ショウヘイの京都新聞杯
ファンダムの毎日杯(G3)制覇 から、わずか約1ヶ月半後。サートゥルナーリア産駒は、その勢いがフロックではないことを証明する、更なる大仕事をやってのけました。
2025年5月10日、今度はショウヘイが、京都競馬場で行われた伝統のG2・京都新聞杯(芝2200m)を、川田将雅騎手とのコンビで制覇したのです 。
この勝利が持つ意義は、ファンダムの勝利とはまた異なる、非常に大きなものでした。
ショウヘイのG2勝利が持つ3つの大きな意義
- 1. 産駒初の「G2」制覇: G3(毎日杯) の次に、G2の壁をも早々に突破 。これにより、産駒の格が一段と上がりました。
- 2. 「クラシックディスタンス」の克服: 毎日杯の1800m から、さらに距離が延びた「2200m」というクラシックディスタンスを克服しました。
- 3. 「稍重馬場」での勝利: 当日の芝は「稍重」 。スピードだけでなく、パワーやスタミナも要求されるタフな馬場コンディションで勝ち切った意味は非常に大きいです。
京都新聞杯は、歴史的にも菊花賞の前哨戦として創設され、現在は「日本ダービーの前哨戦」として明確に位置付けられているレースです(出典:JRA日本中央競馬会「レーシングプログラム」)。
この伝統あるG2を、タフな馬場で勝利したこと。これにより、サートゥルナーリア産駒の評判は、「単なるマイル〜中距離向きのスピードタイプ」という初期の評価から、「クラシック本番の距離でも十分に通用するスタミナと底力がある」という、より奥行きのある評価へと完全に変わったんじゃないでしょうか。
父ロードカナロア からのスピードと、母シーザリオ からのスタミナ。その両方が、産駒にしっかりと受け継がれていることを証明する、価値あるG2勝利だったと私は思います。
2歳女王フェスティバルヒル
3歳牡馬のファンダム やショウヘイ がクラシック路線で活躍したことで、サートゥルナーリア産駒の評判は確固たるものになりつつありました。そして2025年秋、その評価を決定づけるように、早くも3世代目(2023年生まれ)の産駒が結果を出します。
2025年11月1日、京都競馬場で行われたファンタジーS(G3)(芝1400m)で、C.デムーロ騎手が騎乗した1番人気のフェスティバルヒルが見事に勝利を飾りました 。当日のレースレコードは1分20秒9(良馬場)でした 。
産駒の「評判」を確立した「初」尽くしの勝利
この勝利は、3歳馬の活躍に続くものであったことに加え、サートゥルナーリア産駒にとって記念すべき「初」が詰まった、非常に意義深い重賞3勝目 となりました。
フェスティバルヒルの勝利が持つ意味
- 1. 産駒初の「2歳重賞制覇」
3歳馬だけでなく、2歳戦という早い時期からでも重賞を勝てる「早熟性」と「完成度」を証明しました 。これはPOG的にも非常に価値が高いです。 - 2. 産駒初の「牝馬による重賞制覇」
ファンダム、ショウヘイという牡馬 に続き、牝馬からもきっちり重賞馬が誕生 。性別を問わず、そのポテンシャルが受け継がれていることを示しました。
デビュー前から評判だった素質馬
この勝利は、決してフロックではありませんでした。フェスティバルヒルは、母ミュージアムヒル(母父ハーツクライ)という血統 で、デビュー前からその素質の高さが評判になっていたんです。
2025年6月のデビュー前に、栗東CWでの最終追い切りで4F 51秒6-11秒3という好時計をマーク 。さらにその1週間前には、坂井瑠星騎手(デビュー戦の鞍上)を背にした3頭併せで、6F 84秒8-11秒0という、2歳馬離れした時計を出していました 。
当時のデイリースポーツの記事によると、管理する四位洋文調教師 は「ジョッキーもそんなに無理していないですからね。水準以上はある」と、その能力に手応えを口にしていたほどです 。
まさにその「水準以上」の素質が、本番で見事に開花した形です。レース後、ネットの掲示板などでも「素質と騎手の腕で勝ち切ってくれた」 と評されたように、この勝利で2歳G1戦線(阪神JF)の有力候補として一気に名乗りを上げました 。サートゥルナーリア産駒の「評判」は、今や世代、性別、距離を問わない本物になったと言えるでしょう。
総括:サートゥルナーリア産駒の評判
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さて、最後に。ここまでデビュー前の市場評価、3億円馬ジェゼロの現在、そして2025年の輝かしい重賞実績と、産駒の傾向と課題について詳しく見てきました。
これら全てを踏まえて、「サートゥルナーリア産駒の評判」について、私なりの総括をしたいと思います。
2025年11月現在、サートゥルナーリア産駒の「評判」は、二重構造になっていると私は結論付けます。
サートゥルナーリア産駒の「二重の評判」
- 評判A:「3億円馬(ジェゼロ)は期待外れ」という物語
これは、デビュー前に「3億円」 という価格で注目を集めすぎたジェゼロ が、3歳秋時点でまだ重賞を勝てていない という「一点」だけを切り取った評判です。これが「期待外れ」という検索ワードの正体でしょう。
- 評判B:「種牡馬としては大成功」という実績(リアル)
こちらが産駒全体の「本当の評判」だと私は思います。ファンダム(G3)、ショウヘイ(G2)、フェスティバルヒル(G3) が重賞3勝。しかも、牡馬・牝馬、2歳・3歳、そして1400m〜2200m と、あらゆるカテゴリーで結果を出しています。
つまり、多くの人が「評判A」の物語(ジェゼロ)に注目している間に、水面下では「評判B」という「種牡馬としての成功」が、圧倒的な実績をもって確立されていた。これが2025年の実態です。
事実、2025年の種付け料は1000万円 に設定されていますが、G2馬を含む重賞3勝 という結果は、その価値に完全に見合う、あるいはそれ以上の大成功と言っていいと私は断言します。
デビュー前に専門家が「(兄より)筋肉の柔軟性がある」 と評価した通りの「適性の多様性」 を見せ、今井氏が指摘した「高い闘争心」 がファンダムの上がり32秒5 という爆発力に繋がっているのでしょう。
もちろん、その「高すぎる闘争心」が、「精神コントロールの難しさ」や「馬体減り」 という課題に繋がっているのも事実です。これは、私たちが馬券を考える上で、今後も向き合っていかなければならない産駒の特性です。
しかし、それすらも「ポテンシャルの裏返し」と思えるほどの魅力と実績を、彼らは既に見せてくれました。今後さらにどんな大物が出てくるのか、本当に楽しみな血統ですね。
この記事が、「サートゥルナーリア産駒 評判」と検索したあなたの疑問を解消する参考になれば嬉しいです。
※この記事の内容は、2025年11月時点の情報に基づき、私YUKINOSUKEの見解をまとめたものです。
※馬券の購入やPOGでの指名など、最終的な判断はご自身の責任においてお願いいたします。









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